@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00002672, author = {鈴木, 重太朗 and スズキ, ジュウタロウ and SUZUKI, Jutaro}, month = {2016-02-17}, note = {重力崩壊型超新星爆発からは、3種類のフレーバーとそれらの反粒子全てを含む多量の高エネルギーニュートリノが発生する。ニュートリノは物質との相互作用が極めて弱いので超新星内部の高密度領域から容易に脱出できるため、光では観測できない星内部の物理過程の情報を含んでいると期待される。また、同様の理由により、宇宙初期から現在までに発生した超新星ニュートリノは、星間物質等による吸収・減衰を受けることなく宇宙空間を飛び交っていると考えられる。そこで、メガトン級の水チェレンコフ型検出装置ハイパーカミオカンデ(HK)によるこれら残存超新星起源ニュートリノ(Supernova Relic Neutrinos = SRN)の検出が計画されている。SRNのエネルギースペクトルや強度などを検出することができれば、超新星ニュートリノ温度やフレーバー振動などのニュートリノ自身の性質について、更には宇宙開闢以来の大質量星の進化史について知ることができると期待される。しかし、SRNには多くの物理的要素が畳み込まれており、検出個数の予測値にはこれらの物理的要素に伴う多くの不定性が存在することが指摘されている。具体的には、星形成率に関する不定性(即ち超新星発生率に関する不定性)、発生期のニュートリノにおけるフレーバー毎のエネルギー分布に関する不定性、超新星爆発時の状態方程式(EOS)に関する不定性、及びニュートリノ振動効果に関する不定性である。  上にあげた不定性のほかに、最近の宇宙観測の進展によって、赤方偏移Z=1までの宇宙における星形成率の精緻な観測が行われ、単位共同体積内の約10太陽質量より重い星の星形成率(SFR)から計算される超新星発生率(SNR)の理論予測値と超新星発生率の実測値との間に約2倍ほどの不一致があることが明らかにされた。この理由としては、大質量星として一旦誕生していながら、何らかの原因で超新星爆発として観測できなかったものが多数ある可能性が示唆されており、宇宙における大質量星の進化の研究に大きな波紋を作り出している。観測されている超新星とほぼ同数の大質量星が、ONeMg超新星のように通常の超新星よりも光度が一桁ほど暗くて観測できなかったか、あるいはブラックホール形成を伴うような重力崩壊型超新星に至りながら明るい光度で爆発できなかったかという解釈が提案されている。これらは“failed supernovae (fSNe)”と呼ばれ、理論的な研究が始まったばかりである。   本研究の究極の目的は、メガトン級水チェレンコフ型検出器を用いて残存超新星起源ニュ―トリノ(SRN)を検出することによって、“failed supernovae”の謎が解明できる可能性を定量的に示すことである。そのために、SRNエネルギースペクトルの理論予測に畳み込まれている物理的要素を一つ一つ検証することを第一の目的とする。即ち、SRN検出率の理論予測で用いられている天文観測を最新のデータに更新するとともに、さまざまな理論的仮定の妥当性を一つ一つ定量的に評価し、高い赤方偏移を持つ宇宙論的距離における星形成率についての新しい観測データに基づいて、親星の質量に応じて爆発後に中性子星・ブラックホール・ガンマ線バースト及び白色矮星を残すような全ての超新星に対してニュートリノ振動を考慮した上で、現在最も信頼できる精度でSRN検出率を予測する。特に、星形成率および重力崩壊型超新星爆発発生率の観測データについては、不定性を取り除くために、星間物質による減光効果の補正を考慮した最新の観測結果を用いる。また、超新星爆発・ONeMg超新星・failed supernova・ガンマ線バーストに関する最新の数値実験研究の結果を取り入れることにより、これらの各種爆発現象におけるニュートリノ温度及び輝度に関する最新のデータを採用する。更に、超新星爆発のニュートリノ温度に制限を加えるため、超新星元素合成や銀河化学進化に関する最新の研究成果も取り入れる。第二の目的は、上記のような方法で不定性が取り除かれれば、計画中のメガトン級水チェレンコフ型検出装置を用いたSRNの検出によって、素粒子物理学の一大研究課題であるニュートリノ混合角、質量階層の解明が可能となることを示す。第三に、同じく不定性が取り除かれれば、超新星爆発機構やニュートリノ温度、光度等に影響を及ぼす超新星コア(高密度核物質)の状態方程式をも強く制限しうることを示す。そして最終的に、“failed supernovae”の謎が解明できる可能性を示す。  我々は、この研究の過程で、星形成率と超新星爆発発生率の差は1.4倍程度であるという結論を得た。但し、先行研究の議論に基づいて差が2倍程度としても、本研究の第二及び第三の目的として掲げたニュートリノ混合角、質量階層の解明や超新星コア(高密度核物質)の状態方程式への制限の可能性については結論は変わらない。, 総研大甲第1448号}, title = {Cosmic History of Core-Collapse Supernovae and Supernova Relic Neutrinos}, year = {} }