{"created":"2023-06-20T13:20:10.559009+00:00","id":181,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"a1ac1a66-e3df-4861-8e87-3a6df65d9eda"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"181","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"181"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000181","sets":["2:427:9"]},"author_link":["7732","7731","7733"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"平尾, 強司"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"7731","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"ヒラオ, 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気相反応の反応中間体の存在を直接調べる方法の一つにマイクロ波分光法がある。マイクロ波分光法は、主として分子の回転遷移を対象としており、他の分光法に比べ検出感度や周波数分解能が非常に高い。通常のミリ波、サブミリ波領域における感度は検出可能最小密度として10 7個/cm3、濃度では数10-数ppbに達している。この感度は気相反応中に生成する寿命の短い反応中間体の検出に適している。また、反応中間体は化学結合が満たされていないもの(フリーラジカル)が多い。フリーラジカルは不対電子をもつので、その電子の軌道角運動量やスピン角運動量が分子の回転角運動量や核スピン角運動量と相互作用し、回転スペクトルに微細、超微細構造を与える。それらの相互作用はスペクトルに数100-数MHz程度の分裂を与えるが、この大きさはマイクロ波分光法の通常の分解能(数100kHz)で十分に分解可能である。ここで得られる相互作用定数は、電子励起状態との相互作用の程度あるいは不対電子の存在密度といった広い意味での分子構造についての知見を与えるものであり、分光学、分子構造論として意味が大きい。\n 本研究では、ホスフインの酸化反応中間体と考えられていながらその気相における存在が報告されていないジヒドロフォスフォリルラジカル(H2PO)の純回転スペクトルの検出に初めて成功した。その複雑なスペクトルの解析結果よりH2POラジカルの分子構造を精度良く決定し、このラジカルの分子構造論的特〆を解明した。また、既知の含リンラジカルPH2の重水素置換体PD2の純回転スペクトルを測定・解析し、同様の検討を行った。\n\n2.H2POのマイクロ波分光と分子構造\n H2POラジカルはホスフィンの燃焼反応過程での基本的な反応中間体の一つである。H2POについての実験報告は、質量分析法によるものと赤外マトリックス分光法による2例のみであり、気相分子についての分光学的報告はない。一方、H2POの類似分子であるH2NOは近年マイクロ波分光の対象になり、C2v,対称性を持つ平面分子であると結論された。しかも、NH2の反転運動による疑平面分子である可能性も指摘されている。このような分子構造論的な興味から、H2POは多くの量子化学計算の対象になってきた。特に注目すべき点は、この分子のPO結合の長さや不対電子の電子密度などが計算のレベルにより大きく変化し、全く異なる二つの安定構造が提案されていることである\n 本研究では、H2POが自由空間型セル中でPH3とCO2の混合ガスの直流グロー放電により効率的に生成することを見出し、そのミリ波・サブミリ波領域でのa型回転遷移の測定・帰属することができた。H2POの電子状態は、平面分子(C2v)ならば2B1、傘型分子(Cs)であれば2A'である。いずれの場合も、一つの回転レベルが微細相互作用により二つに分裂し、それぞれがリンの核スピンの超微細相互作用により二重項となり、この二重項のそれぞれがさらに水素の合成核スピンにより分裂する。分子が平面構造の場合回転準位の対称性により一重項または三重項に分裂し、傘型構造をとれば全ての回転準位において四重項に分裂する。今回観測されたスペクトルは回転準位の対称性にかかわらず4本に分裂していたので、H2POは傘型分子であると結論した。\n この結果は、後にC18O2を用いてH2P18Oのスペクトルを測定し、決定した回転定数と親分子の回転定数より得られるH2POのro構造からも正しいことが示された。得られたro構造はr(PO)=1.4875(4)Å、r(PH)=1.4287(14)Å、<HPO=115.52(10)°、<HPH=102.56(14)°となった。与えられたPO結合の長さは、PO結合が二重結合性を帯びていることを示しており、量子化学計算が提案している一つの安定構造を支持する結果となった。\n このH2POの構造は、超微細相互作用定数の実験値の解析からも支持される。すなわちスピン密度として、リン原子のs軌道、p軌道にそれぞれ7.7,45.4%、水素原子のs軌道に7.7%存在すると見積もることができた。その結果残りの31.5%が酸素原子上に存在することになる。得られた酸素原子のスピン密度は、不対電子が酸素原子上に局在していないことを示して、PO結合が二重結合性を帯びていることと矛盾しない。\n 結論として、ホスフインの燃焼反応の基本的な反応中間体の一つであるH2POの気相中での存在をマイクロ波分光により確証し、その分子構造を詳細に明らかにした。\n\n3.PD2マイクロ波スペクトル\n PD2(X2B1)はりん原子を含むフリーラジカルの中で最も基本的な分子種の一つであり、NH2と並んで非直線三原子分子でRenner効果をうけた電子状態をもつ重要な例である。またPH2はホスフィンの酸化過程で生成する重要な反応中間体のひとつでもある。PH2はこれまでに様々な分光法の対象とされてきたが、その重水素置換体であるPD2は2、3の電子スペクトルの測定例があるだけで、詳細な分子定数はない。本研究では重水素化に伴う微細、超微細相互作用の変化に興味を持ち、PD2の純回転スペクトルをミリ波およびサブミリ波領域において測定した。スペクトルを解析し分子定数を決定し、得られた値をPH2のものと比較・検討した。特にPD2のリン原子の核スピン一回転相互作用は、PH2の場合と同じく、スペクトルに対して大きな影響を与えていることを明らかにした。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_18":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第256号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"数物科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"07 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