@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000217, author = {鈴木, 健太郎 and スズキ, ケンタロウ and SUZUKI, Kentaro}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {有機ビラジカル 1,3-bis(N-tert-butylaminoxyl)benzene(BNO)は、Mn(hfac)2との1:1錯体[Mn(hfac)2]・(BNO)(1)を形成する。ラジカルのNO基がMnに配位することでMnがビラジカルで架橋された一次元構造をとる。ラジカル-Mn間の強い反強磁性相互作用Jのために、これは一次元フェリ磁性鎖とみなすことができる。  錯体1はT N=5.5Kでメタ磁性転移を起こす。このことは鎖間に弱い反強磁性相互作用J'が存在していることを意味している。磁化率の解析から鎖問および鎖内の相互作用の比は|J'|/|J|~0.01と見積もられ、これは擬一次元(メタ)磁性体といえる。BNOの5位をハロゲンで置換したX-BNO(X=F,Cl,Br)もBNO同様Mn(hfac),と1:1錯体[Mn(hfac)2]・(X-BNO)を形成する。これら四種の錯体におけるMn-ラジカルの配位結合は距離・角度共にほぼ同一である。高温部の硼気挙動にはほとんど差が無く、これらの鎖内磁気相互作用はほぼ等しいことがわかる。しかしながら低温の磁気挙動には違いが見られた。[Mn(hfac)2]・(F-BNO)(2)はT N=5.3Kのメタ磁性体、[Mn(hfac)2]・(Cl-BNO)(3)および[Mn(hfac)2]・(Br-BNO)(4)はフェリ磁性体(Tc=4.8(3),5.3 K(4))である。鎖間相互作用の符号を含めた違いは、ハロゲン原子導入による結晶中での分子鎖の相対配置のずれと関連づけられる。  本研究では、これら一連の擬一次元分子性磁性体に対して加圧下の磁気測定を行い、その詳しい磁性を調べ、磁気相互作用について考察した。  実験は、合成した試料をTi-Cu製クランプ式高圧セルで加圧し、Quantum Design社製MPMS SQUID磁束計を用い直流磁化および交流磁化率の測定を行った。加圧は最大11.5 kbarまで行った。常圧でメタ磁性を示す錯体1と2については7 kbarまでの加圧実験を行った。加圧下においてもメタ磁性転移が観測された。転移温度(T N)、スピンフリップ磁場(Hc)は加圧に応じて単調に増大した。高温部の磁気挙動が圧力にほとんど依存していないことから、鎖内相互作用Jはほとんど圧力変化していないと考えられる。加圧に伴うT N、Hcの増大は鎖間相互作用J'の増大と関連づけられる。 4については、10 kbarまでの加圧下での磁気測定を行った。4の常圧における交流磁化率(測定周波数1Hz,交流磁場振幅 5 Oe,外部磁場 0 Oe)の温度依存性を図1に示す(実部χ′(●)、虚部χ"(○))。Tc=5.3 Kでχ′の発散が見られ、χ″が有限値をとるようになる。Tc以下の磁化曲線は、フェリ磁性体特有の早い飽和を示す(図示していない)。3 kbarまでは、同様の磁気挙動が観測された(Tcは3 kbarまでに約2%増加)。3.5 kbarの圧力下では、χ′は5.5 Kにピークを示した(図1; χ′(▲),χ"(Δ))。また、5.5 K以下の磁化曲線は、S字型の立ち上がりを示した(図2)。これらの結果は、4が3.5 kbarの加圧下でT N=5.5 K,Hc=40 Oeのメタ磁性体として、振る舞うことを示している。,さらに高圧下においても、メタ磁性的な挙動が観測された。T N、Hcともに7 kbar以下では圧力変化を示さないがχ′のピーク値は加圧に伴い潰れていぐ8 kbar以上においては、T N、Hc共に減少していく傾向が見られた。  3については、11.5 kbarまでの加圧実験を行った。2.5 kbar以下の圧力領域下ではTcにおける交流磁化率の発散と、Tc以下での磁化曲線の早い飽和と言った、フェリ磁性体に特有の挙動が観測された。転移温度は、加圧に伴いわずかに減少した(2.5 kbarで4%減少)。2.7 kbarの圧力下では交流磁化率の温度依存性はピークを示した(図3; 周波数1 Hz,交流磁場振幅 5 Oe,外部磁場 0 Oe,χ′(●)、χ″(○))。磁化曲線を図4に示す。2 Kの磁化曲線は100 Oeまで早い立ち上がりを見せた後、200 Oeで急激な磁化の増大を示した。200 Oeにおける磁化の急激な増大は、メタ磁性転移と関連づけられる。80 Oe以下の磁化の値は、5 K以下では温度に依存せず、80 Oe付近で飽和する強磁性的な成分の存在が示唆される。この強磁性虚分を飽和させろために、80 Oeの外部磁場を印可し、交流磁化率の温度依存性を測定したところ、χ′,χ″ともに5 Kにピークを示した(図3; 外部磁場80 Oe,χ′(▲)、χ″(Δ))。磁化曲線におけるスピンフリップは、5.5 K以下に観測される。以上の結果から、3の2.7 kbarにおける振る舞いは、T N = 5 K,Hc~200 Oeのメタ磁性体と結論できる。80 Gで飽和する強磁性成分は、χ′の7.5 K近傍のショルダーに対応した短距離秩序と関係があると考えている。さらに高圧の挙動もメタ磁性体として理解できる。T Nの圧力変化は9.5 kbar付近までは5.0~5.5 Kの範囲で緩やかに上昇する。10 kbar以上ではT N = 5.6 Kで、ほとんど変化しない。またHcは、4 kbarまでは 200 Oe付近に観測されるが、7 kbar以上では 100 Oe付近に観測され、ほとんど圧力依存性を示さない。  以上述べたように、常圧メタ磁性体1と2においては、加圧に伴う転移温度、転移磁場の増大という、単調変化が観測された。また、常圧フェリ磁性体3と4においては、加圧に伴う、フェリ磁性からメタ磁性へのクロスオーバーが観測した。その圧力変化は単調でない。スピン密度の分布のある分子磁性対において、強磁性相互作用は、分子パッキングのずれにきわめて敏感と言える。, application/pdf, 総研大甲第629号}, title = {Study of Pressure Effect on Quasi-One-Dimensional Molecule-Based Magnet}, year = {} }