@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000302, author = {今村, 穣 and イマムラ, ユタカ and IMAMURA, Yutaka}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {有機導体は、電荷・スピン密度波、スピンバイエルス、超伝導、反強磁性状態などさまざまな物性を示す。これらの物性は、外的・化学的圧力、電子格子相互作用、軌道間の相互作用などのパラメーターにより制御される。これらの物性、制御パラメーターを理論的に解明する必要がある。有機導体を構成している有機分子は、分子固有の性質を保持しており、従来のバンド、モデル計算アプローチだけでなくその性質が記述できる方法で解析することが、大切である。非経験的分子軌道法は、有機分子の固有の性質を定量的に解析することができ、分子設計にも有用な方法である。また、最近のコンピューターの発展により、巨大な分子の計算が可能となっている。彼らは、この方法を用い有機分子の性質を明らかにし、それに基づいた有効ハミルトニアンを構築した。その基底状態を平均場近似や厳密対角化(Full-CI法)を用いて求め、そのスピン相関から、物性制御パラメーターを議論した。  DCNQI-M塩(M; 金属)は、金属、置換基によりさまざまな状態をとる。Cu塩では、DCNQI分子のpπ軌道と銅のd軌道が混成した3次元の系であり、Ag,Li塩の場合は、1次元性が強く、多くの物質が低温でバイエルス不安定性を持ち、置換基によりCDWやスピンバイエルス状態になる。これらの物性を担う様々なDCNQI分子の中性、ア二オン両方の千ノマーの構造最適化をab initio HF/DZPレベルで行った。実験値と比較検討を行ったところ、結合距離で、0.04Å、角度で4度の誤差があった。角度の誤差が大きいのは結晶の効果を考慮していないためであり、それを除いてはよい一致を示している。置換基による構造の差異は、著しくなかった。トランスファー積分を求めるために、ダイマーの電子状態の計算を、X線構造を用いて、ab initio HF/DZPレベルで行った。(DMe-DCNQI)2CuのLUMO間(intrachain)のトランスファー積分は、0.43eVで、以前に得られた密度汎関数法によるもの(-0.25eV)よりも大きい。計算した分子の中で、DI-DCNQIのトランスファー積分(0.29eV)が最も小さく、結晶構造のc軸格子定数は最も長い。c軸格子定数とトランスファー積分の間には相関があると考えられる。サイト間の電子相関を調べるために、Boysの方法でテトラマーのab initio HF計算で得られた軌道をDCNQI分子上に局在化させ、物性に寄与すると考えられるDCNQI分子のLUMO軌道のみ考慮したテトラマー、オクタマーモデルの有効ハミルトニアンを構築した。両モデルとも、ab initio HF計算で得られた1、2電子の最近接相互作用まで考慮したモデルである。その基底状態を、厳密対角化を用いて求めた。周期境界条件下のテトラマーの基底状態は、サイト1つごとに電子が反強磁性的に並ぶ相関が強いsinglet状態であることがわかった。この結果は、Charge Orderingの相関を示しており、実験で観測されている4kFCDWの結果に一致する結果を得た。さらに、モデルをオクタマーに拡張し、反周期境界条件下で計算を行った。基底状態、及びエネルギー的に差がない励起状態間で、サイト1つごとに電子が存在するCharge Orderingの秩序が強いことが明らかになった。ただし、スピンに関する反強磁性的相関は、弱くなっている傾向がみられた。  κ-(ET)2Cu[N(CN)2]X(X; ハロゲン)塩は、ダイマーで一つのユニットを形成し、それが二次元面を形成し結晶を構成する。これらのフェルミ面は、低次元性からくる不安定性を受けづらい形をしており、超伝導転移温度(10K以上)が高い有機物超伝導体である。この物質のモノマーダイマーなどの電子状態を、非経験的分子軌道法を用いて求めた。DCNQI塩同様、軌道は分子に局在させ、物性に寄与すると考えられるET分子のHOMOだけを考慮した。ab initio HF/DZPレベルで BEDT-TTF分子の構造最適化を行い、曖昧さがある-CH2-CH2-部分以外のX線構造と比較したところ、結合距離で、0.02Å、角度で0.5度の誤差であり、かなり良い一致を示した。X線構造を用いて、BEDT-TTF分子のダイマーをHF/VDZ+ECPレベルで計算を行い、トランスファー積分などをさまざまなハロゲン(X=Cl,Br,I)の場合求めた。室温でのダイマー内のトランスファー積分は、X=Cl(0.280eV)比べX=1(0.244eV)の方がかなり小さい。このことは、ダイマー化が弱いということを示唆している。実験により提案されていたκ-(ET)2Cu[N(CN)2]X(X; ハロゲン)塩に関する相図とつじつまの合う結果である。これらの計算で得られたトランスファー積分を用いた強結合近似によるフェルミ面は、実験で得られている結果と良い一致を示した。これらの計算から得られたトランスファー積分などのパラメーターを用いた拡張ハバードモデルを、平均場近似を用いて、基底状態をもとめ電子相関に関して考察した。また、ダイマーを1ユニットとみなした周期境界条件下の有限クラスター、デカマーの拡張ハバードモデルの基底状態を厳密対角化することで求めた。パラメーターは、ab initio HF/DZP+ECPレベルの計算から得られた値を用い、クーロン相互作用の役割に関して考察した。スピン相関関数を計算したところ、ダイマーをユニットとした反強磁性秩序の相関が強いことが明らかになった。これは、鹿野田らによるNMR実験で提唱されている状態と一致する。, application/pdf, 総研大甲第384号}, title = {Theoretical Studies on Electronic Properties of Organic Conductors}, year = {} }