{"created":"2023-06-20T13:20:02.082160+00:00","id":38,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"ccb75d10-6813-4617-95f9-e80b564c201e"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"38","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"38"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000038","sets":["2:426:3"]},"author_link":["0","0","0"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"新明, 英仁"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"シンミョウ, 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筆者の言う「アイヌ風俗画」は、「アイヌ絵」とも呼ばれ、少なくとも日本近世美術史\r\nの中で認知されたものとは言い難い。従って、第1章の序論において、その定義や呼称お\r\nよび作家の問題を過去の研究をふまえながら明らかにする検証を行った。その結果、定義\r\nは、作家の時代を、江戸時代中期から明治時代初期に限定し、アイヌに接触のあった和人\r\nが描いた版本を含まないオリジナル作品を基本とすることとした。また、それらの絵画の\r\n呼称は、先学の認識や辞書的な意味、筆者の目的をふまえて、「アイヌ風俗画」を用いる\r\nこととした。また、「アイヌ風俗画」の作家は、その活動内容がこれまでの研究で十分に\r\n吟味されてこなかった。模写が多いことや作品の散逸など研究を困難にしている事情があ\r\nるが、本稿では美術の立場からそれを検証するため、アイヌの風俗に接する機会が多く、\r\nそれを表現するのに十分かつ安定した絵画技術をもち、アイヌの顔立ちや身体表現につい\r\nて独自の様式を持つ人物に限定した。すなわち、最初に確認できる作家として重要な小玉\r\n貞良、最後を飾る作家として重要な平澤屏山、詳細な記録画をのこした村上島之允、それ\r\nに朗郷、谷元旦、村上貞助、松浦武四郎、雪好、千島春里、早坂文嶺を加えた10人であ\r\nる。これらの作家は「アイヌ風俗画」制作の動機や契機によって「在住型」と「訪問型」\r\nの2類型に分類できる。すなわち、蝦夷地に在住もしくは長期滞在して「アイヌ風俗画」\r\nを受注制作した「在住型」作家として小玉貞良、雪好、千島春里、早坂文嶺、平澤屏山の\r\n5人、幕命による調査や探検に基づいて制作した「訪問型」作家として谷元旦、村上島之\r\n允、朗郷、村上貞助、松浦武四郎の5人となる。\r\n 第2章は、「在住型」作家5人の経歴と主要作品についてそれぞれ述べ、彼らが全員一\r\n般からの注文に応えた町絵師であり、町人階級であることや、需要に応じて粉本パターン\r\nを用いるという性格を明らかにした。\r\n 第3章は、第7章で村上島之允と同一人物であることを立証する朗郷を除く「訪問型」\r\n作家4人の経歴と主要作品について述べ、彼らが全員武家で、蝦夷地を訪れた主要な理由\r\nは幕命であり、アイヌの文化に一定の見識を持ち、江戸時代に広がった経験主義的、実証\r\n主義的立場からそれを客観的に紹介するという考え方を持っていたことを明らかにした。\r\n 第4章は、「アイヌ風俗画」の各作家ごとにアイヌの人物像の特色を詳細に述べるとと\r\nもに、各作家が取り上げた風俗・画題の傾向と特色、並びに相互の影響関係について述べ\r\nた。アイヌの人物像に関しては、最初に1700年代以前の絵画における伝聞や想像の入\r\nり交じった例などを述べ、その後に小玉貞良以降の実際にアイヌと接触のあった作家の「ア\r\nイヌ風俗画」における特色を「在住型」「訪問型」の順に検証した。これにより、170\r\n0年代以前と以後のアイヌ像のもつ現実感の差違が大きいことや、「アイヌ風俗画」各作\r\n家の個性によるアイヌ像の違いが明瞭となった。また、画題の面では「在住型」作家は祭\r\n祀、生業、和人との儀礼に偏り、「訪問型」作家ではそれに加えて神話・伝説、アイヌ個\r\n人の肖像、人生儀礼などを含む幅広いテーマが扱われている点を指摘した。\r\n 第5章は、前章をふまえて、「アイヌ風俗画」に取り上げられた画題を、神話・伝説、\r\n信仰と祭祀、人生儀礼、挨拶及び和人との儀礼、多彩ななりわい、踊りと芸能の6項目に\r\n大別して詳細に検討した。それにより、次の3点の注目すべき事実が明らかとなった。\r\n 第1は、「在住型」作家が商業的、政治的意図を持つ発注者や勇壮さとエキゾチックな\r\n主題を求める一般的嗜好を反映した作品を制作したのに対し、「訪問型」作家はおもに幕\r\n命に従い、江戸時代の実証的学問を背景として、その風俗全般を写実的に記録する意図を\r\n持って作品を制作したことである。\r\n 第2は、こうした両者のスタンスの違いが作品の表現内容や制作方法に影響を与えてい\r\nることである。「在住型」作家は、見る者が楽しめるように、作品の構成や人物の表情・\r\n所作に工夫を凝らしており、一般に好まれる傾向の作品を量産するために粉本を活用した\r\n例が多い。一方の「訪問型」作家は、当時の知識階級の要求に応えるドキュメントとして\r\nの内容が大切にされて、実見した内容による簡潔明瞭な写生による作品が多い。\r\n 第3は、「在住型」「訪問型」それぞれの中心をなす作家が明瞭になったことである。\r\n「在住型」の中心は平澤屏山であり、主題と表現内容が最も創意に富む。「訪問型」の中\r\n心作家は村上島之允であり、主題はアイヌ風俗全般に及び、ドキュメント絵画としての価\r\n値と魅力を持つのみならず、他の「アイヌ風俗画」の作家に広く影響を与えている。\r\n 第6章は、さらに検討を要する3人の「アイヌ風俗画」の作家と作品について考察した。\r\n第1に取り上げたのは最も現存作品数の多い平澤屏山で、作品量産の背景や「在住型」の\r\nアイヌ風俗絵師としての典型的な特色や限界を結論的にまとめた。\r\n 第2は、谷元旦の「毛夷武絵島図」が、江戸時代の武家における実証主義、経験主義\r\nを背景に、アイヌの風俗と蝦夷地の実景を組み合わせて描いたものであり、「アイヌ風俗\r\n画」と「真景図」の要素を併せ持つことを立証した。\r\n 第3は、村上島之允の代表作『蝦夷島奇観』と朗郷の3点の作品における人物表現を詳\r\n細に比較検討し、さらに朗郷の関係人物も合わせて考証した上で、両者が同一作家である\r\nことを立証した。これにより、村上島之允の作風が一層明らかになった。\r\n 最終章の第7章では、「在住型」・「訪問型」の特色をまとめ、「アイヌ風俗画」の系譜\r\nと日本近世美術史における位置づけの検討を行った。「アイヌ風俗画」の系譜は、縦軸と\r\nして最初期の小玉貞良から千島春里を経て平澤屏山に至る歴史的な展開があり、これに横\r\n軸として村上島之允が交差するものである。日本近世美術史の中で「アイヌ風俗画」は、\r\nアイヌ風俗というローカルな異文化を扱った点で特異なものであり、作家のオリジナリテ\r\nィーが高く、アイヌ風俗を描写するために作家たちが培ったナイーブな表現には見るべき\r\nものがある。従って、近世風俗画において独自の位置づけを主張することができる。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大乙第172号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_relation_13":{"attribute_name":"関連サイト","attribute_value_mlt":[{"subitem_relation_type_id":{"subitem_relation_type_select":"URI"}}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"文化科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"01 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