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 実験ではTMVに対する抵抗性遺伝子「N」を持つタバコ(Nicotiana tabacum)を用いた。温度依存的なN遺伝子の機能を利用して、過敏感細胞死の指標となる病斑を同調的に誘導した。この病斑形成が、カスパーゼ-1の阻害剤によって抑えられることを見出した。この結果は、TMV感染による過敏感細胞死にカスパーゼ-1様活性をもつプロテアーゼが関与していることを示唆している。
 カスパーゼ-1様活性をもつプロテアーゼを同定するために、ビオチン標識した非可逆的なカスパーゼ阻害剤を用いて、酵素-阻害剤の複合体を検出するためのインヒビター・ブロット法を開発した。この方法により阻害剤を浸潤させた感染葉から、カスパーゼ様活性をもつ40 kDaと38 kDaの複合体タンパク質を検出することができた。次にこの複合体タンパク質を同定するための実験を行った。その結果、(1)複合体形成はVPEの阻害剤によって競合的に阻害された、(2)VPEの特異抗体を用いたイムノブロット解析でもインヒビター・ブロット法で検出された複合体タンパク質と同じ分子量のタンパク質が検出された、(3)VPE抗体を用いて免疫沈降を行った後の上清でインヒビター・ブロット解析を行ったところ、複合体タンパク質のシグナル強度が減少した。(4)VPE活性がカスパーゼの阻害剤で顕著に抑えられた。(5)過敏感細胞死はカスパーゼ-1の阻害剤と同様にVPEの阻害剤によっても抑えられた。これら五つの実験結果を総合して、カスパーゼ-1様活性をもつプロテアーゼがVPEでありVPEが過敏感細胞死に関与することが強く示唆された。この仮説をin vivoで証明するために、ウィルス誘発性遺伝子サイレンシングにより内在性のVPE遺伝子の発現を抑制させた植物体を用いて解析を行った。VPEサイレンシング植物ではVPE活性だけでなく、カスパーゼ-1様活性も顕著に低下していた。この結果は植物におけるカスパーゼ-1様活性の実体がVPEであることをin vivoで証明したものである。またVPEサイレンシング植物ではTMV感染による過敏感細胞死が顕著に抑えられることを見出した。この結果は液胞内のプロテアーゼであるVPEが植物のプログラム細胞死において重要な機能を果たしているということを端的に示している。
 次にウイルス感染葉の細胞を電子顕微鏡で観察したところ、葉に病斑が形成されはじめる前に、液胞膜が部分的に崩壊されることが分かった。この液胞膜の崩壊は時間経過に伴って広範囲に広がり過敏感反応の開始後24時間で完全に崩壊した。しかしVPEサイレンシング植物では24時間後も液胞膜の崩壊は全く起こっていなかった。この結果からVPEは植物の細胞死過程で液胞膜の崩壊に関わることが示唆された。液胞膜の崩壊により、液胞内の加水分解酵素が細胞礎質に漏出することが予想され、その結果、細胞死の進行が促進されるのではないかと考えられた。また植物におけるプログラム細胞死の過程で液胞内のヌクレアーゼ活性が上昇することが報告されている。そこでウイルス感染葉における核DNAを調べたところ、過敏感反応の開始後24時間で50 kbpに断片化していた。しかしVPEサイレンシング植物では核DNAの断片化が全く起こっていなかった。この結果からVPEを介した液胞膜の崩壊が核DNAの断片化に深く関わっていることが示唆された。
 本研究により、植物には動物とは異なる液胞主導型の細胞死機構が存在し、VPEはその細胞死過程で機能する重要な鍵酵素であることが明らかになった。植物細胞独自のVPEを介した細胞死機構の解明は、様々なシグナルにより誘導される植物の細胞死の研究に新規の知見をもたらすと期待される。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_18":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第810号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"生命科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"X2 分子生物機構論専攻"}]},"item_1_text_10":{"attribute_name":"学位授与年度","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"2004"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"HATSUGAI, Noriyuki","creatorNameLang":"en"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_files":{"attribute_name":"ファイル情報","attribute_type":"file","attribute_value_mlt":[{"accessrole":"open_date","date":[{"dateType":"Available","dateValue":"2016-02-17"}],"displaytype":"simple","filename":"甲810_要旨.pdf","filesize":[{"value":"319.9 kB"}],"format":"application/pdf","licensetype":"license_11","mimetype":"application/pdf","url":{"label":"要旨・審査要旨 / Abstract, Screening Result","url":"https://ir.soken.ac.jp/record/1385/files/甲810_要旨.pdf"},"version_id":"d1b22048-4d52-4f3f-82fe-b25b4a8eaa23"},{"accessrole":"open_date","date":[{"dateType":"Available","dateValue":"2016-02-17"}],"displaytype":"simple","filename":"甲810_本文.pdf","filesize":[{"value":"6.6 MB"}],"format":"application/pdf","licensetype":"license_11","mimetype":"application/pdf","url":{"label":"本文","url":"https://ir.soken.ac.jp/record/1385/files/甲810_本文.pdf"},"version_id":"64e4ee5f-0b8d-46d6-808d-9bea51026e5b"}]},"item_language":{"attribute_name":"言語","attribute_value_mlt":[{"subitem_language":"jpn"}]},"item_resource_type":{"attribute_name":"資源タイプ","attribute_value_mlt":[{"resourcetype":"thesis","resourceuri":"http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec"}]},"item_title":"植物の過敏感細胞死における液胞プロセシング酵素の機能解明","item_titles":{"attribute_name":"タイトル","attribute_value_mlt":[{"subitem_title":"植物の過敏感細胞死における液胞プロセシング酵素の機能解明"}]},"item_type_id":"1","owner":"1","path":["27"],"pubdate":{"attribute_name":"公開日","attribute_value":"2010-02-22"},"publish_date":"2010-02-22","publish_status":"0","recid":"1385","relation_version_is_last":true,"title":["植物の過敏感細胞死における液胞プロセシング酵素の機能解明"],"weko_creator_id":"1","weko_shared_id":1},"updated":"2023-06-20T14:44:11.612020+00:00"}