@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00001129, author = {池田, 武史 and イケダ, タケシ and IKEDA, Takeshi}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {特定の糖蛋白質に付加されるN結合型糖鎖は組織によって大きく異なる。特に脳内では他の臓器と比較して非常に多様かつ特徴的な構造を持つ糖鎖が発現しており、それらの発現パターンは時期・領域ごとに固体差なく厳密に制御されている。近年N結合型糖鎖生合成系に関与する様々な酵素の遺伝子欠損マウスが作製され、N結合型糖鎖は脳の正常な発生に必須であることが明らかとされた。しかし未だ脳に特徴的な糖鎖構造がどのような生理的意義を持つのかほとんど明らかとされていない。その理由の1つとして糖鎖の構造レベルでの理解が不十分であることが挙げられる。脳形成過程に発現する糖鎖構造を詳細に解析することは、それらが持つ生理機能を解明するために必須であると考えられる。
 そこで今回彼はマウス大脳皮質発達過程において、組織全体に発現する主要な糖鎖の構造を決定した。マウス胎生12日、16日、生後0日、7日、12週齢より大脳皮質を摘出し、ヒドラジン分解で糖鎖を切り出し、ピリジルアミノ基で非還元末端を蛍光標識した。得られたピリジルアミノ化糖鎖は、ノイラミニダーゼで処理して非還元末端のシアル酸をすべて除去した後、順相HPLCで糖鎖をサイズにより分離して、さらに逆相HPLCで糖鎖をほぼ単一まで分離した。各HPLCの外部標準の溶出位置から各糖鎖のマンノースユニット及びグルコースユニットを求め、2次元マップ上にプロットした。市販の標準糖鎖と2次元マップ上で一致するものは、それらとco-injectionすることによりその構造を決定した。いずれの標準糖鎖とも一致しないものは、酵素消化や質量分析(MALDI/TOF-MAS)によりその構造を決定した。酵素消化により構造を決定した6個の糖鎖のうち1つ(A2G1Fo(6)G'1(3)F)は脳内で発現が報告されていない新規な構造であった。陰イオン交換HPLCにより各糖鎖のシアル酸付加に関しても併せて解析を行った。
 マウス脳には高マンノース型糖鎖が多く、混成型及び複合型糖鎖には以下のような特徴が認められた。
 (1)ガラクトシル化のレベルが低く、N-アヤチルグルコサミン(GlcNAc)が非還元末端に存在する不完全なプロセシング産物が多い。
 (2)側鎖にLewisX構造、コアフコース、パイセクティングGlcNAcを持つ。
 (3)マンノースα1-3分岐側鎖のGlcNAc残基が欠けている。
 (4)非還元末端のガラクトース残基がβ1-4だけでなく、β1-3結合を介してGlcNAcに付加される。
 マウス大脳皮質発達過程において、高マンノース型糖鎖の中でM5Aが顕著な増加を示した。混成型及び複合型糖鎖では、胎生12日の時点ではあまり脳に特徴的な糖鎖構造は認められなかった。胎生12~16日では、脳室帯で神経芽細胞が盛んに産生きれ、放射状ダリアと呼ばれる構造に沿って髄膜側へと移動を行っている。この時期にβ1-4ガラクトース転移酵素1の発現が急激に低下し、それに伴って非還元末端にβ1-4結合したガラクトースを持つ糖鎖が減少し、GlcNAcでプロセシングが停止した糖鎖が増加した。神経細胞の産生が減少しアストロサイトの産生が始まる胎生16日では、パイセクティングGlcNAc、コアフコース、LewisX構造などの脳に特徴的な構造を持つ糖鎖の発現が徐々に増加を開始した。オリゴデンドロサイトの産生が始まる生後0日こは、非還元末端にβ1-3結合したガラクトースを持つ糖鎖の発現が認められた。アストロサイトの産生が減少し、シナプス形成とそれに続くミエリン形成が盛んに起こる生後7日では、マンノース。β1-3分岐側鎖のGlcNAc残基が欠けた糖鎖の発現が認められ、パイセクテイングGlcNAc、コアフコース、LewisX構造を持つ糖鎖の発現がピークを迎えた。これらの結果から脳に特徴的な糖鎖構造は、脳発達過程においてそれぞれ異なった生理的役割を担っていると考えられた。, application/pdf, 総研大甲第698号}, title = {Characterization of Major N-linked Sugar Chain Structures Expressed in Mouse Cerebral Cortex during Development}, year = {} }