{"created":"2023-06-20T13:20:10.429561+00:00","id":179,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"85a067a3-ef7e-405a-91ba-d4611d15a0e5"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"179","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"179"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000179","sets":["2:427:9"]},"author_link":["7725","7727","7726"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"高橋, 尚志"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"7725","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"タカハシ, 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光電子分光法は、固体や表面の電子状態を研究するための重要な手段となっているが、従来の光電子分光実験の多くは固体や表面の電子のエネルギーや運動量を測定するものであり、電子のスピンの測定については、基本的な量子数であるにもかかわらず、実験上の様々な困難により、ほとんど行われてこなかった。しかし近年、超高真空技術の発展や放射光光源の普及、スピン分解検出器の開発にともなって、スピン分解光電子分光法による研究がようやく行われるようになってきた。例えば放射光の分野では、BESSY(独)、Brookheaven(米国)、〓エネルギー物理学研究所のフォトンファクトリーなどで、スピン分解光電子分光実験装置を用いた研究が活発に行われるようになってきた。それらのスピン分解光電子分光実験は主として磁性体を対象としているが、スピン分解光電子分光法は円偏光と組み合わせれば、非磁性体、磁性体を問わず、広く物質一般に適用可能な手法である。これを用いることで、例えば非磁性体であるGaAsやSi表面上の吸着系についてのスピン情報を直接的に得ることができるなど、従来知られていなかった知見を得る上で極めて有用な方法である。\n そこで、光電子のエネルギー、運動量そして電子スピンを測定するための、小型のスピン一角度分解型の光電子分光装置を分子科学研究所UVSORのビームラインBL-5Aにおいて製作した。この光電子分光装置は、電子エネルギー分析器、レンズ系、スピン検出器で構成され、それらは、磁気シールド(Mu-metal)で囲まれて、超高真空チャンバー中で一軸回転のゴニオメータ上に設置されている。また、エネルギー分析器部には、スピン検出器とは独立に角度分解光電子分光装置として機能し、効率よく通常の角度分解光電子分光実験が可能となるように検出器(チャンネルトロン)を設置した。\n スピン検出部は、90度偏光器、金のターゲット、4分割されたアノード、レンズ系で構成されている。スピン検出の方法としては、低エネルギー散乱型を採用した。低エネルギー散乱型検出器の動作原理は、従来のMott型検出器と同様に入射電子のターゲット(金)原子内でのスピン軌道相互作用によっているが、この方式は、Mott型検出器に比べて動作電圧が低く(150-250 eV)、小型で(約0.15x0.05x0.05m3)簡便であり、計数効率も高いという利点を持っている。一般的にこのタイプのスピン検出器の動作原理は、スピン軌道相互作用の1-s項によるので、ターゲットでの散乱面に直交するスピン偏極成分が観測され、入射電子の進行方向にそった成分は観測されない。他方、試料表面に垂直方向の光電子は、固体の逆格子ベクトル空間に於けるバンド分散を知る簡便な方法として測定されており、そのスピン偏極度を調べることは非常に重要である。そこで、エネルギー分析器とスピン検出器の間に90度偏向器を導入し、スピンの試料表面に平行な成分と垂直な成分を同時に測定することができるようにした。\n 電子光学系のパラメータは、ヘリウム(ネオン)放電管を用いて、GaAs(100)表面からの光電子を測定することにより最適化した。また、レイトレースの結果を参照しつつ、最適条件を調べた。その結果、各パラメータの値が設計値に近いことが判明し、エネルギー分析器としての完成をみた。スピン検出器の性能評価のためには、負の電子親和力(Negative Electron Affinity: NEA)を有するため光電子イールドが非常に高く、またスピン偏極度の高い電子線源として期待できるO/Cs/GaAs(100)表面を作成した。この表面にチタン-サファイヤレーザーの光を円偏光させたものを励起光として照射し、O/Cs/GaAs(100)NEA表面から放出される、スピン偏極した光電子を観測した。その結果、スピン分解した光電子分光スペクトルの測定に成功し、スピン及び角度分解型光電子分.光装置の完成を確認した。\n スピン偏極電子源として用いたGaAsのNEA表面は、GaAs(100)基板上へのCsと酸素の共吸着により形成されたものであり、良質のフォトカソ一ドとして実用されている。しかしGaAsのNEA表面は、応用面ではすでに実用段階にありながらも、基板にCsと酸素がどのように共吸着しているか、どのようにして仕事関数を下げるのか、などの基本的な機構はよく理解されていない。そこで負の電子親和力を持つ共吸着状態を理解する目的で、真空紫外光電子分光法(UPS)を使ってO/Cs/GaAs(100)の電子状態を研究した。得られた結果によれば、一回目のCs吸着によりGa-3dとAs-3dの光電子ピークは低結合エネルギー側にシフトし、一方n回目の吸着では高エネルギー側にシフトした。さらに、一回目の酸素吸着で、酸化Asのピークが現れ、Ga-3dのピークの幅が広がり、またCs-4dのピークが大きくなった。一方n回目の酸素吸着ではこのような傾向は観測されなかった。これらの結果は、NEA表面が2段階の過程で形成されていくことを示している。一回目のCsと酸素の吸着時にはGaとAsは、共にCsと酸素と反応して、表面層の再構成が起こっていると思われる。一方n回目の吸着に於いては、すべての光電子ピークは仕事関数とともに同じ方向のシフトを見せることから、これらのスペクトルの変化はCs吸着と酸素吸着に対応したバンドの曲りでよく説明しうる。n回目の吸着では、Ga、As、CsとOの各原子で構成される表面層あるいはクラスターが作られ、NEA面になっていると考えられる。以上の結果は、既存のNEA形成のモデルでは説明できないものであり、新しいモデルの構築を必要とするものであることがわかった。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_18":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第254号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"数物科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"07 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