{"created":"2023-06-20T13:20:00.067503+00:00","id":3,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"c89dc96d-e018-4977-9ad3-df7e73586be1"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"3","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000003","sets":["2:426:3"]},"author_link":["7352","7351","7350"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"岡田, 浩樹"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"オカダ, 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第1章では、先行研究を再検討し、両班化を解釈する際の方法論的視点を提示した。まず両班の定義については、常民との相対的概念としてとらえる。つぎに両班化を第一のレベル(非両班層の両班への上昇志向と行動のレベル)と第二のレベル(常民との境界にいる両班の上昇志向と行動のレベル)に区分し、第二のレベルを重視した。そしてその解釈において、人々が実際にどのような「両班的行為」をおこない、どのように「両班的表象」を使用しているかに着目する。そこでギアーツの文化解釈モデル、「現実のためのモデル」を理論的枠組みとして用いつつ、このモデルの細部を創出し、改造しようとする主体の問題に注目する。「両班モデル」の準拠枠である「テキスト規範」と、両班的実践における「実践規範」という操作概念を導いた。さらに秋葉をはじめとする先行研究を再検討し、広い社会文化システムの中で親族現象と両班化を関連させつつ解釈を進めるために、「門中的領域」、「チプ的領域」の分析概念を採用した。\n 第2章では、斐山高氏門中の組織と活動の記述をおこなった。重要な点は、[伝統社会」の門中にも内部に動態的性格が見いだせることである。門中の形成や活動は両班化の手段であり、地域社会の存在を前提におこなわれることを事例によって示した。\n 第3章では、地域社会での両班化を検討した。ここで強調するのは、両班化において儒林と両班のネットワークの果たした役割である。地域社会とは、特定の集団(儒林)ないしは階層(地域の両班)のネットワークが社会的・文化的支配力を及ぼす社会的範囲である。両班は、郷校や書院、および亭子をネットワークの結節点とし、地域社会、門中、村落の間に両班的表象を媒介する存在である。同時に実践規範を創出し、これによって人々の行動を拘束する。人々は規範に拘束を受ける同時に、自らが両班化をはかる際には主体的に規範に従うのである。また、両班化は門中間の一種の儀礼的闘争であることを斐山高氏の事例での「外孫奉紀」と「モニュメントの建造」の事例で示した。そして両班を両班的行動に関する細部の形式と知識を強調し、より精緻な両班のイメージを作りだし、自らそれを実践する存在であることを示した。\n 第4章では、両班化の実践を斐山高氏時享祭の事例で詳細に検討した。時亨祭は門中の活動の焦点であり、両班化の重要な具体的な実践のひとつである。儀礼主義的な性格が強い時事祭では相互に無関係な細かな規則の束であり、ローカルな規範である実践規範が強調される。人々は儀礼に参加することで、長老たちが生産する実践規範と両班のイメージを受容する。同時に時享祭に顕在化した実践規範によって父系出自のイデオロギーの拘束(門中的領域)が強化される。また、この章では親族関係との関連を見すえつつ、チプ的領域/門中的領域の概念を用いて忌祭と時亨祭の相違点を明確にした。時亨祭は標準化され、父系親族集団による画一的な手順と形式を特徴とする。一方で忌祭はキンドレッドの範囲の人々がおこない、その形式は多様である。これは忌祭が門中的領域とチプ的領域の境界でおこなう儀礼であるためで、人々が実践規範の拘束を不断に受けつつも日常生活の諸条件との折り合う状況が表れている。\n 第5章では、七〇年代以降、産業化・都市化が進む中における斐山高氏の儒式儀礼と門中組織のさまざまな変化を記述した。ここで強調されるのは、それまでの両班化を成立させてきた地域社会の弱化ないしは消滅である。地域社会の崩壊は両班化における実践規範が意味たりえるコンテクストを消滅させた。このことは儀礼手順のマニュアル化および大量印刷によって、儀礼の標準化が全国規模で進行していることに表れている。門中組織に関しても系譜関係が曖昧な者を排除するのではなく、むしろ包含する傾向が強まった。もはや門中にとって時亨祭は地域社会における両班の地位を主張するための手段とは言い難く、両班化のプロセスを人々にもたらしてきた従来のモメントの弱化を意味する。\n この章では別の方向性を持つ両班化が現れていることも指摘している。具体的には在京宗親会と斐山高氏全体の団休(斐山高氏大宗親会)であり、これが両班化の新たな主体となっている。宗親会は表面的には門中組織に近似するが、男性中心的傾向や系譜関係の強調といった門中的領域の特徴は弱化し、活動には世帯内の女性の参加と成員間の平等さが顕著であり、曖昧な系譜関係の者を包含する性格が顕著である。そして宗親会の祖先祭肥は両班的の表象というより、団結のシンボル、斐山高氏の一員であるというアイデンティティの表象となっている。\n 終章では、以上の検討をもとに両班化について考察を試み、次のような結論と仮説に至った。李氏朝鮮時代以降の両班化は「両班という階層への上昇」というより、いわば「非常民化」ともいうべきものである。この「非常民化」は地域社会の存在を前提に、儒林たちが両班のイメージと細かな実践規範を作りだし、人々がこれに自ら進んで拘束されていった過程である。人々は地域社会の存在を前提に実践規範を守り、自らの地位を主張する戦術を繰り広げ、両班化(非常民化)しようとしていた。近代以降、特に七〇年代以降には別の両班化が登場する。もはや常民であるか否かはさほど問題ではない。一方で韓国人は、自らを李氏朝鮮時代の両班と同じと意識しない そこでの両班化は、人々が自らをどこに帰属させるかという別の論理によるものである。これは都市化・産業化の中で社会における個々人のアイデンティティの問題に関わる。今日の門中の成員にとって、両班であることよりも、自らが明確な系譜をもち、門中の一員であるという証が重要である。\n 今日の韓国人がかっての両班化における同じ行動をとったとしても、これは従来のような両班の地位主張の手段そのものではない。そうした行動は両班という階層への帰属意識というより、韓国社会への帰属意識にもとづいている。かつて両班たちはステータスの裏付けとなる現実の社会的経済的権力を失ったときに、自らの社会的アイデンティティを維持するために文化的イメージとしての両班を作りだした。文化的イメージに転換した両班が韓国人の伝統認識と結びつき、都市社会での個人のアイデンティティ喪失の問題、国際社会での民族アイデンティティの問題などの観念的レベルの解決策として韓国人に受け入れられたと仮定できる。すなわち今日の両班化は「国民化」といい得るだろう、というものである。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第161号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"文化科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"01 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