@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00001423, author = {神山, 淳一 and コウヤマ, ジュンイチ and KOUYAMA, Jun-ichi}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {真核細胞には生体膜で構成された多様な細胞内小器官が存在し、それらの間では膜輸送によって物質輸送が行われている。トランスゴルジ網(TGN: trans-Golgi network)とエンドソームの間ではクラスリン被覆小胞を介した膜動輸送(メンブレントラフィック)が行われているが、その小胞形成にはAP-1複合体とGGA蛋白質が関与することが知られている。
 AP-1複合体のサブユニットである γ1アダプチンのearドメイン(γ1-earドメイン)と、GGA蛋白質のGAEドメインは、γ-synergin、Rabaptin-5、p56などのクラスリン被覆小胞に様々な機能を付加するアクセサリー蛋白質群と相互作用する。γ1-earドメインとGAEドメインには高い配列相同性があり、どちらもアクセサリー蛋白質中の[W/F]xxφ(φは疎水性アミノ酸残基)という配列モチーフを認識する。しかしながら、これらの間には、アクセサリー蛋白質に対する親和性の違いもみられることから、[W/F]xxφの認識モチーフ以外の、アクセサリー蛋白質の認識機構が存在する事が予想された。γ1-earドメインおよびGAEドメインとアクセサリー蛋白質由来ペプチドとの複合体の立体構造の比較から、生体内で γ1-earドメインに特異的に結合する γ-synerginでは、認識モチーフからC末端方向に3残基離れたPhe(+6)が、γ1-earドメインのSer764が作る分子表面と相互作用していることが近年見出された。そして、この γ1-earドメインのSer764と立体構造上該当するアミノ酸残基は、GGAファミリー全てのGAEドメインにおいてProに置換されていた(GGA1-GAEにおいてはPro574)。
 そこで私は、ヒト由来の γ1-earドメインとGAEドメインのアクセサリー蛋白質認識の分子機構を明らかにするために、γ1-earドメインのGAE型のS764P変異体と γ-synerginペプチドとの複合体、およびGGA1-GAEドメインの γ1-ear型のP574S変異体とp56ペプチドとの複合体について、それぞれのX線結晶構造を決定し野生型の構造との比較を行った。前者においては、γ1-earドメインのS764P変異により γ-synerginペプチドのPhe(+6)が立体障害を起こし、Phe(+6)の周辺で γ-synerginペプチドが γ1-earドメインから離れることによって、野生型では存在していた水分子を介する水素結合ネットワークが失われていた。これにより、γ1-earドメインS764P変異体と γ-synerginの親和性が低下することが予測された。後者においては、GGA1-GAEドメインのP574S変異は大きな構造変化を引き起こさず、野生型と同様の立体構造であったことから、ペプチドの+6部位におけるのとは別の機構の存在が示唆された。
 一方、γ1-earドメインとGGA1-GAEドメインのそれぞれの野生型と変異体について、それらのアクセサリー蛋白質への親和性を表面プラズモン共鳴を用いて測定したところ、 γ1-earドメインのSer764およびGGA1-GAEドメインのPro574、およびアクセサリー蛋白質においてはPhe(+6)が、それぞれ親和性に重要であることが分かった。以上の結果から、[W/F]xxφの認識モチーフよりもC末端方向に3残基離れたPhe(+6)がAP-1複合体とGGA蛋白質のアクセサリー蛋白質の選択特異性に関わっている事を示し、その分子機構を明らかにすることができた。, application/pdf, 総研大甲第1231号}, title = {細胞内小胞輸送を制御するAP-1複合体およびGGA蛋白質のアクセサリー蛋白質選別に関する構造生物学的研究}, year = {} }