{"created":"2023-06-20T13:20:10.174497+00:00","id":175,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"fd751517-58c1-4692-887b-4867b11645ec"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"175","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"175"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000175","sets":["2:427:9"]},"author_link":["7714","7715","7713"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"伊藤, 正勝"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"7713","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"イトウ, 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1Bu状態へ励起されたポリエン分子は、数十フェムト秒という極めて短い時間のうちに、ほぼ平面構造を保ったままで、最低励起状態の2 1Ag状態に内部転換を起こし、この状態で異性化反応を経て基底状態1 1Agに失活するまでの比較的長い時間を過ごすと考えられている。従って、最低励起状態(2 1Ag)、基底状態(1 1Ag)の2つのポテンシャルエネルギー面、その間の非断熱カップリングが異性化のダイナミックスを主にコントロールしていると考えられる。\n 彼らは、これらの電子状態を原子価結合(VB)法の描像により記述するモデルハミルトニアンを構築した。まず、π、σ電子を分離し、π電子はVB型のモデルハミルトニアンで、σ結合は分子力学法に似たポテンシャル関数で記述できると仮定した。次に、異性化に伴う2 1Ag、1 1Ag状態の変化は、CASSCF波動関数によって扱うと、イオン的VB構造の重み変化も無視できないが、Heisenberg型ハミルトニアンでのスピン間相互作用がイオン的VB構造からの寄与を繰り込むと考え、中性VB構造のみで記述した。つまり、VB型波動関数のスピンカップリングで電子状態を表現し、スピン間相互作用として表現したπ結合が異性化により変化するため、状態変化が起こるとした。\n 隣接スピン間の相互作用のみを考えた単純なHeisenberg型モデルとab-initio計算で、ポリエン分子CnH2n(n=2,3,4)のCASSCF計算によるポテンシャル面の特徴を定性的に再現できる。すなわち、2 1Ag状態において、平面構造はC4H6、C6H8は不安定であるのに対し、C8H10は安定である。2つのポテンシャル面はCC結合が2つまでのCC結合がどんなやり方でねじれても非断熱遷移が起こるのに充分なほど近づかないが、特定の組合せの3つのCC結合が90℃までねじれると、2 1Ag、1 1Ag状態は同じ規約表現に属するにもかかわらず縮遇する。その結果、蛍光寿命C4H6(<測定限界) C6H8(~1ps)で短く、C8H10(100ns)で長い事を説明している。\n 特に、s-trans butadieneについては、種々の分子配座に対してCASSCF/DZ+d計算(4軌道、4電子)を行い、非線形最小自乗法によりHeisenberg型モデルのパラメーターを決定したところ、様々な異性化経路に沿ったポテンシャルエネルギー面の起伏、非断熱カップリングの変化が、このHeisenberg型モデルで充分に定量的な精度で再現できることが明らかになった。またこれらポテンシャルエネルギー面、非断熱カップリングの特徴は、Heisenberg型2x2ハミルトニアンを介して、π電子のスピン間相互作用の異性化経路に沿った変化で容易に説明する事ができる。\n このHeisenberg型モデルを電子状態の記述に用い、半古典動力学シュミレーションにより非断熱遷移を含むトラジェクトリ一計算を行い、異性化の速度、非断熱遷移の確率、異性化に伴う分子内エネルギー緩和の機構を解析した。このシュミレーションでは、電子状態は量子論的に、分子配座は古典座標として扱い、系の時間発展はsurface hopping、断熱状態のスイッチと、その時の速度補正はTullyのアルゴリズムを用いた。\n トラジェクトリーの解析から、2 1Agから1 1Agへの非断熱遷移は3つのCC結合がねじれてそのエネルギー差が小さくなり、さらにCCC結合角の大きな減少することにより引き起こされていることが示された。更に、swarm dynamicsを解析した結果、2 1Ag→1 1Agの内部転換は、(1)励起直後の0.1ps: 励起直後のπ電子エネルギーの急激な緩和、(2)0.1ps~0.7ps: 二重結合まわりのねじれが緩和し、一重結合がねじれ始めるまでの誘導期間、(3)0.7ps~: 2 1Ag状態が減衰し始める、といった、3つのステージに分かれることも示唆された。基底状態に遷移してからは、π電子エネルギーが多くのaccepting modeに分散し、promoting modeであるCC結合ねじれ、CC伸縮、CCC変角のモードに充分に集中しないため状態遷移は不可逆となる。\n 今までに、モデルハミルトニアンの構築と非断熱動力学シュミレーションの組合せにより、butadieneの内部転換メカニズムをあきらかにすることができた。一方で、もつと長いポリエンについても、モデルハミルトニアンによる定性的記述が可能となったので、同様の手法の組合せにより光異性化グイナミクスの一般的な描像に近づくことができると考えている。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_18":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第250号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"数物科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"07 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