@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000215, author = {牧原, 伸征 and マキハラ, ノブユキ and MAKIHARA, Nobuyuki}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {【序論】 水溶性有機金属錯体を用いる水の中での触媒反応は、環境問題、新しい工業プロセスの開発、反応の選択性という観点から現在注目されている研究領域である。これまでに報告されている水溶性有機金属触媒の殆どは水溶性ホスフィン配位子を持つ錯体であり、氷分子を配位子(アクア配位子)として持つ水溶性有機金属アクア錯体を用いた研究例は殆どない。このような有機金属アクア錯体は、pHの変化によってアクア配位子が脱プロトン化し、錯体の構造及び性質が変化する。そのため有機金属アクア錯体を触媒前駆体として用いれば、水の中での触媒反応をpHの変化によって制御することが可能であると考えられる。そこで、本研究の目的を「有機金属アクア錯体を触媒前駆体として用い反応をpHの変化によって制御できる水の中での還元反応の開発」と定め研究を行った。水素源は、ギ酸イオンと水素ガスを用いた。 【結果と考察】 1.有機金属アクア錯体の合成と構造  電子的、立体的に異なる配位子場を持つ3種類のイリジウムアクア錯体1、2、3を合成し、これらの錯体のpHに依存した構造変化をX線構造解析、NMR、及びpH滴定によって決定した(図1)。 2.アクア錯体を触媒前駆体とする水素移動型還元反応  基質が無い条件で、錯体1、3とギ酸イオンを反応させると触媒活性種であるヒドリド錯体4、5が生成した。錯体4、5の構造は、X線構造解析、NMR、IR、及びESI-MS測定により明らかにした。また、錯体4、5の生成は、pHに依存する(図2)。即ち、錯体4の場合はpHが2.8の時に、錯体5の場合はpHが5.0の時に、ヒドリド錯体の生成量は最も高い。  錯体1、2、3を触媒前駆体、ギ酸ナトリウムを水素源とするカルボニル化合物の水素移動型還元反応、カルボニル化合物の還元的アミフ化反応(水素源及びアミノ源: ギ酸アンモニウム)及びハロゲン化アルキルの脱ハロゲン化反応を検討した。これらの反応が進行するpHは、用いる錯体によって異なる。即ち、錯体1の場合はpHが2.8の時に、錯体2の場合はpHが3.5の時に、錯体3の場合はpHが5.0の時に、いずれの反応もpH選択的に進行した。また,錯体1、3の場合は、触媒活性種であるヒドリド錯体の生成pHと触媒反応が進行するpHが一致する。図3に錯体1、2、3を用いた水素移動型還元反応の結果をまとめた。興味深いことに、それぞれの反応のTOF{(生成物のモル数1錯体のモル数)/1 h}は、用いる錯体に大きく依存する。本論文では、反応の触媒活性、pH依存性、及び反応メカニズムについて考察した。 3.アクア錯体を触媒前駆体とする水素化反応  興味深いことに、pHが-1から4の酸性中で、水素化反応は進行し、基質に依存したpH選択性及びTOFを示した(図4)。本水素化反応の反応メカニズムは、まず、基質がプロトン化されカルボカチオンを生成し、次に、ヒドリドイオンがカルボカチオンに移動して生成物を与えると考えた。反応のpH選択性及びTOFを、(1)アクア錯体(触媒前駆体)のpHに依存した性質、(2)ヒドリド錯体(触媒活性種)の強酸性中での安定性、(3)カルボニル基の酸素原子及びアルケンのプロトン化されやすさ、及び(4)カルボカチオンとヒドリドイオンとの反応性より考察した。 【総括】 電子的、立体的に異なる配位子場を持つアクア錯体1、2、3を合成した。これらのアクア錯体を触媒前駆体とする還元反応(水素移動型還元反応及び水素化反応)の触媒活性は、pHに依存する。, application/pdf, 総研大甲第547号}, title = {有機金属アクア錯体を触媒前駆体とする水の中での還元反応}, year = {} }