@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000359, author = {竹内, 拓 and タケウチ, タク and TAKEUCHI, Taku}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {最近の赤外線および電波による観測の進展は、生まれたばかりの星のまわりには、ガスと塵が円盤状に取り囲んでいることを明らかにした。この円盤の中で惑星系の形成が進行していると考えられており、原始惑星系円盤と呼ばれている。一方、原始惑星系円盤の中での惑星系の形成の理論も構築されており、様々な成功を収めているが、まだ未解決の問題も数多く残されている。そのひとつが、原始惑星系円盤のガスの散逸の問題である。惑星が誕生した後も、原始惑星系円盤にはまだガスが大量に残っているはずであるが、何らかのメカニズムによって散逸し、現在の太陽系のような高真空な状態になると考えられている。しかし、そのメカニズムについてはよく解っていない。これまでに、惑星の重力によってガスを散逸させる可能性が検討されたが、結果は否定的であった。それによると、惑星の重力が影響をおよぼす領域は惑星のごく近傍に限られるので、原始惑星系円盤全体のガスを散逸させることは出来ないとされてきた。しかし、これまでの研究では原始惑星系円盤を伝わる密度波の効果が無視されている。惑星の重力によって励起された密度波が円盤全体を伝わることが出来るならば、惑星の影響は円盤全体におよぶはずである。このように考えて、本論文では、円盤内を密度波がどの程度伝わるのかを求めた。さらに、この密度波の伝播に伴った角運動量の輸送によって、原始惑星系円盤がどのように進化していくかを明らかにした。   第2章では、原始惑星系円盤の進化を記述する方程式を導く。原始惑星系円盤の進化は以下の2段階のプロセスによって起こる。まず、惑星の重力によって原始惑星系円盤内に密度波が励起され、この密度波が伝播することによって円盤内で角運動量が輸送される。密度波による角運動量輸送は円盤の密度構造の進化をもたらす。密度波の伝播する時間スケールに比べて、原始惑星系円盤の構造の変化する時間スケールはかなり長い。そのため、この2つのプロセスは独立に解く。密度波の伝播は線形近似を用いて解き、円盤構造の進化は数値的に解いた。  計算の結果、以下のような結果が得られた(第3章)。惑星の近傍で励起された密度波は、伝播していくにしたがい、円盤ガスの粘性によって減衰していく。したがって、密度波の伝達距離は原始惑星系円盤の粘性に大きく依存する。粘性が小さい場合には、密度波が減衰せずに遠くまで伝播し、円盤全体にまで到達しうることを明らかにした。一方、粘性が大きい場合には、密度波がすぐに減衰してしまいほとんど伝播しない。この密度波が角運動量を運ぶことにより、原始惑星系円盤の構造は変化してゆき、惑星軌道のまわりに空隙が形成される。この空隙の大きさは、密度波の伝播距離によって決定され、円盤の粘性が小さければ空隙の幅が大きくなることを示した。円盤の粘性が十分小さく、密度波が円盤全体に伝播する場合、惑星軌道の内側にあるガスは全て中心星に落ちてしまうことがわかった。したがって、惑星の重力は、惑星軌道の内側にあるガスの散逸のメカニズムとして有効であることが明らかになった。しかし内側のガスがなくなった段階で、惑星軌道の外側にはまだ大量のガスが残されており、このガスを散逸させることは出来ない。これは、惑星の重力が外側のガスを散逸させることよりもむしろ、惑星自身の軌道を変化させるように働くためである。つづいて、惑星により空隙が形成されるための条件を求めた。原始惑星系円盤のモデルとして標準的なモデルを用いた場合、空隙を形成するためには土星程度の質量が必要であることがわかった。このことから、形成時の木星型惑星がまわりにあるガスを吸い込むことによって成長していく過程で、惑星の質量が土星程度まで大きくなるとまわりに空隙が形成され、惑星の成長が止まることが示唆される。  第4章では本論文の結果の応用を述べる。太陽系外の若い星のまわりで形成された惑星が原始惑星系円盤の構造を変化させた場合、どのように観測されるかについて計算を行った。原始惑星系円盤の粘性が小さく、惑星がその軌道の内側の円盤ガスを中心星に落としてしまう場合には、原始惑星系円盤の赤外スペクトルは大きく変化することがわかった。実際、このような変化を示唆する観測が報告されている。さらに、若い星の連星系の観測との比較を行った。生まれたばかりの星が伴星を持っている場合、やはり伴星の重カの影響で原始惑星系円盤に空隙が形成されることが、赤外および電波観測によって発見された。観測された空隙の幅はかなり広く、これまでの密度波の電波を無視した理論では説明が困難であった。本論文の結果を用いると、観測が矛盾なく説明できることを示した。さらに観測された空隙の幅から、原始惑星系円盤の粘性の値を見積もった。  第5章において、本論文で行った近似の妥当性について議論を行った。本論文では原始惑星系円盤の厚さは無限に薄いとしている。円盤の厚さを考慮した場合でも、原始惑星系円盤が鉛直方向に等温の構造を持っていれば本論文の結果は変更を受けない。  以上のように、原始惑星系円盤を伝わる密度波の効果を考慮に入れることによって、惑星が原始惑星系円盤の構造を大きく変えうることが明らかになった。, application/pdf, 総研大甲第191号}, title = {The Evolution of Protoplanetary Disks Due to the Gravity of Protoplanets}, year = {} }