@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000390, author = {松下, 聡樹 and マツシタ, サトキ and MATSUSHITA, Satoki}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {宇宙にある無数の銀河は数十億~数千億個もの星々から構成されており、これらの星全ては分子ガスから作られる。従って様々な銀河で見られる星形成活動性、さらには銀河の進化は分子ガスと密接に関係していると考えられ、分子ガスの物理状態や様子を知ることはこれらの研究にとって非常に重要なことである。  これまで分子ガスの物理状態を知るトレーサーとしては主にHCN(1 - 0)/12CO(1 - 0)輝線強度比が使われてきた。これは全分子ガスの量(〓12CO(1 - 0))に対する高密度分子ガス(〓HCN(1 - 0))の割合を示し、活発な星形成を行っている領域(スターバースト領域)ほど高密度分子ガスの割合が卓越しており(Solomon et al.1992,ApJ,387,L55)、この高密度分子ガスは分子ガスの重力不安定性で生じる事が分かっている(河野1997,東京大学博士論文)しかし、このような観測から得られるのは密度の情報のみであり、温度に関する情報は得る事はできない。  そのような中、私は温度情報を得られるトレーサーとしてHCN(1 - 0)/13CO(1 - 0)輝線強度比を見つけた。optically thickな高密度分子ガストレーサーのHCN(1 - 0)と、温度の上昇とともにoptically thinとなり輝線強度が弱くなる13CO(1 - 0)とを組み合わせることで、高温(Tk>100K)かつ高密度(n(H2)~105cm-3)の分子ガスのトレーサーとなる(HCN/13CO比の値が1を超えるとこのような高温・高密度分子ガスをトレースする)。これを利用して、野辺山45m鏡で様々な銀河のHCN/13CO比の観測を行ったところlRAS12μm - 25μmカラー(log(F12μm/F25μm))と良い相関が得られることが分かった。このIRAS12μm - 25μmカラーは100K前後の熱いダストの存在を示すトレーサーであるので、このような熱いダストと高温・高密度分子ガスは密接に関係していることが示された。一方、IRAS12μm - 60μm及びIRAS12μm - 100μmとHCN/13CO比の相関は悪く、高温の分子ガスと低温のダストは物理的に関係していない事が示された。系内天体を見てみると、上記のような高いHCN/13CO比を示す領域は、双曲分子流や超新星残骸の周囲のような衝撃波面に付随する分子ガスに見られる。エネルギーや影響を与える範囲等を考慮すると、超新星爆発がもっとも分子ガスの加熱に寄与していることが明らかになった。  典型的なスターバースト銀河と考えられているM82の中心数百pc領域の分子ガスの様子を野辺山ミリ波干渉計観測で詳細に見てみると、ディスク面から垂直方向へ伸びるspur状の分子ガスが銀河面のあちこちに見え、さらに内部には活発な星形成によって生じたexpanding molecular superbubbleの存在が確認された。このsuperbubbleの中心には2.2μmの第2ピークがあり、それを構成する星団がスターバーストを起こしたと思われ、実際星の構成を計算してみると、superbubbleを形成できる程度の超新星爆発を起こしたと推定された。またX線のピークもこのsuperbubble内にあり、最近の観測では中質量の(大質量星からできるブラックホールよりは重く、銀河中心に見られるブラックホールよりは軽い)ブラックホールの証拠が見つかっており(Matsumoto&Tsuru1999,PASJ,51,321)、これに関してもこの星団内での星同士の衝突によりその質量程度のものは作れることが示唆された。また分子ガスの物理状態や様子、ミリ波の連続波の情報より、superbubbleの中心では今後の星形成が止まるとともに、周囲では分子ガスがsuperbubbleの膨張により圧縮され星形成が活発になっている様子が示唆された。一方M82の分子ガスの全体的な物理状態を見てみると、星型成効率は高く、分子ガスも高い温度を持つが、高密度分子ガスの量は全分子ガス量と比較すると非常に少なく、ポスト・スターバーストに匹敵する少なさである事が分かった。これはM82がスターバースト期間の末期でポスト・スターバースト期間に差しかかろうとしている銀河であることを示唆している。  もう一つの典型的なスターバースト銀河NGC253を詳細に観測すると、高密度分子ガスの量は豊富で星形成効率は高いが、分子ガスの温度・スターバースト領域の広がりは小さかった。スターバースト銀河NGC3504はNGC253とM82の中間の分子ガス物理状態を示した。一方、ポスト・スターバースト銀河NGC4736は全く異なる分子ガスの物理状態である低温・低密度の様子を示した。明らかに、スターバースト銀河とポスト・スターバースト銀河の分子ガスの物理状態は大きく異なり、またスターバースト銀河の中でも大きな広がりを持つことが明らかになった。また、これらの銀河の110GHz連続波の研究より、この周波数の連続波は自由 - 自由放射で占められており、従って可視光域にあるHαとは異なり、ダストによる吸収を受けない星形成効率の推定ができることを示した。  他の波長の観測より、スターバーストの時間スケールはNGC253が若く、M82は晩期、ポスト・スターバースト銀河はスターバーストが終了した銀河であることが示唆されている。このことを元にして分子ガスの物理状態の進化を考えると、まず重力不安定性により高密度分子ガスが形成され大量の星が作られる。大質量星が爆発することにより、周囲の分子ガスが加熱される。星を大量に作るにつれ高密度分子ガスを消費し、密度が下がる。しかしその時点ではまだ大量の大質量星があるので、分子ガスの温度は下がらない。高密度分子ガスがなくなり、大質量星が爆発し尽くすと、分子ガスの温度が下がる。このように分子ガスの密度の上昇下降と温度の上昇下降はずれていることが示された。このように、分子ガスは星を生むが、周囲の星形成活動性の環境によって物理状態や様子が左右され、その後の星形成活動性を左右することが明らかになった。この事は、分子ガスの物理状態や様子と星形成活動性がお互いに影響しあって銀河が進化して行く事を良く示す証拠であろう。, application/pdf, 総研大甲第456号}, title = {Millimeter-wave Interferometric Study of Nearby Starburst Galaxies}, year = {} }