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          <dc:title>水上人と呼ばれる人々-広東珠江デルタの漢族エスニシティとその変容-</dc:title>
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            <jpcoar:creatorName>長沼, さやか</jpcoar:creatorName>
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            <jpcoar:creatorName>ナガヌマ, サヤカ</jpcoar:creatorName>
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          <datacite:description descriptionType="Other">本論文の目的は、中国広東省珠江デルタに位置する中山市を事例に、かつて「蛋家」、&#13;
現在では「水上人」と呼ばれる人々が、漢族内部でいかなるエスニシティを形成し、それ&#13;
が今日までどのように変容してきたのかについて、1949年の中華人民共和国成立から現在&#13;
に至るまでの約50年を対象に考察することである。&#13;
　第一章では、水上人とは誰かという基本的な問題について、調査事例をもとに考察した。&#13;
水上人のかつての呼称である蛋家とは、狭義では船上生活者を示す広東語の語彙である。&#13;
水上人は地域ごとに多様な生業や居住形態をもつ。こうした多様性は一見すると、地理環&#13;
境など生態的要素に応じながら生じてきた差異であるかにとらわれがちである。しかし、&#13;
筆者がおこなった調査からは、農業開拓の開始時期が異なる地域で、どのような人々を水&#13;
上人と呼ぶかについての解釈が異なっていることが明らかになった。このことは、水上人&#13;
の地域性とは歴史的、社会的背景にもとついて、各地の人々に共有される水上人をめぐる&#13;
解釈の差異であることを示している。こうした解釈は主として、非水上人(「陸上人」)が&#13;
水上人を自分たちとは異なる人々とみなした際、生じる集団的境界とともに現われる。そ&#13;
の際、陸上人は居住形態や生業、方言、農村部の象徴として語られる「大沙田」と呼ばれ&#13;
る地域(沙田地区、すなわち沖積地を開墾した耕地)などを、自分たちと異なる水上人の&#13;
文化的要素(文化的差異)として意識する。すなわち、水上人とは他者である陸上人との&#13;
対比や差異によって維持される境界に隔てられた、相対的な社会カテゴリーであると結論&#13;
付けられた。&#13;
　続く第二章では、人民共和国成立後の1950年代から1970年代にかけて、国家という枠組みのもとに実施された政策が、水陸間の集団的境界にいかなる影響を及ぼしたのかを明&#13;
らかにした。人民共和国成立後、中国共産党は民族識別工作を実施し、中国国内のエスニ&#13;
ック・グループを「民族」として認定した。これにより従来、非漢族とみなされていた蛋&#13;
家は漢族とされた。また、その前後において差別意識を含んだ蛋家という呼び名は廃止さ&#13;
れ、水上人という呼称が用いられるようになった。これにともない文字資料を担う有識者&#13;
は、水上人を広東の「先住民族」である「古代越族」の末商が「漢化」したものと説明す&#13;
るようになった。このように水上人と古代越族を間接的に結びつける有識者らの発言は、&#13;
非漢族的イメージのメタファーとして、珠江デルタの人々の認識にも影響を与えている。&#13;
政治的に一度は否定されたカテゴリーであるにも関わらず、水上人の集団的境界が今日ま&#13;
で維持されてきた背景には、水上人を非漢族、あるいはその末商として周縁に位置づける&#13;
ことで、自らを正統な漢族と主張する広東漢族の認識が深く関与している。&#13;
　また、集団化政策は社会主義中国の経済的、社会的基礎を築く重要な政策として1950&#13;
年代から進められた。各地で生業ごとに集団組織がつくられ人々の参加が促された。この&#13;
ように生業ごとに実施された集団化は、それまで漠然と水上人と称されていた人々を「漁&#13;
民」、「船民」(水運業従事者)、「沙田農民」(沙田地区の農業従事者)という各職業集団と&#13;
して把握する結果をもたらした。しかし、集団化にともない特殊な生業に従事する集団組&#13;
織を集住させた村は、水上人の定住村として知られるようになった。また、経済的に恵ま&#13;
れなかった水上人に対しては、住居改善のための特殊な支援策も講じられた。この政策に&#13;
よって一律に建てられたレンガ素材の家屋は、珠江デルタの一一部の地域において今日まで&#13;
水上人の定住村の特徴にもなっている。人民共和国成立後、政策により強制的に均質化さ&#13;
れた水上人は、陸上への定住を遂げた。従来、水上人を特徴づける文化的要素であった船&#13;
上生活は失われたが、その後も水上人という社会カテゴリーは、以前と異なる陸上人との&#13;
文化的差異によって境界を保ちながら、当該社会に残されてきている。&#13;
　一方、集団化を経て定住を遂げた水上人の生活は、今日までさまざまに変容してきた。&#13;
それらに関する具体的な事例を検討し、水上人の集団的境界の現状を論じたのが第三章で&#13;
ある。事例として取り上げたM村は農業を主体とするが、全人口の約4パーセントの漁民&#13;
も暮らしている。M村では従来、船を住まいとしていた漁民も、そうでなかった農民も人&#13;
民共和国成立以前から簡素で可動性の高い小屋に住み、沙田地区で農業や漁業などそれぞ&#13;
れの生業を営んでいた水上人であった。しかし、1960年代から村の支援策を受け、村民は&#13;
次々に小屋から家屋へと住居を建て替え、定住を遂げていった。&#13;
　定住化にともない、M村では環境変化に適応するうえで、生業や居住形態に生じてきた&#13;
受動的変化のみならず、漢族の「伝統的」生活様式を自ら積極的に取り入れようとする能&#13;
動的変化が生じてきている。しかし、一方でM村民が今日まで継続しておこなってきた風&#13;
俗習慣も多く見られ、それらはいずれも沙田地区に特有のものであることが明らかになっ&#13;
た。陸上人が住む広東漢族の村落では、年中行事や人生儀礼など村民の多くが関わる行事&#13;
に宗族(父系親族集団)組織の関与がみられる。しかし、沙田地区は宗族組織が発達して&#13;
おらず、それが風俗習慣に大きな影響を及ぼしている。このことは、水陸間の境界には宗&#13;
族組織の有無という文化的差異が存在することを示している。つまり、水上人が陸上人と&#13;
なるためには、祖先祭祀や神祇祭祀の基礎である宗族組織を形成するために必要な経済力&#13;
だけでなく、宗族活動を通じて構築すべき「歴史」が不可欠となる。しかし、これらのハ&#13;
ードルは容易に飛び越えられるものではない。そのため、第二章で指摘した政策の名残で&#13;
ある居住環境と並んで、宗族組織の有無は現在の珠江デルタにおける水陸間の文化的差異&#13;
として保たれている。&#13;
　さらに、近年の珠江デルタでは、水上人の民謡といわれる「威水歌」が民間芸能として&#13;
注目されている。また、威水歌をはじめ沙田地区の人々の風俗習慣を「水郷文化」と称し、&#13;
観光資源として利用する動きも出てきている。第四章では、このように1990年代以降に&#13;
活発化する新たな動きを事例に、水上人のエスニシティの現在と今後の可能性について考&#13;
察した。従来、蛋家という名は他者から押し付けられた差別的な呼称であり、そう呼ばれ&#13;
た人々の側に帰属意識が生じることはなかった。しかし、沙田地区を水郷と言い換え、そ&#13;
こに住まう人々を勤勉で清貧な農民とする新たなイメージは、徐々にではあるが、かつて&#13;
蛋家、今日では水上人と呼ばれる人々にも受け入れられつつある。その要因は、民謡の歌&#13;
い手としての水上人が、政治的に評価されたことにある。このようにして創られた水上人&#13;
像が、どのような形で当該社会に定着して行くかは、今後、政府とそれらを受け入れてゆ&#13;
く人々との相互行為によって決められる。この場合、受け入れてゆく人々のなかには、水&#13;
上人のみならず、水上人を自らと差異化する陸上人や、水上人の歴史を再構築しようとす&#13;
る研究者や有識者なども含まれる。つまり、広東珠江デルタの漢族エスニシティの一側面&#13;
である水上人というカテゴリーは、異なる文化を持つ集団(陸上人)との接触によって生&#13;
成、維持されてきただけでなく、国家という枠組みや、他者により構築される歴史や語り&#13;
の影響を受けながら今日まで変容を繰り返してきており、今後も変わり行く可能性を多分&#13;
に秘めているといえる。</datacite:description>
          <datacite:description descriptionType="Other">総研大甲第1108号</datacite:description>
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