{"created":"2023-06-20T13:22:28.282162+00:00","id":3098,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"5cc6cb75-6cd4-4eda-9517-3fcb5c232a0d"},"_deposit":{"created_by":21,"id":"3098","owners":[21],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3098"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00003098","sets":["2:426:8"]},"author_link":["79","78","80"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"張, 培華"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"チャン, 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\r\n  そこで、本論文では、典拠論を超えた考究を目ざして、一見すると和語だけで成り立っているかのような表現の基層にも含まれている漢籍の影響にも目を向け、その受容の実態を踏まえた、新しい「読み(解釈)」の可能性を提示した。また、その考察の過程で、従来の注釈で難解とされていた問題についても、改めて考証した。たとえば、四系統『枕草子』の本文に引用された漢詩句と『和漢朗詠集』の漢詩句が一致する部分に着目し、『和漢朗詠集』の古注釈の訓読を参照し、四系統の本文における漢詩文の表現の特徴を考察したことなどは、その一例である。\r\n  以下に本論の構成と、各部、各章の主な内容を簡略に述べたい。\r\n  序章では、清少納言を取り巻く漢文学の背景、本研究の目的及び構成を述べた。\r\n第一部は「『枕草子』における漢文学受容の総覧」である。『枕草子』における漢籍の典拠について、すでに先行する研究や既存の研究成果のまとめはあるが、四系統の本文を対照整理したものはまだない。そこで、本章では、江戸時代から現在までの『枕草子』に関する漢文学との関係がある箇所を整理し、四系統の本文を対照させながら一覧できるように配慮した表を作成し、あわせて明治から平成までの『枕草子』における漢文学に関する重要な論考を綱羅した。\r\n   第二部「詩句と典籍をめぐる問題」では、次の三点を扱って論じた。まず平安時代の貴族の間に大流行した、『白氏文集』との関わり、藤原公任(九六六~一〇四一)の撰になる『和漢朗詠集』との関係、最後に、清少納言が『枕草子』の中で、中国と日本の漢籍に関する「文は」章段を中心として考察した。\r\n  これらの三点(第一章、第二章、第三章)について、少し詳しく述べておきたい。\r\n  まず、第一章「『枕草子』における『白氏文集』の引用」では、『枕草子』と『源氏物語』の中に引用された白楽天の詩句を綱羅的に整理した上で分析した。そして、『枕草子』に関する『白氏文集』の引用には、「感傷詩」が最も多く引かれる点で、『源氏物語』と異なる点が判明した。また「秀句」部分だけの引用にとどまらず、詩句の内容と、引用される時の場面や背景とが合致していることを明らかにした。\r\n  第二章「『枕草子』における『和漢朗詠集』の引用」では、四系統の本文に引用された朗詠集の秀句を整理し、朗詠集の古注釈の部分に残存する訓読を指標として、四系統の本文において、朗詠集の詩句と対応する部分の表現の特徴を明らかにすることを試みた。そして、この方法により、『枕草子』の最古の写本である前田家本の特徴について、従来の説とは異なり、能因本と堺本を下敷にしたのではなく、独自の異本であることが明らかになった。\r\n  第三章「『枕草子』「文は」の章段の問題」では、従来、難義とされている三巻本の「文は」の章段における「新賦」と「史記五帝本紀」の問題を考証した。\r\nまず、「新賦」については、『通憲入道蔵書目録』に「新賦略抄」の名が見えることや日本に佚書『賦譜』が残存していることから、その内容を考察した結果、「新賦」が『文選』の六朝時代の古賦に対する唐の新体の賦、すなわち「律賦」であることを示した(第一節)。\r\n  次に、同じ章段にある「史記五帝本紀」を考察するとともに、作者が『史記』の第一巻である「五帝本紀」と書名「史記」を並べて記した理由を考察した(第二節)。\r\n  第三部「表現の基層」では、『枕草子』本文の基礎的な表現の背後にある漢籍の影響について論じたものである。従来の注釈で、難解とされているところを改めて考証し、第一章から第六章まで、六つの章に分けて論じた。\r\n  第一章では、「三条の宮におはしますころ」の章段における「青ざし」、「ませごし」、「花や蝶や」を考察した。まず「青ざし」は「青麦」で作られた菓子ではなく、俗名である「青刺」の「薊」という植物の草薬であることなどを考察した。また定子が、当時流行していた『白氏文集』「感傷詩」の「萎花蝶飛」を踏まえて、歌に詠み、自らを「萎花」に例え、周りの若い人々が蝶のように飛んで去るということをたとえた内容が盛りこまれた章段であることを論証した。\r\n  第二章では、「にくきもの」の章段を中心として、特に微細な蚊についての「蚊の細声」を考証した。和歌、説話、物語、日記には、「蚊」の描写は極めて珍しい。しかし、清少納言は『枕草子』の中で援用し、漢詩文の精華を吸収して、その基盤から再構成することに注目し、その結果、『白氏文集』巻一二による「感傷詩」に含まれる「蚊蟆」の影響であることと、白楽天の親友の元稹が書いた「虫豸詩」とも繋がることを検証した。\r\n  第三章では、「心ときめきするもの」の章段にある「唐鏡すこし暗き、見たる」の表現について考察し、唐の伝奇小説である『古鏡記』における暗い特徴を持つ「宝鏡」との関係を提示した。引用された漢籍の内容と背景は『枕草子』の該当する章段の内容と背景と方向的に一致することが、『枕草子』における漢詩文の引用の特徴である。近年の研究動向として、仮名日記と唐代伝奇小説との関係が採り上げられ始めているが、『枕草子』における唐の伝奇小説に関する指摘は本論が初めてである。\r\n  第四章では、「九月二十日あまりのほど」の章段にある「月の窓より洩り」の表現と「歌詠む」について考察した。まず、漢語である「窓」が詠まれた和歌がないことから、また「窓」の表現史を検証し、作者が様々な漢詩文によって、「和」と「漢」の美意識を融合する新たな表現が創出されていることを証した。\r\n  第五章では、「雲は」の章段にある「朝にさる色」の表現について考察した。朝の雲の色に注目し、従来の指摘された漢籍の典拠ではなく、唐の時代に編纂された類書に見える沈約の詩の「朝雲曲」のテーマと合致することを指摘することにより、漢籍の影響についての新たな指摘を行った。\r\n  第六章では、初段「春はあけぼの」の章段を考察した。具体的には対的な表現や、春、夏、秋、冬の四段を分ける理由などの背後に、漢文学による対句の表現や唐の新体の賦(第一部の第三章の第一節に述べた)との関連性を、中国詩格で、分析によって示した。\r\n  終章では、各章によって考察した結果をまとめ、改めて四系統『枕草子』本文における漢文学の受容の特徴及び本論の考察の意義と価値を述べることを通じて、標題に掲げた『枕草子』における漢文学の受容のあり方とその研究手法の有効性についてまとめた。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第1472号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"文化科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"06 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