{"created":"2023-06-20T13:20:07.419502+00:00","id":128,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"88c954e9-bc27-4190-adf9-d26b4558defa"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"128","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"128"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000128","sets":["2:426:6"]},"author_link":["0","0","0"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"西谷, 大"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"0","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"ニシタニ, 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/>開しているのではなく、むしろ反対に各民族・村ごとに生業戦略に独自性と差異性が存<br />在する。つまり者米谷では、生態的な環境の差異性を生業戦略の差異性に転化すること<br />で、多様な生業戦略が集合し相互に補完しあう「生業複合体」を形成している。<br /> 生業複合体は市システムによって支えられ、相互に影響しあうことで促進されてきた。<br />生業複合体と市システムは、各民族・村単位で生態的な環境に応じた生業戦略の創出と<br />分業を特徴とする。それは結果として、多民族が比較的限定された地域で生活する上で、<br />多様な種類の生産物を算出するとともに、相互に生産物を依存することになり、そのこ<br />とが収穫の危険を分散するリスク回避の役目も果たしてきた側面もあると考えられる。<br />このことは生業複合体と市システムが、各民族・村ごとに生業システムそのものも相<br />互に補完していたことを意味している。つまり者米谷が地域として「生産物の相互依存」<br />と「生業システムの相互補完」という生業戦略を創出したことが、比較的限定された地<br />域で、多民族の共存を可能にした1つの要因になってきたといえるだろう。<br /> そして市システム=市場メカニズムは、生態的な環境のある特定的な部分を、ある特<br />定の民族・村が選択的に利用する、または占有することで差異的に利用した場合に生起<br />しやすい。そして生業複合体・市システム・市場メカニズムは、ある段階まではけっし<br />て社会から突出したものではなく、地域の住民が主体的に利用でき、地域の固有の生活<br />維持システムを安定させる方向に働く。ところがある段階をすぎ条件が整うと、地域の<br />生業の変容を急激に推し進め突出した利潤を追い求める方向へと突き進む。<br /> 生業の差異性と交換が市システム生み出す過程は決して意識的におこなわれたのでは<br />ないが、者米谷の生態的な環境の差異性を各民族が利用するそのはじまりが、または特<br />定的な生態的な環境の選択と占有が、市場メカニズムというシステムを宿しており、し<br />たがって不平等あるいは階層分化は、生態的な環境の差異性とともにあったといえる。<br /> 者米谷にみいだされた市場メカニズムは、外在的な影響によって生起したのではなく、<br />人びとがこの谷に住み利用しはじめたその時点で、その生起の要因がすでに生態的な環<br />境の差異性のなかに埋め込まれていたといえる。いいかえれば者米谷の複合生業体をさ<br />さえてきた市場メカニズムとは、環境利用と別個に発生したシステムではなく、生計維<br />持システムをささえるための、大きなエスノ・サイエンスの領分の1つだといえる。<br />者米谷の場合は比較的狭い地域内で、河谷平野から山の斜面へという複雑な生態的な環<br />境が存在し、各民族・村単位でそれぞれに異なった環境利用をおこなっている。つまり<br />生態的な環境が非常に多様で、差異性を利用した市場メカニズムの生起と顕在化がおこ<br />りやすいという条件にある。しかしこうしたある地域内で生態的な環境の差異性を利用<br />する状況は、何も者米谷だけの特殊な世界ではない。おそらく人類の歴史上、世界のあ<br />らゆる場所で繰り返し生起してきたのではないかと考えられる。<br /> けっきょくのところ、人は自然との関わりのなかで生きてきた。生業、交換、市、そ<br />して利潤を生み出す市場メカニズムといった人が作りあげてきたシステムも、人と自然<br />との関係性なかでしか決定されないのだという思考が必要であろう。<br /> 人間の生活世界は、生態的な環境だけが人間の行動を制約しているわけでもないし、<br />また人間が常に自然界において中心的な存在だったこともない。環境利用、生業、そし<br />て、市場メカニズムは、1つのものが独立して存在しているのではなく、さらにこれら<br />とりまく多様な要素のなかで、相互の関係性と絡み合いながらそれぞれが決定されてい<br />る。生活世界を形成しているさまざまな要素の相互の関係性を理解することが、人間の<br />社会や人間とは何かという根本的な問題を理解することにつながるのだろう。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大乙第180号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"文化科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"04 日本歴史研究専攻"}]},"item_1_text_10":{"attribute_name":"学位授与年度","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"2007"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"NISHITANI, 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