{"created":"2023-06-20T13:20:11.342336+00:00","id":194,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"c814c236-5950-4abd-9042-e7ba94ec6399"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"194","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"194"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000194","sets":["2:427:9"]},"author_link":["7756","7755","7757"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"銘苅, 春隆"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"7755","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"メカル, 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本研究では、シンクロトロン放射光を励起光源として用いた光化学反応プロセスの実験を行う目的で、分子科学研究所極端紫外光実験施設(UVSOR)に、放射光励起反応プロセスへ応用できる光フラックスな波長可変分光ビームラインを新たに開発・建設し、その出力光特性の評価を行った後、有機アルミニウムガスを用いた具体的な放射光励起化学反応プロセスに応用した。この放射光励起反応プロセス用ビームラインは、前置鏡1枚で集光し、多層膜ミラー分光器を組み込んでいる点が特徴である。シンクロトロン放射光は連続的な波長を持ち、特に従来のレーザーや放電ランプでは充分なフォトンフラックスを出力出来ない真空紫外光領域の光を含み、内殻電子を含む物質のほとんどの電子状態を励起することができる点が利点として上げられるが、光励起反応プロセスに応用できるほど、大きなフォトンフラックスを持ち、照射面積が充分に大きい分光ビームラインはこれまで存在しなかった。これまでの非分光光による実験例から、10mm2の面積で数十から数時間の照射時間を仮定すると、放射光励起反応プロセスの実験に必要なフォトンフラックスは1013~1014photons/sと見積もられる。通常の結晶や回折格子を用いた分光ビームラインでは、これだけの光量を得ることは不可能であるために、従来にない多層膜ミラーを分光素子とした分光器の使用を検討し、ビームラインを設計・製作した。多層膜ミラー分光器を開発する意義は、高フォトンフラックス分光光を実現することにより、これまで分析目的にしか用いられていなかった分光放射光を、物質創成に利用できる道を開くことにある。内殻電子を励起できる数10eVから数100eVのエネルギー範囲は、放射光励起プロセスに重要なエネルギー領域であり、このエネルギー領域ではMo/Si多層膜ミラーが60%以上の高い反射率特性を持つことが知られている。しかし、高次光や全反射成分に由来するバックグラウンドが比較的大きいことから、実用的な分光器の製作やそれを用いたビームラインの建設はなされていない。特に低エネルギーのバックグラウンドの除去については、50~150eVの低エネルギー領域の単色光を得る時に困難となる。この技術的な問題の解決策として、2結晶型の分光器を採用することで高次光の低減を計り、さらに多層膜ミラーを比較的全反射成分の少ない低入射角度の領域で使用し、20eV付近に強い吸収を持つ炭素薄膜フィルターと組み合わせることで、多層膜ミラーの構造を最適化して全反射成分を1%以下に低減し、初めて放射光励起反応プロセスに応用できる単色性の良い分光器として実用化に成功した。さらにUVSOR施設内に新たに建設したビームライン(BL4A1)に、この分光器を組み込んで、フォトンフラックス、単色性やバックグラウンドの割合といった、ビームラインの出力光特性を測定した。\n 出力光特性の評価は、フォトンフラックスをシリコンフォトダイオードで測定した光電流から見積もった。単色化度や分解能を評価するためにアルミニウムL2,3の吸収端(74eV)近傍の透過特性を測定し、より詳細な評価を行うために分光したビームライン出力光をX線源として用いて、TaのX線光電子スペクトル(XPS)の測定を行った。これらの測定結果よりビームラインの出力光特性を見積もると、エネルギー範囲56eV(θ=10゜)~93eV(θ=55゜)において、フォトンフラックス1.0×1012~1.5×1014photons/s、スペクトル幅5eV~9eV、低エネルギーバックグラウンド1%以下、2次光成分12%以下であった。ビームスポットは5mm×2mmの楕円形状である。このように、多層膜ミラーによって分光したビームライン出力光が、充分なフォトンフラックスとビームスポットサイズを持ち、炭素薄膜フィルターがビームライン出力光のなかで、低エネルギーバックグラウンドである全反射成分を効率良く低減することを確認した。\n 次に、この多層膜ミラー分光器ビームラインの出力光をA1系の有機金属ガスの光反応に用いて、放射光励起プロセスの励起エネルギー依存性の実験に応用した。多種類ある有機金属の中で、有機アルミニウムは熱化学気相堆積法(CVD)の配線材料として広く用いられており、特に半導体製造過程では必要不可欠な材料である。最近、領域選択配線を行う目的で、A1の光CVDが注目されているが、A1の光CVDでは、熱CVDでは問題にならなかった炭素汚染が問題となっている。様々なA1系の有機金属ガスが試みられ、レーザーによる励起エネルギー依存性の研究もなされてきたが、特に、ジメチルアルミニウムハイドライド(Dimethylaluminum Hydride;DMAH)が有機アルミニウム化合物の中でも比較的炭素汚染が少ないことから着目を浴びている。そこで、化学表面処理を施したSi板上に約100Kの低温でDMAHを凝集した後、多層膜ミラーによってA1の2p(74eV)付近のエネルギーに合わせて、単色放射光を照射し、光反応によって堆積したA1のC/A1比率などを比較することにより、内殻電子励起反応の効果を検証した。その結果、Si基板上に低温凝集したDMAHのC/A1比が2であるのに対し、放射光照射後は0.65となる。CやA1薄膜フィルターを透過しただけの放射光を照射した場合はC/A1=1.1と報告されていることから、A1の内殻電子を選択的に励起したため、A1-Cの結合が効率良く切断されている可能性が考えられる。以上の結果は、この新たに開発した多層膜ミラー分光器ビームラインが、具体的な放射光励起反応プロセスに充分応用できることを示すもので、これまで全く研究がなされていなかった放射光励起光反応プロセスの励起エネルギー依存性の研究にブレイクスルーをもたらすものと考えられる。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_18":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第378号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"数物科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"07 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