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   本研究の目的は,高温液体増殖材の腐食・還元雰囲気に耐えうる水素センサを開発することである.本研究は以下の段階を踏んで行なった.
   第1段階では緻密な保護電極の開発を行なった.これまでのセンサは,白金(Pt)多孔質の電極を固体電解質に塗布することにより,雰囲気・電極・固体電解質の三相からなる界面での電極反応を用いたものであったが,緻密な保護膜電極によるセンサの製作を目標とし,電極材料の選定,コーティング方法・熱処理条件の最適化,及び電子顕微鏡(SEM)による表面観察を行なった.
   第2段階では緻密保護膜電極を塗布したセンサの電極特性を求めるとともに,その発現原理を明らかにする為に,ガス雰囲気中での発生起電力の測定パラメータ依存性を求め,電極反応モデルを考察した.
   最終段階では液体増殖材中への水素センサの浸漬測定試験を行なった.ここでは比較的取り扱いの容易な溶融塩Flinakを取り上げ,緻密膜の耐食性の評価と,水素センサを浸漬して水素濃度測定が可能かどうかの検証を行なった.
   研究結果を以下に示す.
(1)緻密保護電極の開発
   緻密保護電極を用いた水素センサは,膜内に水素を透過させて測定する方法で,求める材料は水素透過性が十分に高い必要がある.本研究では,これまでのPt電極を緻密膜化することを試みると共に,よりすぐれた可能性を持つ材料として,水素透過係数がPtより遥かに高く,かつ耐酸化性にも優れるパラジウム(Pd)による緻密膜作製を行なった.
   固体電解質表面への塗布方法として,ペースト塗布と無電解めっきを行ない,それぞれ各温度で熱処理を行ない比較した.その結果,Pdペーストを塗布し1673Kで熱処理を行なったサンプルで,孔が貫通しない緻密膜を形成していることが確認できた.一方,Pd無電解めっきでは,熱処理時の熱膨張・収縮により亀裂が発生し,緻密膜の完全な被覆はできなかった.また,Ptに関してはペーストによる緻密膜製作を試みたが,固体電解質を変質させない熱処理温度範囲では,固体電解質に対する濡れ性が不十分で均一膜を形成できなかった.以上の結果からPdペースト塗布による緻密膜を使用して研究を行なった.
(2)緻密膜の電極特性評価
   固体電解質の表面に取り付けた緻密膜の電極特性を調べるために,水素センサを組み立て,水素ガスの混合比率が異なるガスを切り替えながらセンサ起電力の測定を行なった.
   固体電解質は溶融金属用の水素センサで用いられているCaZr0.9In0.1O3-αを使用した.
   緻密膜を取り付けた水素センサは,773~973KのAr‐H2混合ガス雰囲気下で起電力を測定することができた.また雰囲気ガスを切り替えたときの応答速度は,多孔質Pt電極とほぼ同じだった.従来の多孔質Pt電極の電極反応は,固体電解質・電極・気相が接する点(三相界面)で起こる.一方,緻密膜が電解質と完全に密着,面接触しているときは,界面で電極反応が起こる(二相界面電極).この場合,電極中の水素濃度は気相の濃度とSievert則で関連付けられる.実験の結果,Pd緻密膜でも各水素濃度において多孔質Pt電極と同じ三相界面の理論起電力と等しいセンサ起電力値を示した.これは、緻密膜と固体電解質の界面にところどころ観察された微小空隙が,三相界面の形成場所となり、電極反応を起こしていると考えられる.本センサの測定誤差はNernstの式から得られる理論起電力に対して3%以内であった.
(3)液体増殖材中への水素センサ浸漬
   緻密なPd膜を取り付けた水素センサを溶融塩Flinak中に浸漬しその適用性を検証した.
   まずPd緻密膜のFlinakへの耐食性を調べるために,固体電解質表面にPd緻密膜とPt多孔質電極を取り付け,Flinakと接触させArガス雰囲気下で873K,5時間保持し,電極成分及び固体電解質成分の溶出量を測定した.Pd緻密膜を取り付けたサンプルからの固体電解質の構成成分の溶出量はPt多孔質電極サンプルよりもはるかに少なく,膜の剥離もなかったことから,Pd緻密膜は固体電解質の保護膜として有効であることを確認した.
   次に,センサをFlinak中に浸漬し,雰囲気にAr‐H2混合ガスを流してFlinakに溶解する水素濃度を制御し,温度を変化させて水素センサの起電力応答を測定した.
   その結果水素センサは起電力応答を示し,水素濃度の連続測定が可能であることが示された.測定中温度を変えると,起電力が時間遅れを伴って徐々に変化した.これは温度変化により水素の溶解量の変化が起こり,水素濃度が安定するまでに時間がかかることが原因であり,温度変化による水素濃度の均一化過程を連続測定することができた.
(4)核融合炉への適用に関する考察
   固体電解質水素センサの核融合炉ブランケットへの適用について考察し,センサ特性に同位体効果があるが,起電力差を考慮することによりトリチウムの計測が高い精度で可能と見込まれること,トリチウムの回収効率測定,漏洩検知,液体増殖材中のトリチウム濃度制御のための流量調整などに有効に利用できると見込まれること,Pt緻密電極の製作技術が開発され,Pt膜の水素透過能がセンサとして十分であることを確認することにより,一層の耐食性を有するセンサの実現が可能であることが導かれた.
まとめ
   核融合炉液体ブランケット用のオンライン測定ができる水素センサを開発するために,従来の多孔質金属電極を用いたプロトン導電体水素センサを改良し,耐食性に優れた緻密な保護電極を有するセンサを試作し,特性評価を行なった.また溶融塩Flinak中に浸漬し,センサの適用性を評価した.
    Pdペーストを固体電解質表面に塗布し,大気雰囲気下1673Kで熱処理することで,緻密な膜状の電極を得ることができた.緻密電極を取り付けた水素センサの電極特性評価をAr‐H2ガス雰囲気下で行ない,Pd緻密膜電極が水素センサの電極として使用できること,電極反応が電極と固体電解質との界面の微小空隙で形成される三相界面における反応であることが分かった.
   液体増殖材中へのPd緻密膜電極水素センサの適用性評価として液体増殖溶融塩Flinak中での浸漬測定試験を行ない,耐食性の向上を実証すると共に,溶存水素濃度のオンライン測定が可能であることを示した.
本研究及び考察により,固体電解質水素センサを用いた液体増殖ブランケットのオンライントリチウムモニタリングの可能性が実証されると共に,一層の高度化への指針が示された.
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