{"created":"2023-06-20T13:21:27.208990+00:00","id":1669,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"9ac8fe2d-8e26-4ab9-8308-2615f0d1933e"},"_deposit":{"created_by":21,"id":"1669","owners":[21],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"1669"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00001669","sets":["2:428:14"]},"author_link":["0","0","0"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"谷本, 育律"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"0","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"タニモト, 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(1)は、電子ビームがダストによって散乱される際、制動放射γ線をビーム進行方向前方に放出するためと考えられ、(2)は、ダストは光子や電子の衝撃により通常正に帯電し、陽電子ビームには安定に捕獲されないためと考えられる。\r\n このような現象は世界中の加速器で観測されているが、その詳細なメカニズムは未だ解明されていない。高エネルギー加速器研究機構の2つの放射光源リングPF-ring(2.5GeV)とPF-AR(6.5GeV)でも運転初期の1980年代から観測されており、特にPF-ARでは現在でも発生頻度が比較的高く、解決すべき問題の1つに挙げられている。寿命が低下してビーム強度が短時間の内に減少してしまうことに加え、実験ホールにおいて放射線量が増加することもあり、安定な放射光実験を妨げる最大の要因となっているためである。\r\n 本研究では、寿命急落現象の統計的観察において、寿命急落状態の持続時間の違いによる分類法を新たに導入した。すなわち、寿命急落現象を瞬間型、回復型、非回復型の3パターンに分類し、それぞれ発生頻度の推移や抑制対策効果、およびダストトラッピング理論から導かれるダストサイズに関する議論を行った。この分類法によって、ユーザー運転に与える影響がより明確に定量化され、また、ダストサイズが急落持続時間と相関を持つことも判明した。\r\n 本研究の第一目的であるビーム寿命急落問題の改善のためには、まずダストの発生要因を突き止めることが不可欠である。既知の発生要因の1つにビーム路に沿って配置されている分布型イオンポンプ(DIP)があり、そのDIPをOFFすることによって寿命急落が改善したという報告もある。PFリングでは2005年の直線部増強計画における真空ダクト改造に合わせて12台のDIPが更新され、その直後の運転で急落発生頻度の増加が観測された。特にシングルバンチ運転時に寿命急落の発生が顕著となった。そこで、新しい12台のDIPをOFFしてシングルバンチユーザー運転を行ったところ、寿命急落の発生がほぼ完全に抑制された。\r\n PF-ARでも2001年にリング全周の真空ダクト更新に合わせて56台のDIPが更新され、その後寿命急落がより頻繁に発生するようになった。2003年頃までは発生頻度が徐々に減少する傾向が見られたが、その後も週に1、2回程度の頻度で発生し続ける状態が続いていた。PF-ARでの定常的なビーム寿命を決める要因は残留ガス分子との散乱が支配的であるため、2006年からの3年間で計61台のスパッタイオンポンプを増設し、DIPをOFFした状態での運転を可能にした。しかしながら、PF-ARではDIP-OFF運転を行っても急落発生頻度は6割程度までしか減少しなかった。そこで、寿命急落時のリング真空データを調査すると、真空封止型挿入光源やストリップライン型キッカー部において、寿命急落と同期した瞬間的な圧力上昇が観測されていた。すなわち、DIPだけでなく、真空ダクト内の放電現象によってもダストが発生している兆候が見られていた。これらの放電はビームからの電磁場によって引き起こされると考えられるため、2008年より加速器立上げ期間中などに通常よりも25%程度高いビーム電流を蓄積して、放電源のコンディショニングを試みた。その結果、DIP-OFFによる対策と合わせて急落発生頻度は対策前の約3割にまで減少した。\r\n 本研究の第二の目的である実証実験によるダストトラッピングの観測を、PF-ARに独自のダスト発生装置を設置して行った。ダスト源は、上述の運転経験に基づいて、DIP内での放電を模擬した可動高圧電極と、ビームからの高電磁場で放電を起こしやすい機器を模擬した可動接地電極の2種類とし、それらをビーム路近傍に配置した。それぞれの電極における放電の様子を観察するために、ビーム路に向けて2台のCCDビデオカメラを設置した。また、トラップされたダストからの制動放射γ線を観測するため、ビーム軌道延長線上に放射線検出器を設置した。\r\n この放電装置によるダスト発生実験をユーザー運転中と同じビーム条件下で行った。まず、DIPを模擬した高電圧印加実験では、電極間放電と同期した寿命急落現象が繰り返し再現された。寿命急落が発生した場合は、CCDカメラによる放電発光の視覚的観測に加え、真空計による瞬間的な圧力上昇、放射線検出器によるγ線バーストがすべて同期して観測された。これらの観測結果は、高圧電極間放電によリダストが発生してビームにトラップされたことを裏付けるものである。また、ビームからの電磁場による放電実験でも高圧印加実験と同様に寿命急落現象が観測された。以上の再現実験の結果によって、上記2種類の真空内放電がダストトラッピングの原因になりうることを初めて実証した。\r\n 本実験におけるもう1つの成果は、ビームにトラップされたダストのビデオカメラによる視覚的な観測に初めて成功し、直接証拠としてダストトラッピング説を立証したことである。ダストの記録された映像を解析した結果、ダストはビーム軸上を速い場合で12m/s以上で移動していたと推定された。さらに、トラップされたダストからの発光原因に関して、ダストが1200~1500K程度の高温になっていたことによる黒体輻射が最も有力であるという考察結果を得た。\r\n また、本実験による一連の成果は、ダストトラッピング研究の新たな展開に繋がる実験手法を示した。すなわち、効率的にダストトラッピングが再現できる実験手段を示し、さらに、 トラップされたダストを視覚的に観測することがダストの特徴や運動を探求する手段として非常に有効であることを示した。例えば、ダストからの発光のスペクトル測定やハイスピードカメラによるダスト運動の詳細な観測を行えば,長年未解決の課題であったダストトラッピングメカニズムの解明に繋がる有益な知見が得られると考えられる。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_18":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大乙第198号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"高エネルギー加速器科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"12 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