{"created":"2023-06-20T13:21:26.886266+00:00","id":1662,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"f081ed5e-6d2b-49ef-946a-42723a210cdc"},"_deposit":{"created_by":21,"id":"1662","owners":[21],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"1662"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00001662","sets":["2:427:13"]},"author_link":["0","0","0"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"松永, 哲也"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"マツナガ, テツヤ"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_date_granted_11":{"attribute_name":"学位授与年月日","attribute_value_mlt":[{"subitem_dategranted":"2010-03-24"}]},"item_1_degree_grantor_5":{"attribute_name":"学位授与機関","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreegrantor":[{"subitem_degreegrantor_name":"総合研究大学院大学"}]}]},"item_1_degree_name_6":{"attribute_name":"学位名","attribute_value_mlt":[{"subitem_degreename":"博士(工学)"}]},"item_1_description_12":{"attribute_name":"要旨","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":" チタン(Ti)合金(Ti-6Al-4V)は、機械的及び化学的特性に優れることから、ISAS/JAXAで
は科学衛星用の燃料タンク材として使用している。しかし、このタンクの耐圧試験中、室
温、耐力以下という状況ながら、顕著なクリープ挙動を観察した。観察された変形量は、
タンクとして使用する際、安全性に問題はない程度だった。しかし、Ti-6Al-4Vは、ボル
トやナットとしても使用しており、この場合、クリープによるひずみが、締結力の低下を
招くため、衛星などの破壊の原因になりかねない。通常クリープ変形は、0.4 Tm(Tm:融点)
以上の高温で顕著となり、室温が0.15 TmとなるTi合金では、設計上クリープ変形は考慮
されない。つまり、クリープ変形が考慮されない温度域且つ降伏応力以下の低応力域でク
リープ(室温クリープ)が発生した場合、予想外の事故に見舞われる危険性があるため、
本論文では室温クリープ機構を解明することを目的とした。
 初めに、様々な結晶構造を有する金属及び合金を用いて、室温クリープが発生する材料
の判別を行った。これより、六方晶構造を有する全ての材料で室温クリープが発生し、概
ね10-9 s-1程度の定常クリープ速度を示すことが分かった。この時、六方晶純金属の応力指
数(n)は約3であり、見かけの活性化エネルギー(Q)は、20 kJ/molとなった。
 次に、なぜ室温クリープが六方晶材料のみで観察されるのか、透過型電子顕微鏡(TEM)
及び光学顕微鏡(OM)を用いて変形組織を観察した。TEM観察より、六方晶金属(工業用
純チタン(CP-Ti)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn))において観察された転位は、直線的で、
転位同士の切り合いが無く、一つのすべり系しか活動していないことが分かった。また、
軸比の差異による転位構造の変化は観察されなかった。正方形を基本とした立方晶構造で
は、すべりを起こしやすいすべり系が粒内に12個存在する。一方、六角形を基にした六方
晶構造では、2個と少ない。つまり、活動しやすいすべり系が多い立方晶構造では、多く
のすべり系で転位が運動するため、転位同士が絡まり加工硬化して、クリープが発生しな
いが、六方晶構造では転位同士の絡まりが発生しにくい(加工硬化の速度が遅い)ため、
転位は自由に結晶粒内を運動でき、室温クリープが発生したと考えている。
 OM観察はCP-TiとMgを使用し、室温クリープに対する変形双晶の影響を調査した。
CP-Tiでは、純度が高くなるにつれ変形双晶の発生が顕著になるため、2つの純度の異な
る試料を準備し、変形挙動の違いを観察した。またMgでは、引張及び圧縮クリープ試験
を実施した。これは、圧縮と引張では変形双晶の発生頻度に違いがあるためである。CP-Ti
による試験の結果は、より高純度な試料において、変形双晶の発生を観察したが、クリー
プひずみは小さかった。Mgにおいては、圧縮クリープ試験後の試料から、顕著な双晶の
発生を確認したが、クリープひずみは生まれなかった。つまり、室温クリープに対する、
変形双晶の影響は低いといえる。よって、六方晶金属の室温クリープは、転位の運動が主
たる変形機構であることが明らかとなった。
 しかし、粒内で転位運動に障害がない場合、転位は粒界に堆積して、クリープ変形を停
止させることが考えられるが、長期のクリープ試験から、変形は停止しないことが明らか
となった。つまり、転位は粒界において緩和されている可能性がある。そこで、粒径を変
化させた試料を用いて、後方散乱電子回折(EBSD)法及び原子間力顕微鏡(AFM)より、
室温クリープにおける粒界の影響を調査した。
 従来の高温側の転位クリープでは、粒径依存性は観察されないが、室温クリープでの粒
系指数(p)は約1が得られた。これは、転位運動が粒界の影響を受けている証拠である。
またAFMより、クリープ変形中の粒界すべりの発生、EBSD法より、転位が粒界近傍に堆
積していることが分かった。室温クリープではQ値が低いことから、拡散による粒界すべ
りは観察されない。そこで、Q=15 kJ/mol程度と見積もられ、室温クリープのそれと近い、
すべり誘起の粒界すべり機構の適用が考えられる。この場合、律速過程は粒界での転位の
吸収で、その後、吸収された転位が粒界内を運動することで粒界すべりを生み出す。
 以上から、室温クリープとは、結晶粒内の転位運動と粒界でのすべり誘起の粒界すべり
の連続的な発現によって発生する現象であることが明らかとなり、従来から報告のある転
位クリープとは異なる機構で変形することが分かった。この結果を受け、Ashbyの変形機
構領域図に新たに、室温クリープ領域を加筆した。また、室温クリープの構成方程式を以
下のように、定義することが可能となった。
.            Q   μb   σ      b
εs = AD0 exp(−----- )(-----)(----- )n(----- )p
            RT  kT    E      d
     .
ここで、εs は定常クリープ速度、Aは定数、D0は頻度因子, Rはガス定数、Tは温度[K]、
kはボルツマン定数、μは剛性率、σは応力、Eはヤング率、bはバーガースベクトル、d
粒径である。また、Q=20 kJ/mol、n=3、p=1となった。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第1324号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"物理科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"11 宇宙科学専攻"}]},"item_1_text_10":{"attribute_name":"学位授与年度","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"2009"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"MATSUNAGA, Tetsuya","creatorNameLang":"en"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_files":{"attribute_name":"ファイル情報","attribute_type":"file","attribute_value_mlt":[{"accessrole":"open_date","date":[{"dateType":"Available","dateValue":"2016-02-17"}],"displaytype":"simple","filename":"甲1324_要旨.pdf","filesize":[{"value":"343.1 kB"}],"format":"application/pdf","licensetype":"license_11","mimetype":"application/pdf","url":{"label":"要旨・審査要旨","url":"https://ir.soken.ac.jp/record/1662/files/甲1324_要旨.pdf"},"version_id":"c56924c5-5b17-4b1a-a518-6d64543f9819"}]},"item_language":{"attribute_name":"言語","attribute_value_mlt":[{"subitem_language":"jpn"}]},"item_resource_type":{"attribute_name":"資源タイプ","attribute_value_mlt":[{"resourcetype":"thesis","resourceuri":"http://purl.org/coar/resource_type/c_46ec"}]},"item_title":"室温における六方晶金属特有の新たなクリープ機構の解明","item_titles":{"attribute_name":"タイトル","attribute_value_mlt":[{"subitem_title":"室温における六方晶金属特有の新たなクリープ機構の解明"}]},"item_type_id":"1","owner":"21","path":["13"],"pubdate":{"attribute_name":"公開日","attribute_value":"2011-01-17"},"publish_date":"2011-01-17","publish_status":"0","recid":"1662","relation_version_is_last":true,"title":["室温における六方晶金属特有の新たなクリープ機構の解明"],"weko_creator_id":"21","weko_shared_id":-1},"updated":"2023-06-20T15:57:32.626965+00:00"}