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   これ以前の一般的な放射光源におけるビーム入射は、蓄積電流がゼロの状態から始め、ある決められた電流値まで電子ビームを蓄積し終了していた。蓄積した電流はビーム寿命によって徐々に減って行き、ある電流値を下回ったところで次のビーム入射を行うという事を繰り返していた。重要なのは、入射中は放射光実験を中止し、蓄積が完了した時点で実験を再開するというのが一般的であったことである。
これに対してトップアップ運転では、常に少しずつビームを注ぎ足すという方式を取り、ビームを注ぎ足している最中も実験を行う。この新しい運転形態により、放射光ユーザーは、常に一定の高い蓄積電流値で実験を行う事が出来るようになり、高フラックスの実験が可能になるだけでなく、ビームラインにおける放射光による熱負荷を一定に保つ事ができるようになった為、温度変化による系統的な実験誤差が小さくなり長時間に渡って精密な測定をする事が可能になった。
   放射光のユーザーにとっては、非常にメリットの多いトップアップ運転であるが、蓄積リングのビーム入射システムに対する要求は厳しいものとなる。一番の問題は、これまでは放射光を供給していなかったビーム入射時においてもその供給を行うようになった結果、それまでは問題視していなかった入射時における蓄積ビームの振動に気を使う必要が出て来たことである。
   入射時の蓄積ビームの振動の主な原因は、電子蓄積リングで一般的に用いられている入射のバンプ軌道の不完全さにある。通常このバンプ軌道は、3台ないし4台のパルス偏向電磁石(キッカー)を使って作るが、これらの励磁のタイミングがずれたり、各々のキッカーの個性が違ったりするとバンプ軌道が完全に閉じなくなってしまう。仮にキッカーに問題がなかったとしても、バンプ軌道内に非線形磁場を発生させる電磁石(6極電磁石等)があった場合には、バンプ軌道は完全に閉じなくなる。
   複数台のキッカー間のタイミング不整合が蓄積ビーム振動原因であるならば、入射用のパルス電磁石を1台にすれば問題は解決すると考えるのは自然である。1台のパルス電磁石によって入射する方法は、on-axis入射として知られるが、この方法では入射と同時に蓄積ビームが蹴り出されてしまう。もし、入射ビームに対しては必要な蹴りを与え、蓄積ビームに対しては蹴りを与えないような構造を持つパルス電磁石が用意できれば、原理的には1台のパルス電磁石で入射が可能となる。PF-ARにおけるパルス4極電磁石を使った入射実験は、この原理を用いたものである。ところが、実際にパルス4極電磁石を使って入射を行ってみると、入射時に蓄積ビームのプロファイルが4重極振動を起こすことがPF-ARの実験で明らかになった。原因は、磁極中心に存在する4極磁場成分であり、有限のビームサイズを持つ蓄積ビームがこれを感じて振動を起こしていた。この振動を抑える為には、蓄積ビームへ対する多重極電磁石の影響を小さくする必要がある。そこで、多重極の磁極数を増やして、入射ビームに対する磁場をそのままに、磁極中心付近における磁場が弱いパルス電磁石を製作し、それによって入射中も蓄積ビームの重心振動とプロファイルの4重極振動の両方抑えることのできるシステムを開発することにした。磁極数を増やせばそれだけ中心部の磁場は小さくなるが、中心から離れた磁極の先端付近では急激に磁場が立ち上がることになる。これは磁極内で磁場の飽和の原因となるので、どこまでも磁極数を増やす訳には行かない。そこで磁極数は6極とし、高エネルギー加速器研究機構のPhoton Factoryの電子蓄積リング(PFリング)に最適化したパルス6極電磁石(PSM)を製作することにした。
   PMSのパラメタは、磁極長300 mm、中心付近での磁場勾配はB\" = 360 T/m-2、最大電流3000 A、入射ビームに対する積分磁場は120 Gauss mとした。PSMを励起するパルス形状は、リング1周の周回時間が約0.6 secのPFリングにおいては1.2 sec以下のパルス幅が望ましいが、今回は経済的な理由から2.4 secのパルス幅を持つハーフサインとした。磁極は0.15 mmの厚さの珪素鋼板の積層で作り、ボア径は直径66 mmとした。円筒形をした真空ダクトには、渦電流の影響を抑えるために厚さ約3 mmのセラミックを使用し、内側はインピーダンスを下げるために3 mの厚さのチタンコーティングを施した。製作したPSMはテストベンチにおいてサーチコイルを使ったパルス磁場測定を行い、PSM内における入射ビームの位置(磁場中心から15 mm内側)において必要な積分磁場出ていることを確認し、PFリングの2番の超直線部のアンジュレータの下流に設置した。
   PSMを使った入射システムが有効に機能するかどうかを検証するには以下の3点を確認する必要がある。(1)このシステムを使っての入射が可能であるかどうか、(2)蓄積ビームの振動は通常のパルスバンプを使った入射に比べて小さくなっているか、(3)蓄積ビームのプロファイルの変動は起きていないか、である。
PSMを使った入射は成功し、通常のキッカーを使った入射に比べて約2/3の捕獲効率がある事を確認した。捕獲されなかった電子は、シミュレーションの結果からセプタムと14番のチェンバーに当たって失われている。PSMを使ったトップアップ運転も行い、約30秒毎に入射を行うことで蓄積電流値が450 mAの運転時にピークの幅で0.02%の電流値の安定度を実現できた。
   蓄積時のビーム振動に関しては、ビーム位置検出器を使ってリング周回毎のビーム位置を測定し、入射直後の蓄積ビームの振動を測定した。通常のキッカー入射と比較した結果、PSM入射直後の蓄積ビームの重心振動は、水平方向で約1/5、垂直方向で1/4にそれぞれ小さくする事ができた。また、問題となっていた蓄積ビームのプロファイルの変動についても、27番のビームラインに設置した高速ゲートカメラを使ってターン毎のビームプロファイルを測定し、PSM入射においては4重極振動がほとんどなくなっている事を確認した。
   蓄積ビームの振動は、放射光の強度の変動としてビームラインに悪影響を与えるため、今回PFの5番、14番、17番のビームラインを使って放射光の強度変動も測定した。特に14番においては、通常のキッカー入射で70%程度あった入射時の放射光の強度変動が、PSM入射においては2%以下にまで小さくなった。
PSM入射実験におけるいくつかの精密測定により、この入射実験が行われた当時は、PSMに対する電源接続の極性が反転した状態での運転であった事が確認されている。しかしながら、PFリングのアクセプタンスとPSMの入射調整可能領域が大きかったために、偶然にも入射が可能になっていた。
   結論として、電子蓄積リングにおけるパルス6極電磁石を使ったビーム入射に世界で初めて成功し、その有効性を示す事ができた。蓄積ビームの重心振動はキッカー入射に比べて小さくなり、ビームプロファイルの変動もほとんどなくなった。捕獲効率の向上等の解決すべき課題はあるが、今後この入射方式は蓄積リングを使ったトップアップ入射において有効な手段と成り得る事がこの開発実験によって示された。
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