{"created":"2023-06-20T13:22:51.274548+00:00","id":3562,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"19cfa925-86ff-40e1-b66e-ce6429a00dc1"},"_deposit":{"created_by":21,"id":"3562","owners":[21],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"3562"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00003562","sets":["2:426:3"]},"author_link":["1386","1388","1387"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"宮脇, 千絵"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"ミヤワキ, 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第二の課題に取り組んだのが第四章と第五章である。ここは、本論のベースとなるデータの提示となる。H村で収集したデータを基に、モンの装いの変化の様相を具体的に記述していき、何がどのように変化しているのかを浮かび上がらせる作業をおこなった。それは、何が変化していないか、つまりモンの服飾として継承されている部分はどこなのかということを明らかにするための作業である。第五章では、衣装の変化の背景にあるモン衣装の既製服化を取り上げて、それが衣装の変化にいかに影響を及ぼしているのかを明らかにした。また、製作方法を簡略化しながらも、モンの衣装を製作し続けている理由について検討をおこなった。\n 第三の課題に取り組んだのが第六章から第八章である。ここでは衣装の変化と継承に関する分析をおこなった。第六章では、伝統的素材である大麻に焦点を当てた。ここでの論点は、大麻という素材にこだわっているのは誰なのかということである。葬送儀礼での麻の使用について記述しながら、大麻にこだわっているのは死者であり、対して生者であるモンは伝統的素材よりも衣装の「かたち」を重視していることを明らかにした。これを通じて、ここでは麻に付与されている象徴性を浮かび上がらせることができた。第七章では、既製服化によるデザインの変化を取り上げた。人びとがなぜ最先端の流行を求めるのか、それを衣装のどこに自分らしさを表現するのかという点から分析した。第八章では、サブ・グループごとに異なるとされている衣装が、いかにサブ・グループのメルクマールとなりえているのか、あるいはいないのかを分析した。婚礼衣装を取り上げながら、女性たちがサブ・グループとしてのメルクマールとしてよりも、同村内の女性同士の共有意識を優先させて継承させていることを明らかにした。\n本論は、モンの衣装に関する先行研究が、これまでその時間的変化についてほとんど考慮してこなかったことに対し、変化の様相を具体的に明らかにした点で意義あるものだといえる。中国の民族衣装は、「統一された多民族国家」における中国を構成する少数民族の一文化要素として扱われてきたため、イメージの統一化をはかるポリティクスが働いてきた。それに対し、本論でエスニシティにとらわれない衣装の変化を示したことで、中国の民族衣装の変化をめぐる議論に、新たな事例を加えるという点で貢献できたと考える。\n もうひとつの意義は、変化を詳しくみることで、モンにとっての装いが意味するところを浮かび上がらせた点である。既存の研究とは異なり、主体を変化する衣装の着装者においたことで、彼らが衣装とどう向き合っているかを論じることを可能にした。それは着装者の需要としての衣装の変化を論じるための視点の獲得である。モンの人びとは、自分たちの交流や行動の範囲内における他者との同質化に気を配り、共有意識を重視する。同時にそこにみせる個人のこだわりで他者との差異化をはかり、装いを通して自分を表現している。その積み重ねが、衣装の変化につながる。個人的な嗜好や主観といった、不確かでとらえどころのないものが変化の原動力となっているのである。\n本論が、広く一般社会に貢献できる意義は、「民族衣装」を現代日本の我々の装いと同じステージで扱うことを可能にする視座の提示である。私たちは、民族衣装に対して、エキゾチックな感情を持ち、それらがあたかも、普段の私たちの装いとは全く別世界に存在しているかのように扱う。しかし、周りの人と同じような恰好をしたい、しかしそこに少しだけ人とは違う部分を出して自分らしさを表現したい、という装いに対する思いは我々もモンも共通に持っているのだと言える。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第1532号 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