@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000202, author = {新倉, 弘倫 and ニイクラ, ヒロミチ and NIIKURA, Hiromichi}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {極端紫外領域に存在する気体分子の超励起状態は、イオン化および解離というの二つの異なる緩和過程が競合する励起状態として、その理論的および実験的取り扱いに興味が持たれている。ところが放射光のみを光源とした実験では、超励起状態から生成したイオンまたは解離分子の内部状態分布、特に回転分布を測定することは困難であった。本研究では、レーザー誘起蛍光励起スペクトル法(LIF法)、レーザー多光子イオン化法(REMPI法)を用いて、放射光励起によって生成したイオン、解離イオン、中性解離種の内部状態分布を直接測定することを試みた。第2章にLIF法番こよる測定装置系の開発について、第3章にLIF法によって測定された結果について、第4章ではREMPI法による中性解離種の検出実験について議論した。 第2章 放射光励起で生成したイオンのレーザー誘起蛍光励起スペクトル法による測定法の開発。  放射光とレーザーの併用実験が困難な理由の一つに、放射光で生成する解離種やイオンの数密度が少ないことがあげられる。そこで、最適な実験条件を選ぶために、窒素分子を放射光励起でイオン化し、それをLIF法で検出する場合について、最終的に得られる信号係数(Counts per second; cps)を見積もった。その結果、励起光源としてUVSORの分光されたアンジュレーター光(BL3A2)を使用し、アルゴンイオンレーザー励起のチタンサファイアレーザーの二倍波を検出光源として使用する場合、2-3 cpsの信号が得られると見積もられた。実際に測定したところ、同程度の数の信号が得られた。次に、生成するイオンの数密度を増大させるため、イオントラップを使用した。その結果、140倍の信号の増大がみられた。 第3章 レーザー誘起蛍光励起スペクトル法によるイオン、解離イオンの回転分布の測定。  3-1窒素分子から生成した窒素イオン{N2+(X2Σg+, ν=0)}の回転分布の測定。  放射光励起によって窒素分子から生成した窒素イオンN2+(X2Σg+, ν"=0, N)のLIFスペクトルを図1(a)に示す。放射光のエネルギー(E SR=15.983eV)をN2+(A2II)に収斂するリドベルグ準位4dσg-IIuの励起エネルギーに合わせてある。N2+(B2Σu+, ν'=0, N') ← N2+(X2Σg+, ν"=0, N")の遷移に対応するP枝およびR枝が観測され、特にR枝では、核スピン重率の違いによる回転準位の強度交代がはっきりと観測された。従来の光電子分光法と比較して、一桁以上高分解能で測定することが可能になった。  3-2窒素分子から放射光励起によって生成したN2+(X2Σg+, ν"=0, 1)の効率曲線の測定。  検出用レーザーの波長を、N2+(B2Σu+, ν'=0) ← N2+(X2Σg+, ν"=0)およびN2+(B2Σu+, ν'=1) ← N2+(X2Σg+, ν"=1)遷移に固定して、それぞれ放射光の励起エネルギーを掃引することで、N2+(X2Σg+, ν"=0)およびN2+(X2Σ2+, ν"=1)の生成効率曲線を測定した(図2)。図中のスペクトルの構造は、N2+(A2IIu)に収斂するリドベルグ準位であると同定された。771.7Åに位置するリドベルグ準位のN2+(X2Σg+, ν"=1)の生成効率が、他のリドベルグ準位に比べて大きいことが観測された。  3-3亜酸化窒素(N2O)から生成した窒素イオン{N2+(X2Σg+, ν=0)}の回転分布の測定。  放射光励起によってN2Oから生成したN2+(X2Σg+, ν=0)のLIFスペクトルを図3に示す。放射光のエネルギー(E SR=18.556eV)をN2O+(C2Σ+)に収斂するN2O**(3dπ)リドベルグ準位の励起エネルギーに合わせてある。検出されたN2+(X2Σg+)は、直接イオン化過程またはN2O**(3dπ) → N2O+(B2II)+e-という自動イオン化過程を経て生成したN2O+(B2II)から、N2O+(B2II) → N2+(X2Σ2+)+O(3P)という解離過程によって生成したものと考えられる。回転線の理論的な強度分布と検出用レーザーの波長分解能(FWHM=11 cm-1)から様々な回転温度における理論スペクトルを求めた。これを実測のスペクトルと比較することでN2+(X2Σg+, ν=0)の回転温度は200-250Kと見積もられた。図3の線は、回転温度を220Kとして計算された理論スペクトルである。親分子であるN2Oの回転温度は室温(300K)であることから、解離に際してイオン解離種N2+(X2Σg+, ν=0)の回転温度が低下することがわかった。  N2O+(B2ΣII) → N2+ +Oの解離過程において放出されるエネルギーは、解離限界、励起エネルギー、放出される電子の運動エネルギーと N2O+の解離前の回転エネルギー(300K,約200 cm-1)から約3200-10500 cm-1と見積もられた。観測されたN2+(X2Σg+, ν=0)の回転エネルギーを約150 cm-1(220K)であるとすれば、解離過程で放出されたエネルギーのうちのおよそ2-5%しかN2+(X2Σg+, ν=0)の回転エネルギーに分配されていないことになる。3原千分子の解離に関して、Impulsive Modelを仮定した解析から、N2O+(B2II)の結合角は、130-180゜の範囲であることがわかった。 第4章 放射光によって生成した中性解離種のレーザー共鳴多光子イオン化法による検出。  エキシマー励起色素レーザーを用いたレーザー2光子共鳴1光子イオン化法によって、放射光励起によって生成した中性解離種を測定する装置系を開発した。実験に先立って、信号計数率の計算を行い、最適な実験条件を選んだ。硫化力ルボニルから生成した中性硫黄原子のREMPIスペクトルを測定することに成功した。 まとめ  本研究の特色は、従来、放射光を光源として研究されてきた極端紫外領域における気相分子の光イオン化・光解離等の研究に、レーザーを併用した点にある。知る限りでは、気相分子本研究によって放射光励起によって生成した解離種をREMPI法、LIF法によって検出した例は過去になく、極端紫外領域の気相動力学研究に新しい方法論を示したものである。, application/pdf, 総研大甲第447号}, title = {Photodissociation and Photoionization Dynamics inthe Extreme Ultraviolet Region Studied bySynchrotron Radiation-Laser Combination Techniques}, year = {} }