@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000305, author = {二梃木, 克洋 and ニチョウギ, カツヒロ and NICHOGI, Katsuhiro}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {[緒言]  LB膜は単分子層のオーダーで膜厚を制御でき、また単分子膜作成時の諸条件によりその分子配向を制御できることから機能性分子デバイス作成のための技術として精力的に研究が成されている。その中でもフタロシアニン、TCNQとその電荷移動錯体(CT錯体)はそれぞれ光機能性、電気伝導性の分子デバイスを提供する材料として、そのLB膜作成と物性評価が盛んに行われている。フタロシアニンLB膜番こ関しては、これまでにいくつもの研究例があるが、フタロシアニン分子がもつ凝集力のために気/水界面で凝集構造を取り、均一なLB膜が得られないという問題が存在する。TCNQのLB膜番こついては主にTCNQの長鎖アルキル誘導体(CnTCNQ)が用いられているが、その構造についてはIRやTEMによる解析にとどまっており、CnTCNQならびにそのCT錯体のLB膜についての電気的特性や光学的特性を正しく理解するためにはより詳細な構造解析が必要である。また、CT錯体のLB膜は電気伝導性を目指した分離積層型CT錯体に関するもののみであるが、分子エレクトロニクスの観点から非線形電気伝導や中性-イオン性転移を示す交互積層型CT錯体は興味深い物質であるが、これに関するLB膜の研究例はこれまでに全くなかった。  このような課題を受けて本論文では以下の点について実験、解析した結果について論じる。 (1) 均一なフタロシアニンLB膜を得るためにLB膜作成のだめの新しいフタロシアニン化合物を合成し、そのLB膜作成、電気的特性について検討する。 (2) CnTCNQLB膜について分子-マクロに至る領域でその構造を明かにする。 (3) CnTCNQを用いた交互積層型CT錯体LB膜の作成手法を開発し、その構造、電荷移動状態、電気的特性などについて評価・解析する。 [フタロシアニンLB膜] 鉄フタロシアニン-軸配位子LB膜  鉄フタロシアニンはさらにn電子を有する分子を軸配位子として6配位錯体を形成する。そこで、この軸配位子に長鎖のアルキル基を導入したフタロシアニン配位錯体を成膜分子として用いれば、フタロシアニンの強い凝集力を緩和することが可能であると考え、[{N-docosyl-4, 4'-bipyridinium(1+)-N}(pyridine)(phthalocyaninato)iron(II)]bromide(以下C22BFPと略記)を新規に合成し、そのLB膜を作成した。π-A曲線、偏光赤外分光法、X線回折法により構造解析を行い、このLB膜は均一で配向性の膜であることを明かにした。電気伝導度は室温で10-7 S cm-1と高い値を示したが、これは先の構造解析の結果からフタロシアニン環どうし、あるいは軸配位子を介したπ電子軌道の重なりのためであることが示唆された。  鉛フタロシアニンLB膜  鉛フタロシアニン(PbPc)は軸配位子と配位錯体を形成しないため、フタロシアニン環に直接置換基を導入した可溶性PbPcを3種類合成してそのLB膜を作成した。Tetracumylphenoxy-PbPcでは膜中に数μmの微結晶が析出し、高い絶縁性を示した。Tetracumylphenoxy-PbPcでは均一な膜が得られたが、電気伝導性は低かった。これはX線回折、π-A曲線の測定結果からα型やβ型フタロシアニン結晶と同様に分子が傾いて膜面内方向に積層しているためと考えられた。これに対してTetracumylphenoxy-PbPcでは膜面内方向で10-4~10-7 S cm-1という非常に高い電気伝導度を示した。X線回折、π-A曲線の測定結果から単斜晶のPbPcと同様にface-to-faceスタックが実現しているためと考えられた。 [TCNQ LB膜]  CnTCNQ(n=12,15,18)のLB膜についてX線回折法、SEM、AFMにより構造を解析した。これらのLB膜はTEM観察などから単分子膜が形成されるとされてきたが、AFM、SEMによる観察の結果、このLB膜が単分子膜の積層体ではなく、二分子膜を単位とした板状微結晶の積層体であることを明かにした。また、高分解AFMの測定により、分子の膜面内方向での二次元配列はCC12TCNQでa0=0.83±0.02nm、b0=0.47±0.01nm、γ0=95±2°、C15TCNQでa0=0.78±0.03nm、b0=0.47±0.01nm、γ0=101±1°、C18TCNQでa0=0.83±0.02nm、b0=0.48±0.01nm、γ0=94±2°であることを明かにした。C12TCNQとC18TCNQはほぼ同じ二次元分子配列であったが、C15TCNQはこれらとは少し違う配列であった。この結果はTerashita等による赤外分光スペクトルの解析結果と一致した。さらに気/水界面でCnTCNQのLangmuir膜を微分干渉顕微鏡により直接観察した結果、CnTCNQは膜展開時にすでに凝集したドメイン構造になっていることを明かにした。 [交互積層型CT錯体LB膜]  ドーピングの手法を用いて3, 3', 5, 5',-tetramethylbenzidine(TMBと略記)、5, 10-dihydro-5, 10-dimethylphenazine((Me)2Pと略記)とC18TCNQLB膜でのとのCT錯体形成を試みた。赤外吸収スペクトル、電子吸収スペクトルの測定結果よりCT錯体の形成が確認された。どちらの膜も偏光分光法により膜面内方向に交互積層した構造であり、赤外吸収スペクトルから見積った電荷移動度はTMB-C18TCNQで0.3、(Me)2P-C18TCNQで0.8であった。TMB-C18TCNQでは中性-イオン性転移が期待されたが、4.2Kまでの電子吸収スペクトルの測定により転移は確認されなかった。CTバンドのピークシフト、電子親和力からC18TCNQでは中性相が安定化する傾向にあることが示唆された。 [まとめ]  フタロシアニンLB膜  新たな分子設計に基づくLB膜作成用フタロシアニンを合成し、その配列構造を制御することにより、従来よりも電気伝導性に優れるフタロシアニンLB膜が得られた。  TCNQ LB膜 X線回折法、AFM測定、気/水界面Langmuir膜のその場観察等によりマクロ~分子レベルに至る領域でTCNQLB膜の基本構造が本研究により初めて明かとなった。 交互積層型CT錯体LB膜 ドナーのドープにより交互積層型CT錯体LB膜が初めて作成された。このLB膜の構造、分子配列を解析し、LB膜系では中性相が安定化することを明かにした。, application/pdf, 総研大乙第67号}, title = {フタロシアニンおよびTCNQを用いたLangmuir-Blodgett膜の作成, とその評価に関する研究}, year = {} }