@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00001261, author = {小島, 繁 and コジマ, シゲル and KOJIMA, Shigeru}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {新しい半導体プロセス技術という位置付けで、パルスレーザーの半導体プロセス
への応用研究が盛んであり、エキシマレーザーを用いた露光プロセス等の一部は、既に生
産現場にも導入されている。今後は、レーザ-CVD、レーザーエッチング、レーザー
ドーピング、レーザー酸化及び窒化、回復アニールおよび再結晶化アニール等といった
レーザーを用いた低温化プロセスも実用化されるであろう。
 レーザーを使う利点として、(1)雰囲気に依らない、(2)局所的処理、(3)短時間処理、
(4)基板のダメージを小さくてきる、(5)プロセスの単純化、等があげられているが、多
くの場合、パルス的なレーザー照射が行われ、温度上昇を伴うので熱歪みが生じる。と
ころが、基板の温度上昇、等をナノ秒の時間オーダーで、厚さ10nmから1μm程度で、
その場観察する有効な手段が無く、パルスレーザー処理後の試料の状態の観察や数値計
算に頼ってきた。半導体基板の温度上昇、特にデバイスを作製する表面層の温度上昇及
び歪みを正確に把握することは、パルスレーザーを半導体プロセスに応用する上で大事
なことになる。
 特に、現在のMOSトランジスタのゲート酸化膜厚は、10nm程度であり、今後さらに
高密度化と共に薄くなる傾向にあるから、酸化膜厚と同程度の深さの層での温度上昇を
測定することは、今後のパルスレーザーの半導体プロセスへの応用を考え、将来の見通
しを知るうえで、非常に重要である。
 本研究では、25nsの時間分解能の時間分割X線回折法を開発し、かつX線の侵入深さ
を制御して、パルスレーザー照射下の結晶表面及び内部での格子歪みを観察し、結晶温
度の上昇を見積った。
 X線は、波長や非対称反射等の選択で侵入深さを変えることができ、表面近傍の測定
が可能である。また、全反射条件下の表面X線回折を用いれば、X線の侵入深さを試
料表面層わずか数10nmの大きさにすることも可能であり、通常の方法では困難な部分
からの情報が得られる。
 本研究では、高時間分解能の時間分割測定法として、TACを用いた方法とMCSを用い
た方法を開発した。MCSを用いた方法では、同じ角度位置での時間の推移に対する回折
強度変化を調べられるが、いまのところ時間分解能は、200nsである。TACを用いた方
法では、ロッキングカーブの強度変化を調べるのに向いており、時間分解能も25nsと高
時間分解能が実現できる。
 通常のBragg反射においては、試料の配置が対称反射や非対称反射の場合、シリコン
に対する可視パルスレーザー光の侵入深さとX線の消衰距離は、ほぼ同じオーダーの1
μm前後なので、深さ方向の温度分布を観察できる。skew diffraction配置を用いた表面X
線回折法では、X線の侵入深さを数10nmまで浅くすることができ、表面温度の見積り
が可能となる。
 これらの光学配置を用いて時間分割測定を行うことにより、以下の結果が得られた。
非対称Bragg反射を用いた表面近傍の測定では、(1)低角側での強度の増大(2)ピーク
シフト(3)半値幅の増大が観察された。半値幅の増大は、観察している層に湿度勾配と測定
している時間幅のなかでの温度変化があることを示しており、その後の半値幅の回復は、
X線で観察している層の温度が均一になる過程を示している。また、パルスレーザー照
射直後の低角側での強度の増大は、表面層の急激な温度上昇に対応しており、ピークシ
フトは、観察している層の平均温度が室温よりも高いことに対応している。
 表面に対して斜めの反射面を用いた表面X線回折での時間分割測定において、侵入深
さが0.95μmと深く表面近傍を観察している場合、パルスレーザー照射後に、ピーク強
度の減少、低角側の副ピーク、およびピークシフトが観察された。侵入深さは同程度で
あるが、通常のBragg反射を用いた時間分割測定よりも大きな変化が観察された。この
理由は、通常のBragg反射では、消衰距離を分散面の最短距離で定義しているので、
Braggピークから外れるに従って深く結晶内部にX線は侵入する。skew diffraction配置の
場合は、回折が起こると、回折の起きていない場合の侵入深さよりも消衰距離が短くな
るので浅い部分を観察していることになる。このために、skew diffraction配置のほうが
感度が良くなる。
 侵入深さが75nmと浅い場合の時間分割測定から、ピーク強度の減少、半値幅の増大、
ピークシフトが観察された。レーザー照射後50nsの測定結果におけるピークシフトから、
極表向(75nm以下)の平均温度上昇を210℃と見積ることができた。
 本研究で行ったskew diffraction配置を用いた表面X線回折法での高時間分解能の時間
分割測定は、初めての試みであり、パルスレーザー照射下の表面平均温度上昇が初めて
実験的に見積られた。評価の糸口がつかめたので、この分野の研究が活発になると考え
る。, application/pdf, 総研大甲第58号}, title = {高時間分解能X線回折法によるシリコン単結晶のパルスレーザーアニール過程の研究}, year = {} }