{"created":"2023-06-20T13:20:10.750946+00:00","id":184,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"50ed8e76-6367-421e-8598-6b051cc38f59"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"184","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"184"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000184","sets":["2:427:9"]},"author_link":["7735","7734","7736"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"松井, 敏高"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"マツイ, 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IIのみが観測される(図4)。従って、Mbが酸化酵素として機能しない理由を明らかにすることは、とりもなおさず酸化酵素に必要な構造因子を明らかにする事につながると考えられる。\n そこで本論文では、主にベルオキシダーゼを規範としてMbのヘム近傍構造を改変し、Mbが酸化酵素として機能し得るか否かを検討した。また、これらの過程において高い酸化活性を示す変異型Mbが得られ、分子工学的側面からも興味深い結果が得られた。なお、ヘム近傍構造の改変は全て遺伝子工学的手法による部位特異的アミノ酸置換法により行った。\n\n「第一部」 図1、3に示したように、Mbの遠位旧sはベルオキシダーゼより1Å以上へムに近い。この遠位Hisの位置の違いが、H2O2との反応性、酸化活性、反応メカニズムなどに与える影響を検討するために、遠位Hisをヘムから遠ざけた変異型Mb、F43H/H64LおよびL29H/H64Lを合成した(図5)。F43H/H64Lの場合、ヘム鉄からHisまでの距離はベルオキシダーゼの場合とほぼ同じ(5.6Å)になると期待される。L29H/H64Lに関しては結晶構造が解かれており、Hisは図5に示したように酵素のものよりさらに1Å遠くに位置する。\n第一章  F43H/H64L変異体はH2O2との反応により、野生型と同様にcompound IIを与え、その速度(κ(H2O2))は野生型の11倍に向上した(表1)。一方、L29H/H64Lでは酸化活性種の生成は見られなかったが、κ(H2O2)は野生型の約1/3であることが示唆された。グアヤコールおよびABTSの1電子酸化活性はκ(H2O2)にほぼ対応して変化し、F43H/H64Lの活性は野生型の約6倍に向上した(表1)。これら1電子酸化の律速段階は、H2O2との反応であることも明らかにした。クミルパーオキシドと各Mbの反応から、O-O結合の開裂様式を検討したところ、His43のみが酸触媒としてイオン的開裂を促進することが示唆された(図6)。一方、野生型Mbの遠位Hisはヘムに近すぎるために両酸素原子と相互作用し、この結果O-O結合の開裂、つまり酸化活性種の生成を促進しないのではないかと考えられる。\n第二・三章  L29H/H64L、F43H/H64L変異型Mbは、スチレンのエポキシ化などの酸素添加反応において野生型の約10倍、300倍の活性を示し、かつ高いエナンチオ選択性を示した(表2)。H2 18O2を用いた研究から、これらの変異体はH2O2由来の酸素をエポキシドに添加することが示され、compound Iによる酸化が示唆された(図7)。一方、野生型では主に分子状酸素由来の酸素がエポキシドに取り込まれ、compound Iが速やかにcompound IIとアミノ酸ラジカルに壊れるためとされている(図7)。このことから、変異体のcompound Iは比較的安定なために効率的に外来基質の酸化を行うことができ、変異体の酸素添加活性を飛躍的に向上させていると考えられる。\n 実際F43H/H64Lでは、compound I類似の吸収スペクトルを示す中間体が、m-chloroperbenzoic acid(mCPBA)との反応で観測された(図8)。さらに、この中間体が2電子酸化当量を持つことからもcompound Iであることが支持され、Mbのcompound Iを観測した初めての例となる。野生型におけるcompound Iの不安定化の要因として、ヘムに近すぎる遠位His(His64)がcompound Iに速やかに酸化されることが考えられる(図9)。\n 以上第一部の研究から、遠位Hisの位置がMbのH2O2との反応性、compound Iの安定性などに大きな影響を持つことが示された。ペルオキシダーゼなどのヘム酵素が遠位HisをMbよりも遠くに持つということは、H2O2との反応のために位置を最適化した結果であると同時に、compound Iによる遠位Hisの酸化を防ぐだめの不可欠な要素ではないかと考えられる。\n\n「第二部」  第一部の研究から、His64によるMbのcompound Iの不安定化が示唆された(図9)。さらに、H2O2との反応ではcompound Iは観測されず、触媒反応における活性種であるのか、その酸化活性への影響、また基質との反応性などは明らかでない。そこで第二部では、His64のみを酸化されにくいアミノ酸に置換した変異型Mbを合成し(図10)、これらの点を検討した。\n第一章  H64、LH64A、H64Sの全ての変異体はmCPBAとの反応においてcompound Iを与え(図11)、His64によるcompound Iの不安定化(図9)が実験的に証明された。さらに、mCPBAとの反応性が高いLH64A、H64Sについては、compound Iによる基質酸化速度(主に2電子酸化)を直接求めることができた(表3)。これらの速度はMbのκ(H2O2)、10 2~3M-1s-1よりも明らかに速い。特にH2O2による速やかなcompound Iの還元は、H2O2を酸化剤に用いた場合にcompound Iが観測されな0ことと良く一致する。\n第二章  クロロベルオキシダーゼはH2O2との反応性の向上を、遠位Hisではなく遠位Gluを用いて行うと考えられている。そこで同様のH64D変異型Mb(図10)を合成したところ、κ(H2O2)は野生型の50倍以上に向上した。この結果、1電子酸化では野生型の40~70倍、酸素添加では約500倍の活性向上が見られた。さらに、H2O2によるcompound Iの生成が初めて確認され、H2O2を酸化剤に用いた触媒反応においてもcompound Iが酸化活性種であることが示された。Asp64の一般酸塩基触媒としての機有旨を各々のモデル反応から検討したが、AspはHisよりも塩基性が低く、また、大幅なイオン的開裂の促進も観測されなかった。H2O2との反応におけるAspの役割は現時点では明らかではない。\n\n 以上第二部では、第一部で初めて観測されたMbのcompound Iの不安定化機構、反応性およびその酸化活性に与える影響などを明らかにした。また、第一部・二部を通して、高い酸化活性、エナンチオ選択性を示す変異型Mbが得られた。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_18":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第313号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"数物科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"07 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