@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000136, author = {藤野, 良孝 and フジノ, ヨシタカ and FUJINO, Yoshitaka}, month = {2016-02-17}, note = {本論文は,スポーツオノマトぺの情報伝達機能が運動パフォーマンスに及ぼす影響の分析および、韻律に対する人間の運動学習の獲得,実践への反映を目的として,運動動作に及ぼす生成特性と知覚特性の分析についての研究をまとめたもめである.以下,各章ごとに概要を述べる.

 序では,従来のオノマトペ研究と本研究の位置づけ及び目的を述べた.また本論文の流れと各章の関係を記した.

第1章 スポーツオノマトぺの使用率態とその分類
 13競技387名中大学生運動選手に,スポーツオノマトぺの使用実態についてアンケート調査を実施した結果、全スポーツオノマトペの回答記述頻度は,ハ段90話(33.7%),カ段,63語(23.6%)、夕段,56語(20.9%),サ段,50語(19.1%)に限られた.表出内容は,スピード、パワー,リズム,タイミング,感情の5つに大別された.使用効果に対する評価は,相互の矛盾する二つの特徴(長所と短所)が同等の妥当仕をもって使用されていることが分かった.スポーツオノマトペの必要性は、運動選手個々人で必要とする視点が異なっていたが,総合的に肯定的に捉えていることが分かった。日本と外周のスポーツオノマトぺの使用効果について,柔道の井上・塚田氏にインタビューした結果,日本語スポーツオノマトペの/グッ/,/サッ/は海外の柔道選手に対して日本と共通した意味を情報伝達できる可能性が分かった。さらに,日本独自のスポーツオノマトペを調べる為,柔道選手に限定し実態調査した結果,技の動作を表現する際に「グッ」と「サッ」が多く使用されることが分かった.また,それらは高音調で使用されていた.

第2章 スポーツオノマトぺの音韻的・音響的特徴 先の実態調査で収集したスポーツオノマトぺ267静の音韻型,モーラ(拍),母音・子音,特殊拍などの音韻分析および柔道の動作過食ごとで発声した声の音響分析を行った結果,音韻型は促音撥音,長音,音韻の繰り返しなどが語中で接合された型が10種類確醸された.モーラは,大半が2ないしは3モーラで構成され,子音は/カ/,/ス/,/タ/,/チ/,/ハ/,/フ/,/ポ/,/グ/,/ズ/,/プ/,/ダ/,/ジ/のいずれかで使用,母音は/ウ/(56.1%)/ア/(22.9%),/イ/(12.7%)の3つに限定されることが判明した.子音は,各競技の動作内容やニュアンスによって多様に使い分けられていることが分かった.音響分析の対象者はスポーツオノマトぺを豊富に使い分ける柔道選手を選抜し,-柔道のスポーツオノマトペの実態調査で高使用頻度であった/サッ/について,技の動作過程(崩し・作り・掛け)ごとで発声させ,各動作過程の韻律的特徴を分析した。その結果,動作過程の強勢と対応し韻律が変容することが分かった.なかでも,F0が他の要素(時間長・パワー)より動作強勢と対応した変動(動作強勢が増大する程F0が上昇)が観察された.

第3章 スポーツオノマトぺの呈示が運動パフォーマンスに及ぼす行動的・生理的・心理的影響
 実態調査において,使用頻度が高かった/グッ/,/サッ/を呈示に用いて,握力と全身反応時間の運動パフォーマンスに,どのような影響を及ぼすのかを検討した結果,呈示されたスポーツオノマトペが高F0(「1低い」「6高い」)になる程,筋発揮へ及ぼす効果が増大する傾向か確かめられた.加えて,同上の動作を表面筋電図法より生理的に検証した結果,高F0になる程、筋賦活量(EMGシグナル)が増大する傾向が認められた.このことからF0が動作に及ぼす影響は実践的・生理的両観点から検証された.次いで,F0をシフトさせ韻律を統制した刺激と純音刺激が運動パフォーマンスに及ぼす影響の検証を行い,人の声と純音が運動パフォーマンスのインストラクションにどの程度差異をもたらすのか,検討した結果,人の声の方が純音よりも運動制御(力の出し分け)が顕著であることが示された.さらに,スポーツオノマトペの呈示が実践動作へ及鱒した効果を主観的に評価した結果,運動パフォーマンスを高める際のアブローチ法として有効活用が期待される回答が得られた.

第4章 スポーツオノマトペの呈示の動作印象
 /グッ/、/サッ/のF0がどのような力量感覚を有し,どのような印象を及ぼすのかを,聴取実験より検討した.さらに,6F0が6強勢(「1弱い・遅い」から「6強い・速い」)の動画とどの用に対応するのかを選択回答させ両者の適合性を分析した.その結果,/グッ/,/サッ/の主観評価スコアとF0音声刺激の2変数間に正の相関が認められた。このことから、高F0を知覚するほど主観的な印象がダイナミック(握力ではより強く,全身反応時間はより速く)になる傾向が判明した. 印象は,F0が高刺激になるほど動作を示す形容詞が高評価されることが分かった.動画とF0パラメータ刺激の対応関係は,F0値が高い刺激ほど動的な動画の評価(適合)が高くなり、静的な動画になるほど評価が低くなることが分った.総じて,F0の高さと動作強勢の対応は,心理的にも身妄、’体的にも連動していることが静められた.

第5章 スポーツオノマトぺの呈示が運動技能学習に及ばす影響
 スポーツコーチングにおいて,動作の最小と最大の感覚を伝達・習得することは簡単に行えるが,中間の動作(微妙な動作)を伝達・習得することは極めて難しいと言われている.第5章では,中間の動作(段階的)を第三者に支援し,動作の共有化を目指したスポーツオノマトペ電子辞典の開発及び教育的応用を試みた.最後に開発した,スポーツオノマトぺ電子辞典を使用し/グッ/,/サッ/の内容把握とF0と対応した動作実践を行い,微妙な力の出し分けが可能かどうかを検討した.その結果,動件の再生に個人差が見られたが,聴覚訓練(学習)を重ねるごとに微妙な運動制御ができることを確かめた.このことから,聴覚訓練による影響が運動制御の調節に転移する可能性が示唆された.以上が,第1章から第5章までの結論である.

結語
本論文を総括し,将来への課題を示した., 総研大甲第1021号}, title = {スポーツオノマトペの情報伝達機能が運動パフォーマンスに及ぼす行動的・生理的・心理的影響とその教育的応用の試み}, year = {} }