WEKO3
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博物学と『意味』の遊戯」では、『画図百鬼夜行』という「妖怪図\u003cbr /\u003e鑑」が生み出された背景に、18世紀後半における博物学的思考/噂好の広がりがあったこ\u003cbr /\u003eとを明らかにし、それがかつて「記号」として存在していた妖怪を「生物」としての妖怪\u003cbr /\u003eに変え、また視覚的特徴と名前によって弁別される「キャラクター」へと変換していった\u003cbr /\u003eことを論証する。さらに「妖怪図鑑」が「見立て」という一種のパロディと容易に結びつ\u003cbr /\u003eいたという事実から、博物学と言葉遊びとが「物」と「意味」との固定的な関係の解体と\u003cbr /\u003eいう同じ認識論的基盤に基づいたものであることを明らかにし、これらが人工的な記号で\u003cbr /\u003eある「表象」を生み出す「知」であったことを指摘する。\u003cbr /\u003e 第4章「妖怪玩具一連びの対象としての妖怪たち」では、化物双六、妖怪カルタ、お\u003cbr /\u003eもちや絵、亀山の化物、妖怪花火、妖怪凧といった「妖怪玩具」について検討し、それら\u003cbr /\u003eが\u0026#9312;博物学的傾向、\u0026#9313;「蔚邑」の玩具化、\u0026#9314;「驚き」の喚起という、視覚性に基づいた三\u003cbr /\u003eつの特徴を持っていることを明らかにする。また、節怪の人形など立体的な「妖怪玩具」\u003cbr /\u003eが少ないことにも注目し、モノとしての質量を持つ人形は神秘性やリアリティを感じさせ\u003cbr /\u003eてしまうため、娯楽よりもむしろ信仰と結びついたのではないか、という仮説を提示する。\u003cbr /\u003e 第5章「からくり的一妖怪を笑いに変える装置」では、「からくり的」という遊戯施設\u003cbr /\u003eを例として、妖怪がいかにして人間の「笑い」と結びつき、娯楽の対象となるのかを考察\u003cbr /\u003eする。妖怪は、そのアノマリー性、および「過剰な肉体性」によって、恐怖と笑いという\u003cbr /\u003e詩論議席誠な強い情動反応を呼び起こすすぐれた「象徴」であり、「からくり的」をはじめ\u003cbr /\u003eとする「妖怪娯楽」は、その象徴特性を利用して「快楽」を引き出すものであったことを\u003cbr /\u003e明らかにする。また、「からくり的」の歴史的変遷についても検討し、それが妖怪のー変化\u003cbr /\u003eする」という特徴を遊戯化したものから、数多くの妖怪を出現させるという博物学的関心\u003cbr /\u003eに基づいたものへと変化していったことを明らかにする。\u003cbr /\u003e 最終章である第6章「妖怪娯楽の近代 -『私』に棲みつく妖怪たち」では、近代にお\u003cbr /\u003eいてふたたび妖怪観の転換が起こり、それによって妖怪娯楽が変質していくさまを描き出\u003cbr /\u003eす。かつて「表象」として外在化され、人間のコントロール下に置かれていた妖怪が、今\u003cbr /\u003e度は人間自身にはコントロールできない「内面」の働きによって「見てしまう」ものへと\u003cbr /\u003e変貌していくのを、「神経」「催眠術」r心霊」という三つのキーワードを通じて検討する。\u003cbr /\u003eそして近代における妖怪的なものごとが、こうした認識の変容によって生み出された「私」\u003cbr /\u003eという特異な観念と結びついて発達していったことを指摘し、その延長線上にある現代の\u003cbr /\u003eオカルトブームや妖怪ブームについても考える。\u003cbr /\u003e", "subitem_description_type": "Other"}]}, "item_1_description_18": {"attribute_name": "フォーマット", "attribute_value_mlt": [{"subitem_description": "application/pdf", "subitem_description_type": "Other"}]}, "item_1_description_7": {"attribute_name": "学位記番号", "attribute_value_mlt": [{"subitem_description": "総研大乙第163号", "subitem_description_type": "Other"}]}, "item_1_select_14": {"attribute_name": "所蔵", "attribute_value_mlt": [{"subitem_select_item": "有"}]}, "item_1_select_8": {"attribute_name": "研究科", "attribute_value_mlt": [{"subitem_select_item": "文化科学研究科"}]}, "item_1_select_9": {"attribute_name": "専攻", "attribute_value_mlt": [{"subitem_select_item": "03 国際日本研究専攻"}]}, "item_1_text_10": {"attribute_name": "学位授与年度", "attribute_value_mlt": [{"subitem_text_value": "2006"}]}, "item_creator": {"attribute_name": "著者", "attribute_type": "creator", "attribute_value_mlt": [{"creatorNames": [{"creatorName": "KAGAWA, Masanobu", "creatorNameLang": "en"}], "nameIdentifiers": [{"nameIdentifier": "0", "nameIdentifierScheme": "WEKO"}]}]}, "item_files": {"attribute_name": "ファイル情報", "attribute_type": "file", "attribute_value_mlt": [{"accessrole": "open_date", "date": [{"dateType": "Available", "dateValue": "2016-02-17"}], "displaytype": "simple", "download_preview_message": "", "file_order": 0, "filename": "乙163_要旨.pdf", "filesize": [{"value": "280.9 kB"}], "format": "application/pdf", "future_date_message": "", "is_thumbnail": false, "licensetype": "license_11", "mimetype": "application/pdf", "size": 280900.0, "url": {"label": "要旨・審査要旨", "url": "https://ir.soken.ac.jp/record/106/files/乙163_要旨.pdf"}, "version_id": "2b8f85af-66c5-4c23-87c5-c7e5f5cf7a3a"}, {"accessrole": "open_date", "date": [{"dateType": "Available", "dateValue": "2016-02-17"}], "displaytype": "simple", "download_preview_message": "", "file_order": 1, "filename": "乙163_本文.pdf", "filesize": [{"value": "60.6 MB"}], "format": "application/pdf", "future_date_message": "", "is_thumbnail": false, "licensetype": "license_11", "mimetype": "application/pdf", "size": 60600000.0, "url": {"label": "本文", "url": "https://ir.soken.ac.jp/record/106/files/乙163_本文.pdf"}, "version_id": "b832d76e-430e-435c-a6e9-b08f19ec6d97"}]}, "item_language": {"attribute_name": "言語", "attribute_value_mlt": [{"subitem_language": "jpn"}]}, "item_resource_type": {"attribute_name": "資源タイプ", "attribute_value_mlt": [{"resourcetype": "thesis", "resourceuri": "http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec"}]}, "item_title": "日本人の妖怪観の変遷に関する研究 -近世後期の「妖怪娯楽」を中心に-", "item_titles": {"attribute_name": "タイトル", "attribute_value_mlt": [{"subitem_title": "日本人の妖怪観の変遷に関する研究 -近世後期の「妖怪娯楽」を中心に-"}]}, "item_type_id": "1", "owner": "1", "path": ["5"], "permalink_uri": "https://ir.soken.ac.jp/records/106", "pubdate": {"attribute_name": "公開日", "attribute_value": "2010-02-22"}, "publish_date": "2010-02-22", "publish_status": "0", "recid": "106", "relation": {}, "relation_version_is_last": true, "title": ["日本人の妖怪観の変遷に関する研究 -近世後期の「妖怪娯楽」を中心に-"], "weko_shared_id": -1}
日本人の妖怪観の変遷に関する研究 -近世後期の「妖怪娯楽」を中心に-
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https://ir.soken.ac.jp/records/1064b1a2201-4577-40fb-980f-971bef6cda68
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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要旨・審査要旨 (280.9 kB)
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本文 (60.6 MB)
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Item type | 学位論文 / Thesis or Dissertation(1) | |||||
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公開日 | 2010-02-22 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 日本人の妖怪観の変遷に関する研究 -近世後期の「妖怪娯楽」を中心に- | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec | |||||
資源タイプ | thesis | |||||
著者名 |
香川, 雅信
× 香川, 雅信 |
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フリガナ |
カガワ, マサノブ
× カガワ, マサノブ |
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著者 |
KAGAWA, Masanobu
× KAGAWA, Masanobu |
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学位授与機関 | ||||||
学位授与機関名 | 総合研究大学院大学 | |||||
学位名 | ||||||
学位名 | 博士(学術) | |||||
学位記番号 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 総研大乙第163号 | |||||
研究科 | ||||||
値 | 文化科学研究科 | |||||
専攻 | ||||||
値 | 03 国際日本研究専攻 | |||||
学位授与年月日 | ||||||
学位授与年月日 | 2006-09-29 | |||||
学位授与年度 | ||||||
2006 | ||||||
要旨 | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | 本論文は、近世の18世紀後半、および近代において、日本人の妖怪に対する認識が大<br />きく変容したことを明らかにすることを目的とする。特に、近世において妖怪が娯楽の対<br />象となっていた事実に注目し、妖怪手品、妖怪図鑑、妖怪玩具、からくり的といった具体<br />的な題材を取り上げながら、それらを成立させた妖怪観の変容について考察することを中<br />心とする。<br /> 序章「妖怪の研究史と本稿の視点」では、これまでの妖怪研究の凍れを概観し、総論の<br />不足、文化史的視点の欠如、民間伝承のなかの妖怪とフィクションのなかの妖怪の関係性<br />についての考察の不足、妖怪と娯楽とのかかわりにづいての考察の不足といった問題点を<br />指摘する。それに対し本稿では、認識枠組の変容として文化史を描き出す「アルケオロジ<br />ー」の手法を用いて、フィクションとしての妖怪、娯楽の対象としての妖怪を生み出した<br />妖怪観の変容を明らかにすることを主張する。<br /> 第1章「安永5年、表象化する妖怪~18世紀後半における妖怪観の転換」では、安永<br />5年(1776)に刊行された岩苛岩隷藤島筈蒐叢存』、平賀源内『実弟論法蓮如』、上<br />田秋成『雨月物語』、恋川春町『箕遥報闇の儀し』といった文芸作品を検討し、それらが人<br />為的に作り出された「表象」としての妖怪観に基づいた作品であったことを明らかにする。<br />そして、民間伝承における妖怪が、怪異の「概念化による説明」という機能を担っていた<br />のに対し、「表象」としての妖怪は「視覚化による感情操作」という機能を担っていたとい<br />う仮説を提示する。<br /> 第2章「妖怪の作り方一妖怪手品と『種明かしの時代』」では、同じく18世紀後半に<br />登場した「妖怪手品」(妖怪を出現させる手品)について検討し、それが妖怪現象を合理的<br />に解釈したうえで、人工的に妖怪を作り出す娯楽であったことを明らかにする。さらに、<br />この「妖怪手品」に見られるように、18世紀後半が不思議なものの背後に隠された仕組み<br />を白日のもとにさらそうとする「種明かしの時代」であり、その背景に、貨幣の論理によ<br />る神霊との関係の再編があったことを明らかにする。<br /> 第3章「妖怪図鑑 - 博物学と『意味』の遊戯」では、『画図百鬼夜行』という「妖怪図<br />鑑」が生み出された背景に、18世紀後半における博物学的思考/噂好の広がりがあったこ<br />とを明らかにし、それがかつて「記号」として存在していた妖怪を「生物」としての妖怪<br />に変え、また視覚的特徴と名前によって弁別される「キャラクター」へと変換していった<br />ことを論証する。さらに「妖怪図鑑」が「見立て」という一種のパロディと容易に結びつ<br />いたという事実から、博物学と言葉遊びとが「物」と「意味」との固定的な関係の解体と<br />いう同じ認識論的基盤に基づいたものであることを明らかにし、これらが人工的な記号で<br />ある「表象」を生み出す「知」であったことを指摘する。<br /> 第4章「妖怪玩具一連びの対象としての妖怪たち」では、化物双六、妖怪カルタ、お<br />もちや絵、亀山の化物、妖怪花火、妖怪凧といった「妖怪玩具」について検討し、それら<br />が①博物学的傾向、②「蔚邑」の玩具化、③「驚き」の喚起という、視覚性に基づいた三<br />つの特徴を持っていることを明らかにする。また、節怪の人形など立体的な「妖怪玩具」<br />が少ないことにも注目し、モノとしての質量を持つ人形は神秘性やリアリティを感じさせ<br />てしまうため、娯楽よりもむしろ信仰と結びついたのではないか、という仮説を提示する。<br /> 第5章「からくり的一妖怪を笑いに変える装置」では、「からくり的」という遊戯施設<br />を例として、妖怪がいかにして人間の「笑い」と結びつき、娯楽の対象となるのかを考察<br />する。妖怪は、そのアノマリー性、および「過剰な肉体性」によって、恐怖と笑いという<br />詩論議席誠な強い情動反応を呼び起こすすぐれた「象徴」であり、「からくり的」をはじめ<br />とする「妖怪娯楽」は、その象徴特性を利用して「快楽」を引き出すものであったことを<br />明らかにする。また、「からくり的」の歴史的変遷についても検討し、それが妖怪のー変化<br />する」という特徴を遊戯化したものから、数多くの妖怪を出現させるという博物学的関心<br />に基づいたものへと変化していったことを明らかにする。<br /> 最終章である第6章「妖怪娯楽の近代 -『私』に棲みつく妖怪たち」では、近代にお<br />いてふたたび妖怪観の転換が起こり、それによって妖怪娯楽が変質していくさまを描き出<br />す。かつて「表象」として外在化され、人間のコントロール下に置かれていた妖怪が、今<br />度は人間自身にはコントロールできない「内面」の働きによって「見てしまう」ものへと<br />変貌していくのを、「神経」「催眠術」r心霊」という三つのキーワードを通じて検討する。<br />そして近代における妖怪的なものごとが、こうした認識の変容によって生み出された「私」<br />という特異な観念と結びついて発達していったことを指摘し、その延長線上にある現代の<br />オカルトブームや妖怪ブームについても考える。<br /> | |||||
所蔵 | ||||||
値 | 有 | |||||
フォーマット | ||||||
内容記述タイプ | Other | |||||
内容記述 | application/pdf |