{"created":"2023-06-20T13:20:06.405700+00:00","id":106,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"0bc23a8c-b250-43a8-a8db-350f4d4d6ed4"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"106","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"106"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000106","sets":["2:426:5"]},"author_link":["0","0","0"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"香川, 雅信"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"カガワ, マサノブ"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2006-09-29"}]},"item_1_degree_grantor_5":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"総合研究大学院大学"}]}]},"item_1_degree_name_6":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(学術)"}]},"item_1_description_12":{"attribute_name":"要旨","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"本論文は、近世の18世紀後半、および近代において、日本人の妖怪に対する認識が大
きく変容したことを明らかにすることを目的とする。特に、近世において妖怪が娯楽の対
象となっていた事実に注目し、妖怪手品、妖怪図鑑、妖怪玩具、からくり的といった具体
的な題材を取り上げながら、それらを成立させた妖怪観の変容について考察することを中
心とする。
 序章「妖怪の研究史と本稿の視点」では、これまでの妖怪研究の凍れを概観し、総論の
不足、文化史的視点の欠如、民間伝承のなかの妖怪とフィクションのなかの妖怪の関係性
についての考察の不足、妖怪と娯楽とのかかわりにづいての考察の不足といった問題点を
指摘する。それに対し本稿では、認識枠組の変容として文化史を描き出す「アルケオロジ
ー」の手法を用いて、フィクションとしての妖怪、娯楽の対象としての妖怪を生み出した
妖怪観の変容を明らかにすることを主張する。
 第1章「安永5年、表象化する妖怪~18世紀後半における妖怪観の転換」では、安永
5年(1776)に刊行された岩苛岩隷藤島筈蒐叢存』、平賀源内『実弟論法蓮如』、上
田秋成『雨月物語』、恋川春町『箕遥報闇の儀し』といった文芸作品を検討し、それらが人
為的に作り出された「表象」としての妖怪観に基づいた作品であったことを明らかにする。
そして、民間伝承における妖怪が、怪異の「概念化による説明」という機能を担っていた
のに対し、「表象」としての妖怪は「視覚化による感情操作」という機能を担っていたとい
う仮説を提示する。
 第2章「妖怪の作り方一妖怪手品と『種明かしの時代』」では、同じく18世紀後半に
登場した「妖怪手品」(妖怪を出現させる手品)について検討し、それが妖怪現象を合理的
に解釈したうえで、人工的に妖怪を作り出す娯楽であったことを明らかにする。さらに、
この「妖怪手品」に見られるように、18世紀後半が不思議なものの背後に隠された仕組み
を白日のもとにさらそうとする「種明かしの時代」であり、その背景に、貨幣の論理によ
る神霊との関係の再編があったことを明らかにする。
 第3章「妖怪図鑑 - 博物学と『意味』の遊戯」では、『画図百鬼夜行』という「妖怪図
鑑」が生み出された背景に、18世紀後半における博物学的思考/噂好の広がりがあったこ
とを明らかにし、それがかつて「記号」として存在していた妖怪を「生物」としての妖怪
に変え、また視覚的特徴と名前によって弁別される「キャラクター」へと変換していった
ことを論証する。さらに「妖怪図鑑」が「見立て」という一種のパロディと容易に結びつ
いたという事実から、博物学と言葉遊びとが「物」と「意味」との固定的な関係の解体と
いう同じ認識論的基盤に基づいたものであることを明らかにし、これらが人工的な記号で
ある「表象」を生み出す「知」であったことを指摘する。
 第4章「妖怪玩具一連びの対象としての妖怪たち」では、化物双六、妖怪カルタ、お
もちや絵、亀山の化物、妖怪花火、妖怪凧といった「妖怪玩具」について検討し、それら
が①博物学的傾向、②「蔚邑」の玩具化、③「驚き」の喚起という、視覚性に基づいた三
つの特徴を持っていることを明らかにする。また、節怪の人形など立体的な「妖怪玩具」
が少ないことにも注目し、モノとしての質量を持つ人形は神秘性やリアリティを感じさせ
てしまうため、娯楽よりもむしろ信仰と結びついたのではないか、という仮説を提示する。
 第5章「からくり的一妖怪を笑いに変える装置」では、「からくり的」という遊戯施設
を例として、妖怪がいかにして人間の「笑い」と結びつき、娯楽の対象となるのかを考察
する。妖怪は、そのアノマリー性、および「過剰な肉体性」によって、恐怖と笑いという
詩論議席誠な強い情動反応を呼び起こすすぐれた「象徴」であり、「からくり的」をはじめ
とする「妖怪娯楽」は、その象徴特性を利用して「快楽」を引き出すものであったことを
明らかにする。また、「からくり的」の歴史的変遷についても検討し、それが妖怪のー変化
する」という特徴を遊戯化したものから、数多くの妖怪を出現させるという博物学的関心
に基づいたものへと変化していったことを明らかにする。
 最終章である第6章「妖怪娯楽の近代 -『私』に棲みつく妖怪たち」では、近代にお
いてふたたび妖怪観の転換が起こり、それによって妖怪娯楽が変質していくさまを描き出
す。かつて「表象」として外在化され、人間のコントロール下に置かれていた妖怪が、今
度は人間自身にはコントロールできない「内面」の働きによって「見てしまう」ものへと
変貌していくのを、「神経」「催眠術」r心霊」という三つのキーワードを通じて検討する。
そして近代における妖怪的なものごとが、こうした認識の変容によって生み出された「私」
という特異な観念と結びついて発達していったことを指摘し、その延長線上にある現代の
オカルトブームや妖怪ブームについても考える。
","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_18":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大乙第163号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"文化科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"03 国際日本研究専攻"}]},"item_1_text_10":{"attribute_name":"学位授与年度","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"2006"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"KAGAWA, Masanobu","creatorNameLang":"en"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_files":{"attribute_name":"ファイル情報","attribute_type":"file","attribute_value_mlt":[{"accessrole":"open_date","date":[{"dateType":"Available","dateValue":"2016-02-17"}],"displaytype":"simple","filename":"乙163_要旨.pdf","filesize":[{"value":"280.9 kB"}],"format":"application/pdf","licensetype":"license_11","mimetype":"application/pdf","url":{"label":"要旨・審査要旨","url":"https://ir.soken.ac.jp/record/106/files/乙163_要旨.pdf"},"version_id":"2b8f85af-66c5-4c23-87c5-c7e5f5cf7a3a"},{"accessrole":"open_date","date":[{"dateType":"Available","dateValue":"2016-02-17"}],"displaytype":"simple","filename":"乙163_本文.pdf","filesize":[{"value":"60.6 MB"}],"format":"application/pdf","licensetype":"license_11","mimetype":"application/pdf","url":{"label":"本文","url":"https://ir.soken.ac.jp/record/106/files/乙163_本文.pdf"},"version_id":"b832d76e-430e-435c-a6e9-b08f19ec6d97"}]},"item_language":{"attribute_name":"言語","attribute_value_mlt":[{"subitem_language":"jpn"}]},"item_resource_type":{"attribute_name":"資源タイプ","attribute_value_mlt":[{"resourcetype":"thesis","resourceuri":"http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec"}]},"item_title":"日本人の妖怪観の変遷に関する研究  -近世後期の「妖怪娯楽」を中心に-","item_titles":{"attribute_name":"タイトル","attribute_value_mlt":[{"subitem_title":"日本人の妖怪観の変遷に関する研究  -近世後期の「妖怪娯楽」を中心に-"}]},"item_type_id":"1","owner":"1","path":["5"],"pubdate":{"attribute_name":"公開日","attribute_value":"2010-02-22"},"publish_date":"2010-02-22","publish_status":"0","recid":"106","relation_version_is_last":true,"title":["日本人の妖怪観の変遷に関する研究  -近世後期の「妖怪娯楽」を中心に-"],"weko_creator_id":"1","weko_shared_id":-1},"updated":"2023-06-20T16:15:15.012624+00:00"}