{"created":"2023-06-20T13:20:16.935893+00:00","id":287,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"796e823e-34d8-4fd7-8412-b05a5e45d0a2"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"287","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"287"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000287","sets":["2:427:10"]},"author_link":["8003","8001","8002"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"満身, 稔"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"ミツミ, 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序論で述べた分子システム開発の基礎研究として、分子間水素結合を有する水素結合型金属錯体の合成と単結晶化を行う必要がある。そこで本研究では、金属イオンへのキレート配位とN-H・・・O、N-H・・・N水素結合が可能な4(3H)-プテリジノン誘導体であるルマジン(HLM)とプテリン(HPR)を配位子として選び、水素結合型金虞錯体の合成と結晶化を行なった。X線結晶構造解析により、これらの配位子を用いて合成した[Cu(LM)2(H2O)2](1)、[Cu(PR)2(H2O)2](2)、[Cu(PR)2(H2O)2]-2H2O(3)、[Zn(PR)2(H2O)2]-2H2O(4)がプテリジン配位子のスタッッキングと水素結合の三次元ネットワークを持つ金属錯体であることを明らかにした。これらの錯体は配位子HLMとHPRを用いた水素結合型金属錯体の最初の例である。\n [合成] 配位子HLMとHPRを有する金属錯体は合成されているが、溶解度の問題から水素結合型金属錯体の単結晶化には成功していない。そこで、配位子HLMまたはHPRをNaOHで脱プロトン化した水溶液と金属塩の水溶液を肩字管を使用して拡散し、1-4の単結晶を作成することに成功した。\n [結果と考察] X線結晶構造解析の結果、水素結合型金属錯体1-4は以下の特徴をもつことがわかった。一例として、錯体1の分子構造とパッキングの様子をそれぞれ図1、2に示した。\n (1)二つのブテリジン配位子はO4とN5原子で金属原子にキレート配位している。(2)分子ユニットは配位したプテリジンと水分子の間の水素結合によって二次元的な水素結合シートを形成している。(3)二次元シート内では、プテリジン配位子のスタッキング構造が存在する。(4)これらのシートはプテリジン配位子間の水素結合によって、水素結合の三次元ネットワーク構造を形成している。(5)ほとんどすべての水素結合サイトは分子間水素結合に関与している。\n さらに、次のような基礎的に重要な知見も得られた。これまでに、水素結合のO-H、N-H伸縮振動数と相当する原子間距離O…O、N…O、N…Nの間の相関図が報告されている。これらの相関図を利用して、X線構造解析で得られた水素結合距離をこれらの相関図にプロットして求めたO-H、N-H伸縮振動数と3600-2600cm-1領域のIRスペクトルの振動数の実測値との間には、よい一致があることがわかった。この結果より、結晶構造解析が不可能な金属錯体の場合でも、IRスペクトルのO-H、N-H伸縮振動数から水素結合の原子間距離の推定が可能であると考えられる。\n\n第2章: 新規の平面型二核銅(I、1)混合原子価錯体\n [序論] 1章では、水素結合型金属錯体の合成に成功したが、電荷移動相互作用の導入までは至っておらず、水素結合型金属錯体に分子間電荷移動相互作用を導入することは非常に困難であった。そこで、RobinとDayの分類によるClass IIまたはIIIタイプの混合原子価錯体の分子内電荷移動相互作用に着目した。なぜなら、混合原子価錯体における電子の非局在化一局在化現象が水素結合部位のプロトンに及ぼす影響を期待したからである。さらに、スクッキングによる分子間相互作用を考慮すると平面型構造が適切であることから、金属イオンとして銅イオンを選んだ。この戦略に沿ったプロトンー電子連動システムのモデルを図1に示した。この研究では、温度あるいは圧力などによってプロトンと分子内電荷移動が連動する分子システム構築の基礎研究として、新規の平面型二核銅(I、1)混合原子価錯体の開発に関する研究を行った。\n 熱的あるいは完全に異なった原子価状態に不対電子が非局在化するためには、二つの銅の環境が等価あるいはほぼ等価でなければならない。これまでにいくつかの二核銅(I、1)混合原子価錯体の結晶構造が報告されているが、そのほとんどが非平面性であり、銅の配位環境が等価な平面型二核銅(1)錯体の例はない。そこで、二つの銅の環境が等価な平面型二核銅(I、1)錯体を得る目的で、二核化三座配位子として2-(2'-ピリジル)-4(3H)-ピリミジノン誘導体HL1-HL4(図2)を分子設計し合成した。配位子HL3とHL4には分子間水素結合を考慮してアミノ基を導入した。なお、HL3とHL4は未知物質である。本研究では、これらの配位子HL1-HL4を用いて、以下に示した二核銅錯体1-4を合成した(図3)。これらの錯体の磁性、電子スペクトルを調べ、さらにESRスペクトル測定からこれらの錯体がClass IIタイプに帰属される二核銅(I、1)混合原子価錯体であることを明らかにした。\n [合成] アルゴン雰囲気下、二核化配位子HL1-HL4を用いて、Cu(PF6)2と[Cu(CH3CN)4]PF6の混合溶液から錯体1-4を合成した。\n [結晶構造] 単結晶が得られた錯体1,3,4について、X線結晶構造解析を行った。一例として、錯体1のカチオンの構造を図4に示した。錯体1,3,4はいずれも二核化配位子のピリミジン環とピリジン環の窒素原子で銅原子に配位しており、ピリミジン部分の酸素原子がもう一つの銅原子を架橋することにより、非常に珍しい二核構造を形成している。錯体1,3,4の銅一銅間距離は約2.40Aである。錯体1は銅一銅間に対称心を有しており、二つの銅の配位環境が等価な平面型二核銅(I、1)混合原子価錯体の初めての例である。錯体3は対称心を持たないが、二つの銅の配位環境はほぼ等価である。銘体4はダイマー化によって、対称性が崩れた構造である。\n 錯体1,3,4の結晶内での分子配列をそれぞれ図5,6,7に示した。錯体1のパッキングの様子は二核錯体とPF6-イオンがc軸に沿って交互に並んだ構造である。錯体3は積層したカラム構造を形成しており、さらに分子面に平行な方向では配位子間で水素結合を形成している。一方、錯体4ではダイマーがa軸に沿ってスタックした構造である。錯体4の水素結合サイトの一部では、非常に弱い配位子間水素結合を形成している。\n [磁性] 錯体1と3のχT価は二核銅錯体あたり、S=1/2の値を示しており、錯体1と3が二核銅(I、1)混合原子価錯体であることと一致している。錯体1と3の磁気的挙動ぱCurie的であり、そのWeiss定数はそれぞれ-0.21K、+0.11Kである。錯体2の磁性は一次元Heisenberg反強磁性体モデルでうまく再現できることから、結晶構造は未知であるが、結晶中で積層構造を形成していることが示唆される。錯体4の磁性はダイマー内でのsinglet-tripletモデルで非常によく説明でき、構造面からの二核錯体のダイマー化と一致している。ごの反強磁性的相互作用によるエネルギーギャップは36.9cm-1と見積もられた。錯体2と4の磁火的挙動も二核銅(I、1)錯体であることと一致している。\n [電子スペクトル] 錯体1-4の電子スペクトルを固体状態(KBr)とDMF溶液状態で測定した(表1)。錯体1-4の固体状態での電子スペクトルはいずれも二核銅(I、1)、ユニット内での電荷移動に起因するとみられる吸収を734-754 nm領域に示した。錯体2の構造は未知であるが、同様な吸収を示すことから、二核銅(I、1)構造を有することが示唆される。DMF溶液状態でも錯体1-4は790-854 nm(εmax約1200-2300M-1cm-1)に吸収を示していることから、DMF溶液中でも二核銅(I、1)構造が保持されていることが示唆される。\n [ESRスペクトル] 合成した錯体のうち、唯一、非配位性である塩化メチレンに可溶な錯体2のESRスペクトルを測定した(図6)。室温では、7本線の超微細構造が明確に認められ、不対電子がI=3/2である。二つの銅原子上に非局在化していることがわかる。143Kでは、4本線(gn)の異方性スペクトルを示していることから、不対電子は一方の銅原子に局在化していることがわかる。錯体1-4のDMF溶液でのESRスペクトルは最も低磁場側のシグナルがブロードとなっているが、7本の超微細構造が認められた。DMF溶液では、明確な7本線の超微細構造を与えないことは、DMFが配位性であり軸方向から銅と相互作用するために、両方の銅原子への不対電子の非局在化の度合いが小さくなっていることが示唆される。これらの結果から、錯体1-4はRobinとDayの分類によるClass IIタイブに帰属されることがわかった。\n 以上、2章では、新規の平面型二核銅(I、1)混合原子価錯体の開発を行ない、錯体1-4が様々な結晶構造と磁性を示すClass IIタイプの二核銅(I、1)混合原子価錯体であることを明らかにした。特に、錯体3は固体状態で分子間水素結合とカラム構造を兼ね備えており、プロトン-電子連動システムのモデルとなることが期待される。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_18":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第257号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"数物科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"08 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