@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00002165, author = {加古, 永治 and カコ, エイジ and KAKO, Eiji}, month = {2016-02-17}, note = {超伝導空洞は、放射光用エネルギー回収型線形加速器(ERL,Energy Recovery
Linac)、加速器駆動核変換システム(ADS,Accelerator Driven System)、素粒子実験
用円形加速器(例えば、B-Factory)および衝突型線形加速器(リニアコライ
ダー)、医療用小型加速器などを含め、基礎科学分野での広範囲な加速器への応用が可
能であり、研究開発が活発に行なわれている。その中で、Tev領域での衝突型素粒子
実験を目指したリニアコライダーでは、特に高加速電界での安定なパルス運転が必須と
され、本論文においては、高電界応用に主眼をおいた超伝導加速空洞システムの研究開
発についてまとめた。
  KEKでは、90年代初頭よりTESLA(TeV Energy Superconducting Linear
Accelerator)への応用を目指して、Lバンド(1.3GHz)の単セル空洞による高電
界超伝導空洞の研究開発に着手した。この開発の初期段階においては、真空熱処理、電
解研磨や高圧水洗などの表面処理技術の開発、組立クリーン環境の整備、低温測定計測
システムの改善などにより、30MV/m以上の高加速電界が単セル空洞では安定に達
成できることを実証した。90年代後半には、Saclay(仏)との単セル空洞につ
いての国際共同研究を通して、高加速電界達成における電解研磨および100℃ベーキ
ングの重要性をより明確に示し、また、DESY(独)のTTF用クライオモジュール
ヘ組込む9セル空洞において、KEKでの表面処理技術の適用について国際協力し、9
セル超伝導空洞での高加速電界の性能向上への重要な寄与を継続して行ってきた。20
00年からは、日本原子力研究所との共同研究によりJ-PARCの2期計画に予定さ
れているADS超伝導リニアックに用いられる972MHz9セル超伝導空洞2台を内
蔵するクライオモジュールの開発に着手し、その大電力試験において入力結合器および
周波数チューナーを含む超伝導空洞システムとしての総合的な基礎試験を行った。この
ように十数年以上にわたる高電界応用を目指した超伝導加速空洞の開発研究によって蓄
積されてきた基盤技術と経験は、後述の研究開発に生かされ、本論文の主要部分として
構成される。
  国際協カプロジェクトILC(International Linear Collider)の建設を目指し、KE
Kでは超伝導高周波試験施設(STF、Superconducting RF Test Facility)の第1期計画
として、1.3GHz9セル超伝導加速空洞システム4機を収納するクライオモジュー
ルの開発を2005年より開始した。超伝導加速空洞システムの構成要素としては、高
電界を発生しビームを加速するためのニオブ製9セル空洞本体、空洞に高周波電力を供
給するための同軸型アンテナである入力結合器(インプットカップラー)、空洞内を通
過するビームによって誘起される有害な高調波モードを空洞外部に取り出すための高調
波出力結合器(HOMカップラー)、および、空洞に軸方向の荷重を加えることにより変
形を与えて共振周波数を制御する周波数チューナーがあり、これらが主要な開発項目と
なる。また、チタン製ヘリウム槽ジャケット、極低温用磁気遮蔽シールド、ニオブチタ
ン合金製フランジ、真空シール材、加速電界モニター用カップラー、RFコネクターな
ども重要な構成部品である。 ILCを目指した超伝導加速空洞システムの開発において
は、超伝導空洞の単体試験で35MV/m以上の加速電界の達成、入力結合器のテスト
スタンドでの大電力試験でlMW以上の透過高周波電力の確認、さらにクライオモジュ
ール試験では加速電界31.5MV/mでの安定なパルス運転の実証と発生するローレ
ンツ・デチューニングの±50Hz以下へのピエゾチューナーによる周波数補正制御が、
それぞれの数値目標として設定されている。本研究開発では、DESYで主に開発され
てきたTESLA空洞システムについて、主要構成機器である超伝導空洞本体、入力結
合器、周波数チューナーに、独自の改良を加えたTESLA改良型超伝導空洞システム
を構築し、設計・製作、単体での性能確認およびクライオモジュールでの総合試験を行
った。TESLA改良型超伝導空洞システム4台を内蔵するクライオモジュールの大電
力高周波試験において、高加速電界での安定なパルス運転の達成とローレンツ・デチュ
ーニングの抑制および補正に重点を置いた実験を行い、改善を行なった主要構成機器に
ついて設計の妥当性の検証を行なった。
  本論文では、第1章において序文として、研究の背景を述べ、本研究の主な課題を説
明する。第2章では、超伝導空洞の高電界性能について行なった単セル・9セル空洞で
の基礎研究、および、実用機となるILC用9セル空洞およびERL用2セル空洞での
実験結果を示し、空洞性能を制限する要因について得られた知見を述べる。次に、第3
章では、超伝導空洞システムの主要周辺機器である高周波入力結合器の開発について、
ADS用クライオモジュールおよびILC用空洞パッケージで行なった設計・製作から
大電力高周波源を用いた性能確認試験までをまとめる。さらに、第4章では、超伝導空
洞2台を内蔵するADSクライオモジュールでの基礎実験、および、超伝導空洞4台を
内蔵するSTFクライオモジュールでの周波数チューナーを含めた総合試験について述
べ、その高周波特性および性能評価の実験結果から得られた問題点の抽出および改善点
について論ずる。最後に、第5章において、本論文のまとめを行なう。, 総研大乙第206号}, title = {高電界応用のためのLバンド超伝導加速空胴システムの開発に関する研究}, year = {} }