@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00002168, author = {石綿, 元 and イシワタ, ゲン and ISHIWATA, Gen}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {近年、屈折コントラスト撮影技術をCTへ拡張した研究及び、マンモグラフィーへの応 用を目指した技術開発が行われている。本研究は、その撮影について得られる情報量の増 大と被ばく量の低減を目的として行われたものである。  本研究は、高輝度放射光を用いた屈折コントラスト画像形成法によるマンモグラフィー の開発を行っている安藤教授(総研大名誉教授、東京理科大学教授)のプロジェクトの一 環として発想された。その屈折コントラスト画像形成は、物体を透過するX線のある特定 の方向への屈折の測定値から逆問題を解くかたちの手続きとして与えられている。本研究 ではX線の任意の方向への屈折を測定できるようにし、統計的画像形成に結びつけること を目指す基礎研究として進めてきた。安藤プロジェクトにおける屈折角測定法では生体等 の撮影対象を通過して屈折した光を、アナライザーと呼ばれる角度分析のためのシリコン 結晶板にあてて回折させ、ロッキングカーブによって対象物での屈折を観測していた。そ こで、角度情報を得るために重要なロッキングカーブに注目し、情報量を増やすことがで きないかを検討してきた。ロッキングカーブはEwald-Laue理論によって導かれた平面波 の逆空間での強度分布であるため、平面波面内以外の方向の情報は得られない。代わりに 別方向への反射波を利用することで角度情報を増やすことを考え、シリコン結晶の物理学 的な性質からアナライザーでの反射波を多波へと拡張することを試みてきた。また、X線 の撮影画像をコンピュータシミュレーションによって得るために従来技術で用いられてき た平面波理論である理論ではなく近年多波に拡張されている高木-Taupin理論に基づく動 力学的理論を用いてきた。  本論文は、屈折コントラスト撮影法から得られるデータ(情報)を増大させ、シリコン 結晶の物理学的な性質からアナライザーでの反射波を多波へと拡張することにより、従来 の光の吸収法や単一波では得られない2次元的な波面の揺らぎをも捉えた鮮明な画像を得 る方法について述べている。この方法によって医療診断等の精度を上げること及び被ばく 量の軽減が期待できる。  本論文は全11章130頁よりなり構成は次のとおりである。  第1章では本研究の社会的背景と必要性、目的、概要について述べ、第2章では屈折コ ントラスト撮影法に対して本研究がどのようにデータ増大のためのアプローチを行ったか を概説する。第3章~第5章では、新しく提案する多波回折を用いた撮影法を研究開発し ていく上で必要な基礎的事項、回折理論について述べている。まず第3章では、多波回折 が成立する理由であるシリコン結晶構造とX線回折について説明し、第4章では、線動力 学理論の基礎となっているEwald-Laue理論について概説し、本研究が対象とした「ロッ キングカーブ」について説明している。第5章では、近年になって多波回折に拡張され、 かつ線形性があり発展性の高い理論として本研究において一貫して注目してきた高木 -Taupin理論について解説する。  第6章では、世界最高輝度といわれるSpring-8において行った多波回折の実験系、方法、 実験結果について述べ、多波へ拡張された高木-Taupin理論について今後の研究の利用に 耐えることを明らかにしている。  第7章では、前章までの事項をふまえて、新しい多波回折を用いた屈折撮影技術の研究 開発のため、高木Taupin理論を回折画像のシミュレーション研究への適用について述べ ている。第8章では、第7章を受けてコンピュータシミュレーションによって得られた回 折画像について、その応用の可能性を探るためにも本研究によって明らかにすべき必要が 生じた事項についての内容を説明し、その過程で明らかになった新しいロッキングカーブ の求め方と高木-Taupin理論の関係について報告している。この7章と8章が本研究の屈 折撮影技術に関する中心部分であり、Acta Crystallographica Section A66 (2010) 484-488. (インパクトファクター2.051)に第8章の部分が掲載されている。  第9章と第10章において本撮影法がどのように活用できるかの研究成果がまとめられ ている。第9章において第7章、第8章で得られた本研究におけるシミュレーション結果 を受けて屈折コントラスト撮影法への応用の可能性および有効性について議論を行い、第 10章では実際の医療診断における応用に向けて本方法を応用することによって観測対象 内の3次元屈折率分布を推定するための基礎データが得られることを議論している。 第11章で本研究のまとめと今後の研究課題について述べている。, application/pdf, 総研大甲第1382号}, title = {高輝度放射光屈折コントラスト撮影技術における撮影情報増大のための基礎理論の構築}, year = {} }