@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000285, author = {樋山, みやび and ヒヤマ, ミヤビ and HIYAMA, Miyabi}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {超励起状態とは、エネルギー的にイオン化よりも上にある中性の励起状態と定義され、主に二種類に分類される。程式(特異型積分方程式)の非摂動解 (7)MQDT(多チ一つは二電子励起または内殻励起状態(第一種超励起状態)で、もう一つはリドベルグ状態の回転・振動励起状態(第二種超励起状態)である。これらの状態は通常の価電子励起状態とは大変異なる性格を持ち、多くの動力学過程で中間状態として大変重要な役割を演ずる。超励起状態上での動力学過程を解析するためには、これらの状態を特徴付けるパラメーター量子欠損μA(R)(第二種超励起状態)と電子的結合V(R,ε)(第一種超励起状態)- を知る必要がある。ただし、∧はリドベルグ状態の主量子数n以外の量子数、Rは分子の相対核座標、εは出ていく電子の運動エネルギーである。  本研究では、実験からは求めることの出来ないこれらのパラメータ関数を理論的に評価する方法を含めて、三原千分子の超励起状態の特質と動力学を解明するための極めて一般的手法の開発を行った。 (1)第一種超励起状態の制限CI計算によるポテンシャル曲線と電子波動関数の導出 (2)第二種超励起状態のSCF計算によるμ∧(R)の評価 (3)2中心クーロン波の評価とそのガウス関数展開 (4)電子的結合V(R,ε)の評価 (5)分光実験データのMQDT(多チャンネル量子欠損理論)による解析と上記情報の改良 (6)K-行列散乱方ャンネル量子欠損理論)による各種動的過程の解析  (2)では、第二種超励起状態を記述する量子欠損の核間距離依存性を、ab initio法から見積った。リドベルグ状態は、一つの電子だけ高く励起した状態なので、一電子描像のSCF計算で核間距離に対する振る舞いを求めることができる。絶対値は、(5)の分光実験のデータの解析を利用して決めればよい。(1)(3)(4)は、解離過程を核間距離の座標に対する散乱過程と見たときの位相のずれを計算する(6)のための準備過程である。(4)で見積る電子的結合は、連続状態(イオン化状態)と束縛状態(超励起状態)の間の結合の強さを示すパラメータで、それぞれの状態の波動関数を、出ていく電子のエネルギーεと核配置Rごとに、電子の座標で積分することで、求めることができる。(1)では透熱表現での第一種超励起状態を求める必要があるので、若干の工夫が必要である。即ちリドベルグ状態を記述する拡がった基底関数を除いたCI計算を行う必要がある。ここで、超励起状態の波動関数とポテンシャルエネルギー関数が決まる。次に(3)で、連続状態の波動関数を作るために、出ていく電子の波動関数を2中心クーロン関数で表現する。2中心クーロン関数は、解析的には特殊関数の無限級数あるいは数値解で表されていて、そのままでは使いにくい。そこで、後の積分計算のことも考えて、この関数をガウス関数で展開した。(4)では、(1)と(3)の結果を使って、積分計算を行った。この方法により、核配置と出ていく電子のエネルギーごとに、電子的結合を見積ることができるようになった。(6)の電子的結合V(R,ε)に係わるK-行列積分方程式は、解離型第一種超励起状態の効果を非摂動的にMQDTの枠の中に取り込むために解くべき方程式である。電子的結合が弱い場合は、摂動論で近似することもある。(1)~(6)までの計算で、多チャンネル量子欠損理論を使って各種動力学過程を評価するための道具建てを整えたことになる。  上記の方法の応用例として、ここではCO分子を取り上げる。(1)の電子状態の計算には、MR-SCI計算を行った。その結果、第一イオン化エネルギー付近には、1Σ+状態と1II状態の2つの超励起状態が存在することがわかった。また、(2)のSCF計算により、σ、δ型のリドベルグ状態の量子欠損は、核間距離には強く依存せず、π型のりドベルグ状態の量子欠損が、核間距離に比較的強く依存することがわかった。つまり、第二種超励起状態を経由する自動イオン化の過程では、σ、δ型のリドベルグ状態からの自動イオン化の速度は遅く、スペクトル幅は観測できないであろうと予測でき、実際、これは実験事実と符号している。また、今回の研究では、解離過程1Σ+状態に対する(3)(4)の計算を行った。(1)(2)の結果を使って、電子的結合を核間距離とエネルギーには依らないと仮定して、摂動計算によりリドベルグ状態のエネルギー準位の計算をしたところ、電子的結合の効果は殆ど現れなかった。これは、イオン化エネルギーより下の状態では、ポテンシャルエネルギー曲線の形から、フランク・コンドン因子が小さくなるためである。すなわち、電子的結合の絶対値がそれほど小さくなくても、着目している動力学過程の条件によっては、その効果が現れないこともある。これに対して、第一種超励起状態からの直接自動イオン化過程は、電子的結合がそのまま効いて起こる過程である。このように、超励起状態の各種動力学過程を解析するためには、その特質を示す電子状態の評価とともにそれらの相対的重要性を評価することが大事であることがわかる。, application/pdf, 総研大甲第229号}, title = {二原子分子の超励起状態の特質と動力学}, year = {} }