@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000232, author = {山村, 周作 and ヤマムラ, シュウサク and YAMAMURA, Shusaku}, month = {2016-02-17}, note = {本研究の目的はWafer-Bondingによる埋め込み金属層(BML)基板の作製とSi基板表面修飾に用いた有機単分子膜のBML-IRRASによる振動分光学的な解析を主とする。  BML-IRRASの特徴としては指紋領域を含む広い波長領域において高感度な測定がSi単結晶基板上で可能であることである。近年Si基板上にSAMsやLB法、vesicle fusionなどにより有機薄膜を堆積し、機能を持たせたデバイスの研究開発などが盛んに行われている。このようなSi表面上の有機薄膜に対して、IR透過法やATR法などでは測定が難しい指紋領域において感度があるBML-IRRASではより多くの情報が得られる事が期待される。しかしながらこれまでBML基板はイオン注入法により作製されており、イオン注入によるダメージのため表面に多少の欠陥を生じてしまう。このようなダメージはSi表面の孤立吸着分子の測定に対してはそれ程問題とならないが、有機単分子膜に対する測定においては堆積時に広い面積において原子レベルで平坦な測定基板が必要である。そのため、著者はWafer-Bondingによりそのような構造をもつBML基板の作製方法を考案し、作製したBML基板を用いたBML-IRRASによりSi基板上に堆積した有機単分子膜の組成について議論した。  Wafer-BondingにはSOI基板とCoをスパッタしたSi基板を用いた。両基板を重ね合わせた後、アニール処理を施す事でCo層が両側のSi層と反応しCoSi2化し、この化学反応を接合の因子とした。SOI基板裏面のSi層部分の機械的な研磨とwet etchingによるSOI基板のBOX層での切り離しによりBML基板を作製した。当初SOI基板として表面Si層が50~70nmと非常に薄いSIMOX基板を使用したため、SOI基板のSi層がすべてCoSi2化してしまい、結果としてSiO2/CoSi2/Si-BML基板(BML/SIMOX)を得た。そのため、表面Si層が2μmと比較的厚いSOI基板を使用する事でSi(100)/COSi2/Si-BML基板(BML/SOI) を得る事に成功した。作製したBML基板の評価をSEMと,AFMで行った結果、接合界面の層分離ははっきりと観察され、表面は通常のデバイス作製に用いられる研磨基板と同様な平坦さ(Ra=1.7x10-1nm)である事を確認した。  Wafer-Bondingにより作製したBML基板の有用性を確認するため、OH終端された表面上にSAMを 形成するoctadecyltrichlorosilane(OTS)と作製した両基板表面に堆積しBML-IRRAS測定を行った。両基板共に、これまで従来のIR測定法では検出する事が困難であったSi基板上のモノレイヤーレベルの有機薄膜に対する変角振動のピークを観測する事ができた。また、octenyltrichlorosilane(OTTS)を堆積した基板を酸化処理することによる、末端C=C結合のCOOH化というモノレイヤーレベルの表面修飾についてもBML-IRRASスペクトルによって確認する事ができ、Wafer-Bondingによって作製したBML基板を用いたBML-IRRASがSi基板上の有機薄膜に対して有用である事を実証した。  BML-IRRASにおける反射吸収強度の上部Si層膜厚依存性についての理論的な計算を行い、実際に上部Si層の膜厚を変えたBML基板を作製し実験による考察を行った。計算では比較的厚い(<400nm上部Si層であっても波長領域によっては特定の膜厚で周期的に高感度が得られる事がわかった。実際の測定においては、すべての波長領域において十分な感度が得られる上部Si層が薄い基板が最も有用である事が実証されたが、比較的厚い基板においても特定の波長領域においてより高感度に測定を行う事ができ、計算結果と一致する事が証明された。これらの結果より、上部Si層の膜厚を正確に制御する事で、特定の波長領域において非常に高感度を示す測定が可能であると期待できる。  COOH終端されたSi基板表面を形成するために2-carbomethoxyethyltrichlorosilane(CMETS)を堆積しBML-IRRAS測定により吸着分子の同定を行った。スペクトルからは末端メチル基の変角振動に対するピークが確認する事ができ、幅広い領域においてモノレイヤーレベルの検出感度が得られた。また、AFMによる観察から表面は非常に平坦であり、CMETSが基板上に規整された状態で吸着していると考えられる。CMETSを堆積した基板の加水分解による末端COOH化を試みた。水接触角測定により表面状態の変化(疎水性:60.0°→親水性:<16.0°)を確認し、スペクトルの変化からも末端基がCOOH化されている事が観測できた。  本研究による結果よりWafer-Bondingにより作製したBML基板がBML-IRRAS測定に対して有用であり、BML-IRRASがSi基板表面に堆積した有機単分子膜の評価に対して非常に有用であることが確認された。また、Si基板表面のSAMを用いた均一なCOOH化を実現し、BML-IRRASおよびAFM観察によってそのことを確認した。, application/pdf, 総研大甲第749号}, title = {BML-IRRAS用の新基板作製法の開発とSi基板表面のSAM膜の評価}, year = {} }