{"created":"2023-06-20T13:22:28.069056+00:00","id":3092,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"da91998d-1844-40dd-9a4b-a9492acf85b8"},"_deposit":{"created_by":21,"id":"3092","owners":[21],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3092"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00003092","sets":["2:426:3"]},"author_link":["52","51","50"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"伊藤, まり子"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"イトウ, 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本論文は、全7章から構成される。序論では、村落研究を基盤として進展してきたこれまでのベトナム社会研究を、北部地域村落の社会構造に関する研究、モラル・エコノミー論、ドイモイ以降のベトナム社会研究、そしてベトナム女性をめぐる研究の4つの視点にわけて整理した。そして、従来のベトナム社会研究が、村落やそこでの規定の価値観に埋め込まれたなかにある個人を、あるいはそれを基盤としながら新たな価値観を生成する個人を前提にして議論されてきたことを指摘し、本論文が、そこからこぼれおちた女性たちの存在とその関係を捉えなおす試みであることを述べた。\n それをふまえて、第1章では、ハノイ聖室という場が、フランス植民地期末期の1930年代から、北部地域の社会主義化とその後のベトナム戦争を経て、1986年に施行されたドイモイ政策による社会経済的な発展をむかえたベトナムの歴史的変遷のなかで、都市化と政治化によって特徴づけられていくプロセスを描いた。\n 第2章では、はじめに現在のハノイ聖室の施設、信徒たちの組織体系および活動内容の3点を概観し、その後、ハノイ聖室に集う女性たちの社会的特徴について言及した。\n 続く第3章から第5章では、ハノイ聖室に集う女性たちの関係について具体的に述べたが、そこで注目したのが、ホ・ダオとダオ・ミンという二つの言葉であった。\n 第3章では、代表者のホアが頻繁に言及するホ・ダオという言葉を取りあげた。ホ・ダオとは、信徒を特定の集団として括る教義上の概念であり、地理的な区分にしたがった「教区」という意味にくわえて、擬似的な家族共同体としての意味も含意していた。教義によると、ホ・ダオに所属する成員としての信徒は、活動基盤となるそれぞれの地域の規範に反しない\nような活動を維持することが言及されており、ホ・ダオに帰属する信徒個々人は、それぞれの地域内の規範を守りつつ、カオダイ教の宗教的活動に参加し、ホ・ダオとしてのコミュニティをかたちづくってきた可能性があった。\n 他方、都市への移住者によって構成されるハノイ聖室では、一定の地域社会の背景がなく、代表者ホア個人の思考様式が作用するなかで信徒たちの行為の統制がとられていた。彼女はそれをカオダイ教の「修行」として語ることで、信徒たち個々人の行為を規定し、それをつうじて、信徒たちが聖室という「家」に集い、ホアのダオ観念にしたがった「修行」につとめながら、相互に敬意を示し配慮しあう関係としての理想的なホ・ダオの形成を目指していた。\n しかし、在家信徒たちは、ホアが語る理想上のホ・ダオに対して積極的にくみしているわけではなく、ホアと在家信徒たちのあいだには、軋轢が生じはじめていた。\n 第4章では、在家信徒たちがハノイ聖室を介した宗教的行為を言及する際に使うダオ・ミンという言葉に着目した。ダオ・ミンは、「私・私たちの道(方法 / 信仰)」を意味する。それは、信徒たちが、信徒たちの社会的文脈に即したなかで解釈しているカオダイ教の「修行」をさし示していた。\n 信徒たちがタオ・ミンと表する宗教的行為は、彼らをカオダイ教信徒として徴しづける行為と積徳行為の二つに大別されるが、彼らは、これらの宗教的行為に関して、「修行」を可視的に理解するための行為や型、ないしそれに関連する知識の理解をより重視していた。また、そうした行為や型とそれに関する知識は、信徒間で厳格な統一が図られているわけではなく、多少の逸脱があったとしても信徒間の相互の関係内で許容される傾向もあった。ここでは、ハノイ聖室の在家信徒たちが、信徒同士の関係内において、差異のあるかたちで共有された知識を実践し、「私・私たちの道(方法 / 信仰)」としてのダオ・ミンを編成していることを指摘した。\n 第5章では、ダオ・ミンを表するさまざまな宗教的行為が顕在化する儀礼をとりあげ、なかでも在家女性たちがとりわけ重視する「仏母礼」と死者儀礼について論じた。「仏母礼」とは、ベトナム一般の女神信仰を背景とする儀礼であり、死者儀礼とともに多くの儀礼が参加する。女性たちは、儀礼を通じて、特定の他者と場を共有し、行為を共同する機会をえていた。さらに、彼女たちは、それを通じて経験やそれにともない生じた感情をも共有していくなかで、親密な相互行為を展開していた。とりわけ聖室活動を支える中心メンバーの女性たちは、儀礼を介した活動の過程で親密な相互行為を繰り返しながら、そこでの関係を再編していることを指摘した。\n 終章では、本論文の記述を通じて明らかになった、以下の4点を指摘した。\n 一つ目は、ハノイの歴史的変遷のなかで形成されてきたハノイ聖室という場が、都市化と政治化によって特徴づけられる点である。\n 二つ目は、現在のハノイ聖室には、出身村落からハノイという都市に移住した背景をもち、また未婚者、離婚経験者や戦争寡婦、あるいは子どもの夭折や自身の病気など、人生の一時期においてなんらかの「困難さ」を経験している女性が多く参加している点である。\n 三つ目は、現在のハノイ聖室の活動は、代表者個人の思考様式に強く影響されながらも、\n実際には、在家信徒個々人の実践によって展開している点である。\n 四つ目には、在家信徒たちは、ハノイ聖室の活動を介した場の共有や行為の共同を通じて、相互に親密な関係を形成している点である。\n そしてこのことから、ハノイ聖室とそこに集う女性たちの関係を、「実践コミュニティ」の視点で捉えることの可能性を指摘した。レイブとウェンガーによって提示された「実践コミュニティ」の概念とは[レイブ・ウェンガー1993]、ある集団への新規参入者が、そこへ\nの「参加」という実践を通じて、技能や知識を学習していく場をさす。現代のハノイ聖室では、女性たちが、自己と特定の他者とのあいだで繰り返される行為と対話から生起する相互行為を展開し、比較的対等な関係を再編させていた。\n 今後は、ハノイ聖室に集う女性たちを、実践コミュニティの視点から検討しなおすことで、女性間の関係の精緻な分析が可能となることが考えられる。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_18":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第1467号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"文化科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"01 地域文化学専攻"}]},"item_1_text_10":{"attribute_name":"学位授与年度","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"2011"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"ITO, 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