@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00001089, author = {光村, 直洋 and コウムラ, ナオヒロ and KOHMURA, Naohiro}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {(目的)非レセプター型チロシンキナーゼのFynは、神経系及び免疫系で高い発現が認められている。神経系においては特にオリゴデンド口サイト、神経細胞成長円錐で強く発現し、神経細胞ではPSD(Postsynaptic Densitty)画分に濃縮している。Fynは細胞膜に存在するレセプター分子と結合し細胞外のシグナルを細胞内に伝えている。免疫系でFynと結合するレセプター分子群はT細胞のTCR複合体やB細胞のmIg複合体など多数知られており、神経系ではオリゴデンド口サイトに発現しているmyelin-associated glycoprotein(MAG)が知られている。また、神経筋接合部で機能しているnicotinic acetylcholine receptor(AchR)がシビレエイの発電器官でFynと結合していることも知られている。しかし、脳の神経細胞でFynと結合しているレセプター分子は現在まで得られていない。ジーンターゲティング法によりFynを欠損させたマウスは、脳の構造、学習、記憶、本能行動に異常が見られることが報告されており、Fynが中枢神経系形成や行動制御に関連していることが明らかとなっている。脳の神経細胞において細胞外からのFynを介した情報伝達機構を解明することは、脳の高次機能を分子レベルで理解する上で新たな知見が得られると考えられる。当研究室の甲斐らは以前、酵母を用いたTwo-hybrid法によりFynのunique-SH3-SH2領域と結合する多数の分子をクローニングした。それらの中の1つに疎水性アミノ酸に富んだ膜貫通ドメインと思われる領域とカドヘリンモチーフを持つ新たな分子が存在し、CNRl(Cadherin-related neural receptor 1)と命名された。ノーザンブロット法により脳特異的で生後10日目に発現のピークがあることが分かった。既知の幾種かのカドヘリン分子は脳においてシナプスで強く発現していることが知られており、CNR1は脳に存在しFynに結合しているレセプター分子でありFynと共に中枢神経系形成や行動制御に関連している可能性が考えられたので本研究ではこの分子について詳しく解析した。
 (結果)マウス脳のcDNAライブラリーを作製しスクリーニングを行った結果、CNR1の全長cDNAを得ることができた。CNR1は細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内ドメインで構成されていた。細胞外ドメインに6回のカドヘリンリピートが存在し、第1カドへリンリピートにはインテグリンに結合するモチーフであるRGD配列が確認された。カドヘリンスーパーファミリーの中でRGD配列を持つものは現在まで知られておらず、CNR1が初めてである。膜貫通ドメインから細胞内ドメインにかけてはシステイン残基が規則的に出現する構造が確認された。また、細胞内ドメインにSH3と結合するモチーフであるPXXP配列が5回存在した。CNR1のcDNAと同時に塩基配列レベルで88.4%一致する違ったタイプのものも得られ、CNR2と命名した。CNR2はCNR1で認められた構造や特徴がとてもよく保存されており、驚くことに細胞内ドメインの途中からpolyAまでは全く同じ塩基配列であった。CNR1とCNR2に保存された配列をプローブに用いてゲノミックサザンブ口ッティング法を行った結果、CNRは約20種類からなるファミリーを形成しており、未知のCNRが存在すると考えられた。そこでN末とC末の保存された配列から2種類のプライマーを作製しRT-PCRを行った結果、新たに6つの違ったcDNAが得られ、CNR3からCNR8と命名した。CNR1とCNR2で保存されていた配列や特徴がこれらにもよく保存されていた。得られた8種類それぞれのCNRに特異的な配列を用いてRT-PCRとゲノミックサザンブ口ッティング法を行ったところ、それぞれのmRNAは実際に脳に存在し、ゲノム上の違った遺伝子座に載っていることが分かり、実際にファミリーを形成していることが確かめられた。CNR1の蛋白質レベルでの解析を目的とし、CNR1の細胞外ドメインを抗原にしてウサギ抗血清とマウスモノクローナル抗体6 - 1Bを作製した。CNR1蛋白質の脳における発生過程での存在量をウェスタンブロッティング法により調べたところ生後7日までは増加し生後30日には減少していた。これはノーザンブロッティング法で得られた結果とほぼ一致していた。脳の細胞分画をサンプルに用いたウェスタンブロッティング法よりCNR1はFynと同じようにPSD画分に濃縮していることが分かった。Fynに対するモノクローナル抗体を用いて免疫沈降を行ったところCNR1が共沈してくることが分がりCNR1とFynが実際に生体内で結合していることが確かめられた。大腸菌で合成したCNRとFynの蛋白質を用いたELISAよりCNRの細胞内ドメインの保存された配列はFynのSH3に結合することが分かった 
 (考察)CNRファミリーの構造を細かく検討するとファミリー間でよく保存されているものの、既知のカドヘリン分子とは特に第1カドへリンリピートや細胞内ドメインの構造が異なっており、今までの研究で得られてきたカドヘリンの細胞間接着能とは違った機能を持つことが考えられる。脳においてCNR1はPSD画分に濃縮しており、しかもCNRファミリーはFynと結合していた。PSD画分に存在する蛋白質は、シナプス可塑性及び行動制御に関連することが現在までに明らかになっており、その一つのFyn蛋白質とCNRファミリーが結合していることを考えるとCNRは今後、脳機能の分子メカニズムを解明して行く上で興味深い分子群であると想定される。さらに約20種からなるファミリーを形成していること、細胞接着活性が想定されることよりCNRファミリーは個々のシナプス間の特異的接着に関与している可能性があり、神経回路形成における役割が考えられる。, application/pdf, 総研大甲第283号}, title = {A Novel Cadherin Subfamily, the CNR Family, is Associated with Fyn, and Concentrated in the Postsynaptic Density Fraction of the MouseBrain}, year = {} }