{"created":"2023-06-20T13:21:20.344970+00:00","id":1510,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"132edf28-8a72-49ef-900c-d5edd5271ccc"},"_deposit":{"created_by":21,"id":"1510","owners":[21],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"1510"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00001510","sets":["2:430:21"]},"author_link":["0","0","0"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"前澤, 孝信"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"0","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"マエザワ, 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/>ンパク質は、マウスや線虫においても保存され、これらの動物種でも生殖細胞系列のア<br />ポトーシスを抑制する機能を持つ。したがって、この生殖細胞系列におけるアポトーシ<br />スの抑制が、Nosタンパク質の保存された機能であると考えられる。<br /> これまでの研究から、Nosタンパク質は、極細胞中において<i>head involution defective<br />(hid)</i> mRNAの翻訳を阻害することによってアポトーシスを抑制することが明らかと<br />なっている。<i>hid</i>は、アポトーシス誘導に関わるカスパーゼ活性を抑制するinhibitor of<br /> apoptosis(IAP)タンパク質に結合し不活性化するIAP結合タンパク質をコードする。<br /><i>hid</i>の機能欠損型突然変異によりNosタンパク質を欠く極細胞(<i>nos</i>極細胞)のアポトー<br />シスがほぼ完全に抑制されるので、<i>hid</i>は<i>nos</i>極細胞におけるアポトーシス誘導において<br />主要な役割を担っていると考えられる。正常胚発生過程において、<i>hid</i> mRNAは、生殖<br />巣へと移動中の極細胞中で転写される。このことは、潜在的にアポトーシスをおこなう<br />能力が極細胞に備わっていることを示唆している。本研究では、極細胞のアポトーシス<br />の役割を明らかにするために、極細胞中において<i>hid</i> 発現に関わる遺伝子の探索をおこ<br />ない、以下の諸点を明らかにした。<br /><br />1) 極細胞中の<i>hid</i>の発現に、tumor necrosis factor ligand(TNF)スーパーファミリーリガ<br />ンドホモログをコードする<i>eiger(egr)</i>遺伝子が必要であることを見いだした。<i>egr</i><br />は胚発生ステージ9のみで極細胞中で発現し、この発現には<i>decapetaplegic(dpp)</i>遺伝<br />子が関与することも明らかにした。<i>dpp</i>は極細胞に隣接した体細胞で発現し、極細胞<br />中でDppシグナル経路を活性化する。さらに、極細胞中における<i>hid</i>の発現に<i>dpp</i>も<br />関与することが明らかになった。以上の知見は、体細胞からのDppシグナルにより、<br />極細胞中で<i>egr</i>が活性化し、その働きにより<i>hid</i>の発現が引き起こされることを示唆している。<br />2)  X線照射等のストレスにより誘導されるアポトーシスに関わる<i>p53</i>遺伝子、および<br />check point kinase 2(Chk2)ホモログをコードする<i>loki(lok)</i>遺伝子が、極細胞中にお<br />ける<i>hid</i>の発現に必要であることを明らかにした。X線を照射した胚において誘導さ<br />れる<i>hid</i>の発現には、<i>lok</i>依存的なp53のリン酸化が関与することが示唆されており、<br />極細胞中においても<i>lok</i>依存的なp53のリン酸化が<i>hid</i>発現に必要と予想できる。<i>p53</i><br />は胚全体で発現が観察されるのに対して、母性<i>lok</i> mRNAとそのタンパク質は極細胞<br />に偏在することから、母性Lokによりp53がリン酸化され、極細胞中での<i>hid</i>発現に<br />関与すると考えられる。<br />3) 胚発生ステージ11の胚において、<i>hid</i>の発現とアポトーシスが頭部や顎の体節部等の<br />体細胞で検出される。<i>p53</i>は胚期の体細胞全体で弱い発現が観察されることから、こ<br />の<i>hid</i>の発現にも<i>p53</i>が関わるか否かを調べた。その結果、<i>p53</i>突然変異胚においても、<br />体細胞における<i>hid</i>の発現に変化は見られなかった。この結果は、正常胚発生過程に<br />おいて体細胞でみられる<i>hid</i>の発現が、<i>p53</i>非依存的であることを示している。さらに、<br /><i>egr</i>突然変異も体細胞における<i>hid</i>の発現に影響を与えることはなかった。以上の知見<br />を総合すると、<i>hid</i>の発現は、極細胞特異的に<i>p53</i>と<i>egr</i>によって制御されていること<br />を示している。<br />4)<i> egr</i>、<i>p53</i>および<i>lok</i>は極細胞中の<i>hid</i>の発現に必要であるが、それぞれの突然変異単独で<br />は、<i>nos</i>極細胞のアポトーシスを阻害することはできなかった。これは、各突然変異胚<br />の極細胞中において、<i>hid</i>がわずかながら発現しているためと考えられる。また、<i>egr</i><br />と共に<i>p53</i>の機能を欠く場合でも同様に、極細胞における<i>hid</i>の発現が残存しているこ<br />とから、<i>egr</i>と共に<i>p53</i>の機能を欠く<i>nos</i>極細胞でもアポトーシスを抑制できないと予想<br />できる。実際には<i>egr</i>、<i>p53</i>、<i>nos</i>の3重突然変異を作製することができなかったため、<br />この点に関して結論は出せないが、以上の結果は、<i>p53</i>と<i>egr</i>が関わる経路以外にも<i>hid</i><br />の発現を活性化する経路が存在する可能性を示唆している。<br /><br /> 以上のように、アポトーシス誘導に中心的役割を果たす<i>hid</i>の発現は、極細胞質に偏<br />在する母性因子の働きとともに、体細胞からの誘導により制御されていることが明らか<br />となった。Nosタンパク質は、<i>hid</i> mRNAの翻訳阻害によりアポトーシスを抑制すると<br />いう機能以外にも、極細胞が体細胞に分化するのを抑制するという重要な機能を持つ。<br />本研究で明らかにした<i>hid</i>の発現機構は、Nosタンパク質が減少した場合に生じる「異常<br />な」極細胞をすみやかに排除するための「品質管理機構」の一端を担っていると解釈で<br />きる。生殖細胞系列の細胞死は多くの動物で観察されるにもかかわらず、その制御機構<br />は未だに解明されていない。Nosタンパク質は多くの動物で生殖細胞系列の細胞死を制<br />御しており、本研究で明らかにした知見は、ショウジョウバエのみならず、他の動物に<br />おける細胞死の制御機構、さらにその役割を解明する上で基礎になると考えている。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第1295号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"生命科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"19 基礎生物学専攻"}]},"item_1_text_10":{"attribute_name":"学位授与年度","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"2009"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"MAEZAWA, 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