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          <datacite:description descriptionType="Other">「第一部」　ヘム（鉄-ポルフィリン錯体）を活性中心に持つヘムタンパク質は生体内に広く存在し、様々な役割を果たしている。個々のヘムタンパク・酵素の機能の違いはヘム近傍構造の違いに起因していると考えられる。
　そこで本論文では、ヘム酵素に見られる構造因子をミオグロビン（Mb）内に再構築することにより、酵素活性やヘムの配位構造に与える影響を検討した。本研究の結果、Mb変異体を用いて初めてシトクロームP450型の芳香族分子の酸化反応が進行することを明らかにし、さらに、カタラーゼを規範として、安定なチロシン軸配位子を持つ5配位高スピン型構造を構築することに成功した。
　「第二部」　ペルオキシダーゼを規範として、本来酸素貯蔵機能しかないMbの遠位ヒスチジンをヘム鉄から遠ざけたF43H/H64L Mbは非常に高い酸素添加活性を示し、ヘム酵素に共通した活性中間体である、鉄4価ポルフィリンラジカルカチオン（compound I）の直接観測を初めて可能にした。そこで、ヒスチジンと類似の構造を持ち、酸化されやすいアミノ酸であるトリプトファンをPhe-43の位置に導入したF43W MbとF43W/H64L Mbを作成し、その酸化活性を測定した（図1）。また、F43W/H64L Mbとm-クロロ過安息香酸（mCPBA）との反応でcompound Iが生成する過程においてTrp-43が酸化的に修飾されていることが明らかとなり、その酸化修飾機構について検討した。

(図１省略)

　第１章 F43W MbとF43W/H64L Mbを用いると、ペルオキシダーゼの代表的な基質であるグアヤコールは、過酸化水素が過剰に存在する条件下で、それぞれ野生型（WT）やH64L Mbに比べて3-4倍の速度で酸化された（表1）。この1電子酸化反応の律速段階はcompound Iの生成過程にある事から、トリプトファンは過酸化水素との反応性を向上させていると考えられる。同様な傾向はチオアニソールのスルフォキシ化およびスチレンのエポキシ化反応（2電子酸化）でも観察された（F43W＞WTかつF43W/H64L＞H64L）（表2）。また、チオアニソールの酸化反応において、トリプトファンを導入した変異体はそれぞれトリプトファンを持たないWTやH64L Mbに対して20倍以上の活性を示した。これは、1電子酸化反応活性の向上率（3-4倍）よりも大きい事から、トリプトファン変異体では生成したcompound Iが効率良く基質を酸化しているのではないかと予想された。そこで、遠位ヒスチジンがロイシンに置換されているH64L、F43W/H64L MbにおいてmCPBAを酸化剤として生成したcompound Iとチオアニソールとの反応の速度を比較した。F43W/H64L Mbのcompound Iと基質との反応速度はH64L Mbよりも2倍程度速く、2電子酸化活性が向上した要因の一つであると考えられる。

(表１、表２省略)

　ところが、F43W/H64L MbとmCPBAとの反応後のタンパクの分子量は29-32Da増加しており、タンパク質が修飾されていることが明らかとなった。この分子量の増加は導入したトリプトファンの修飾によるものと推定された。そこで、F43W/H64L Mbの修飾部位を決定するためにリシルエンドペプチダーゼ（Lys-C）で分解し、FPLCによりペプチド断片を分離、分取した後、質量分析によりフラグメントの分子量を確認した。その結果、Trp-43のみ30Da分子量が増加していることが判明した。この分子量の増加はトリプトファンに酸素原子が2つ挿入され、水素原子が2つ抜けたものと説明できる。
　第２章 シトクロームP450は様々な芳香族・脂肪族分子の一原子酸素添加反応を触媒するヘム酵素である。一つの例として、P450camは基質であるcamphorをヘム近傍に水素結合により固定していることが結晶構造から明らかとなっている（図3A）。一方、これまでMb変異体を用いた系では芳香族・脂肪族分子の酸化反応は進行しなかったが、基質をヘム近傍に固定化することでP450に見られる基質の酸化反応が進行するのではないかと仮定した。トリプトファンをPhe-43の位置に導入したF43W/H64L Mbは、導入したトリプトファンがヘム近傍に固定されていることからこの仮定を検証するための良いモデルである（図3B）。

　(図３(Ａ)、(Ｂ)省略)

　mCPBAとの反応により得られた、修飾型トリプトファンを含むペプチドフラグメントを大量に精製し、NMRによりその構造を同定した。その結果、生成物はトリプトファンに酸素原子が2つ挿入され、水素原子が2つ引き抜かれたtryptophan-2，6-dioneであることが判明した。F43W/H64L MbとmCPBAの反応によりcompound Iが生成することが確認されており、F43W/H64L Mb推定構造からトリプトファンの7位がヘム鉄に最も近いことから、トリプトファンの酸化修飾機構の最初の段階は、一原子酸素添加反応による6，7位のエポキシ化であると考えられる。その後溶媒のH&lt;SUB&gt;2&lt;/SUB&gt;Oにより加水分解され6-hydroxyindoleが生成した後、さらに4電子酸化されtryptophan-2，6-dioneが生成したのではないかと推定した（スキーム1）。

　(スキーム１省略)

　トリプトファンをヘム近傍に固定化したことにより、Mb変異体において芳香環への酸素原子添加反応が達成された。この結果は、ヘム近傍における基質の固定化が芳香環の酸化のために重要な要素であることを示している。
「第三部」カタラーゼはチロシンを軸配位子とした5配位高スピン型構造を持ち、過酸化水素の不均化反応を触媒するヘム酵素である。
　本研究では、Mbの構造を保持したまま軸配位子としてチロシンを導入し、5配位高スピン型構造を構築するために、遠位ヒスチジン（His64）をチロシンに変換し、さらに本来の軸配位子である近位ヒスチジン（His93）も同時にグリシンに変換したH64Y/H93G Mb二重変異体を作成した（図4）。近位ヒスチジンをグリシンに変換することにより基質がヘムキャビティーに入り込むための十分な空間を与えることができると考えられる。また、Mbの近位側にはカタラーゼの遠位ヒスチジンとほぼ同じ位置に97番目のヒスチジンが存在していることから、97番目のヒスチジンが一般酸塩基触媒として機能することが期待される。チロシンの配位構造は、吸収スペクトル、電子スピン共鳴スペクトル、共鳴ラマンスペクトル測定により確認した。

　(図４省略)

　その結果、Mbで初めて安定なチロシン軸配位子を持つ5配位高スピン型構造を構築することに成功した。また電子スピン共鳴スペクトルから、H64Y/H93G Mbは電子構造的に、カタラーゼに近い構造をしていることが確認された。残念ながら、H64Y/H93G Mbはカタラーゼ活性を全く示さなかった。従って、カタラーゼ活性の発現には軸配位子だけでなく別の要素が必要不可欠であると考えられる。</datacite:description>
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