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への変化が一般的なタイプとして指摘され,その要因としては,人口増加や商品化や国家政
策などが挙げられている.しかしながら,その変化の歴史的過程については農民の世帯レベ
ルや1筆あたりの畑レベルでみると十分に明らかにされておらず,その要因についても同様
である.
 本論文では,タイ北部のヤオ族の暮らす山村を事例にして,この地域で行われていた焼畑
の実態を世帯レベルで復元すること,その変化の過程を畑一筆ごとにみることなどから詳細
に把握することを第1の目的とする.あわせて,焼畑変容の要因を村への商品経済化や国家
政策の浸透などの観点から分析することも目的とする.具体的には,2003年10月から2007
年8月までのあいだの約1年半の間にわたって調査村に滞在する住み込み調査の形をとっ
た.なかでも,1950年代~2000年代にかけての村レベルでの土地利用の変化および村の農
耕活動の変化を対象にして,ハンドヘルドGPSを用いた現地の踏査によって1980~2005
年における世帯レベルの畑利用の履歴を示した点に重点をおいた.
 まず第1章では,焼畑に関する先行研究を概観することで,問題の所在を明らかにし,研
究の調査の概要と研究の枠組みを述べた.従来の環境人類学的な焼畑研究は,文化生態学,
歴史生態学,政治生態学の3つの枠組みから整理することができる.本論文は,歴史生態学
の流れに位置つくもので,政治生態学的研究にも密接に関与している.これまでの歴史生態
学的研究の動向では,焼畑の休閑システムの環境史的再構成を試みた研究がきわめて不足し
ている点が指摘された.世帯レベルに踏み込んだ畑の利用歴に関する事例研究はほとんどみ
られない.
 第2章では,調査地域と調査村を概観したうえで,村の農耕の現状について記述した.調
査村では自給用の陸稲と,換金用のトウモロコシ(ハイブリッド,以下H)栽培がおこなわ
れ,トウモロコシ(H)の販売が経済活動の中心であることを指摘した.
 第3章では,航空写真からの土地利用の分析と,古老への聞き取りをもとに,1950年代~
1970年代にかけての調査村における焼畑を中心とした農耕とその生活を概観した.1954年
と1978年ともに,焼畑による陸稲および在来トウモロゴシ栽培がおこなわれていたと推定さ
れる.同時に,2つの年において,ケシ栽培の重要性がきわめて高かったことが示唆された.
 第4章では,ハンドヘルドGPSを用いた現地踏査によって1980~2005年における世帯レ
ベルの畑利用の履歴を示した.具体的には,当時から存在していた2世帯(世帯Aと世帯B)
をサンプルにして,各世帯の畑一筆ごとの①休閑期間,②耕作地面積,③栽培作物,④農耕
技術の変化に関する情報を収集した.
 まず,対象年代において,合計で世帯Aは19ヵ所,世帯Bは25ヵ所の畑を利用した.①
休閑期間は世帯Aでは1~10年,世帯Bでは1~13年の幅でみられた.休閑期間の平均は世
帯Aでは5・0年,世帯Bでは4.5年で,両者の違いはほぼなかったが,詳しく見てみると畑
一筆ごとに休閑期間が大きく異なることが明らかにされた.②耕作面積は,世帯Bでは常畑
化がすすんだ1999年以降に急増したが,世帯Aではそのような傾向はみられなかった.③
栽培作物では陸稲の栽培は継続されているが,トウモロコシ(H)が新たに導入された.世
帯Aではトウモロコシ(H)が1997年から毎年栽培され,1999年から栽培が本格化した.
いっぽう世帯Bでは,1996年から毎年栽培され,2000年から栽培が本格化した.④農耕技
術の変化では世帯Aでは1995年,世帯Bでは1993年に陸稲畑で,除草剤と化学肥料を利
用し,その後利用が継続されている.
 以上のことから,①から④のすべての項目において世帯間での違いが認められる点などを
考慮すると,焼畑の変化の歴史的過程を把握する際には世帯間の違いを無視できないことが
示唆される.
 第5章では,1991年からの森林政策を中心とした国家による土地政策と,これに対する住
民の対応を,世帯レベルの事例から示した.まず,これまで農民が利用できた土地を保全林
(1991年)および植林地(1991~1997年)に設定することからなる森林政策が実施された
ことで,農民の利用できる土地が制限された状況を,林地指定地内の現在使用されている畑
の分布で示した.その結果,20世帯中の18世帯の畑がみられ,その数は世帯によって1~
3ヵ所の違いが認められた.また,住民による森林政策に対する抗議活動はみられないもの
の,住民による畑の占有権を守るための対応は,調査対象とした3世帯(世帯A,世帯B,
世帯C)において異なることが明らかになった.
 第6章では,調査村全体の土地利用の変化(1954~2003年)および世帯レベルにおける
休閑期間および耕作地面積および陸稲耕作地の年次変化から焼畑の変容過程(1980~2005
年)を把握する.同時に焼畑変容の要因を村への商品経済化や国家政策の浸透などの観点か
ら分析する.
 まず,1954年,1978年,2003年における航空写真による土地利用の比較から,全土地に
対する耕作地面積の割合は,それぞれ4.4%,3.3%,30.7%に変化した.つぎに,休閑期間
は,上述した畑一筆ごとに休閑期間が大きく異なる理由が考察された.その結果は,畑の条
件の違いによるものではなくて,新たな土地を求める農民側の行動の違いが大きく関与して
いると考える.世帯レベルの焼畑面積と常畑面積の推移を比較して,各年の焼畑と常畑の耕
作状況をみると,世帯Aでは1980~1994年まで年によっては常畑もみられるが,焼畑が卓
越しており,世帯Bでは1980~1998年まで焼畑と常畑がほぼ同じ程度に共存して行われて
いたことが示された.そして世帯Aでは1995年から世帯Bでは1999年から焼畑が消滅し,
常畑のみが見られるようになった.以上のことからも世帯間での違いを指摘できる.しかし
ながら,A世帯,B世帯のどちらにおいても,陸稲耕作地の年による移動は維持されていた.
 焼畑変容の要因では,世帯間での違いが認められなかった.焼畑から常畑への変容には,
1987年に開通した車道が整備されたことや,上述した1991年から始められた,森林政策の
影響が大きかったと考えられる・また,除草剤と化学肥料が利用されるようになった時期と,
畑が連作されるようになった時期が一致した.
 最後に,以上のように,本論文で示してきたタイ北部の事例は,冒頭で述べた従来の焼畑
の変容に関する研究での焼畑から常畑への単純な図式に対して,農民の世帯レベルや1筆あ
たりの畑レベルでみると,その過程は個々に異なり複雑であることが明らかになり,その過
程を詳細に描くことがいかに重要であることを示唆している.同時に,焼畑の変容を,焼畑
面積,常畑面積,休閑地面積などから定量的に捉えた点は,従来の研究には見られない本研
究の特徴である.両者の知見は,ハンドヘルドGPSを用いた現地の踏査によって明らかにな
っており,この方法が焼畑の休閑システムの環境史的再構成において,有効であることが示
された.
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