@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00001158, author = {田中, 悟志 and タナカ, サトシ and TANAKA, Satoshi}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {霊長類を用いた電気生理学的研究や人の神経心理学的な研究から、Bordmann area 6 (BA6)は高次運動機能に専制的に関わる領域であると従来考えられてきた。しかしながら、近年の脳機能画像法を用いた実験から、BA6が非運動性認知課題中にも広く活動することが明らかになってきた。このような知見は、高次認知機能が運動制御など人間以外の動物と連続性を持った機能と同じ脳内情報処理過程を共有している可能性を示しているという点で重要であると考えられている。しかしながら、BA6の高次運動機能にくらべて、その非運動性認知機能の機能局在に関しては未知な点が多い。さらに脳機能画像法で検知されたBA6の脳活動は、しばしばボタン押し反応やそれに伴う運動準備の活動として解釈されており、その非運動性認知機能に対する機能的有意性が疑問視されている。そこで本博士論文において、空間解像度の優れた脳機能画像法である機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging:fMRI)と、磁気によって発生する渦電流によって一時的に脳機能を抑制する連続経頭蓋磁気刺激法(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)を用いることにより、ヒトBA6の非運動性認知機能に関する機能局在とその機能的有意性について検討した。
 14名の健常被験者がfMRI実験とrTMS実験の両方の実験に参加した。課題は心表象を逐次操作する心表象操作課題であった。心表象の違いにより言語表象操作課題と視空間表象操作課題の2種類が用意された。言語表象操作課題では、まず日曜日から月曜日までの曜日を示す漢字が1字モニタに呈示された。次に1-4までの数字が5-7回ランダムにモニタに呈示された。被験者の課題は、最初に呈示された曜日を数字の分だけ心の中で進めていくというものであった。数字が呈示され終わったあと、再び日から月までの曜日を示す漢字が1字モニタに呈示されるので、被験者は今心の中にある曜日が呈示された曜日と同じであるかどうかをボタン押しで判断した。視空間表象操作課題では、まず3×3のマス目の中のどれか一つに黒円が描かれている絵が呈示された。次に言語表象操作課題と同様、1-4までの数字が5-7回ランダムにモニタに呈示された。被験者の課題は、心の中で黒円を時計回りに数字の分だけマス目を進めていくというものであった。まずfMRI実験を行い、課題遂行中の脳活動を計測した。次に被験者ごとにfMRI実験で明らかになったBA6の活動部位に対して、約8分間の低頻度rTMSを行い、心表象操作課題の成績への影響を検討した。
 fMRI実験では、視空間表象操作課題よりも言語表象操作課題において内側BA6がより活動を示した。一方、言語表象操作課題よりも視空間表象操作課題において両側の外側BA6がより活動を示した。rTMS実験では、内側BA6への連続磁気刺激は磁気刺激直後の言語表象操作課題の反応時間のみを遅延させた。一方、左半球もしくは右半球の外側BA6への連続磁気刺激は、磁気刺激直後の視空間表象操作課題の反応時間のみを遅延させた。30分後の課題成績にはいずれの脳部位への連続磁気刺激も影響を与えなかった。したがって、内側BA6は言語表象操作に関わり、両大脳半球の外側BA6は視空間表象操作に関わるという二重乖離が、同一の被験者を用いたfMRIとrTMS実験の2つの実験で示された。よって、この実験結果は、BA6の非運動性認知機能に関する機能局在を強く示すものであると結論づけられる。, application/pdf, 総研大甲第881号}, title = {Modality-specific cognitive function of medial and lateral human brodmann area 6.}, year = {} }