{"created":"2023-06-20T13:20:22.949634+00:00","id":392,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"bd42b700-19f6-4e6f-82f5-38c19a229de8"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"392","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"392"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000392","sets":["2:427:11"]},"author_link":["8126","8125","8127"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"三戸, 洋之"}],"nameIdentifiers":[{"nameIdentifier":"8125","nameIdentifierScheme":"WEKO"}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"ミト, 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申請者がこの装置の開発グループに参加した1993年当時、装置の基本機能とその作動は確認されていた。また、オリオン星雲にある輝線星や、コマ銀河団の観測から、輝線スペクトルや、スカイより高いレベルの連続スペクトルをとらえていることも確認されていた。しかしながら、実際に得られたスペクトルの光量は期待されていたものより弱く、天体をファイバーの中心に正確に導入できていない可能性が高かった。また、装置の制御調整体系が確立していないために、装置を実際の天文学研究に使用することは難しかった。そこで、申請者は装置の性能を十分に発揮させるための改造を行い、実際にそれを用いて散開星団の観測を行った。本論文では、前半部分で装置の改造について、後半部分で散開星団の観測について述べられている。\n\n装置の改造\n\n 岡山ファイバー多天体分光器は、(1)ファイバー配置装置、(2)多天体用分光器、(3)それらをつなぐ光ファイバー束、そして(4)装置制御とデータ取得を行うコンピュータ、の四者からなる。申請者は、装置の開発グループに加わり、まず最初に基本機能の評価を行った。装置を細かく調査したところ、観測効率を高めるためには、3つの問題点を解決する必要があることがわかり、その解決を行った。\n 第一の問題点は、ファイバープローブの配置精度が悪いことだった。実験室でファイバープローブの観測天体位置からのずれを調べたところ、σ=148μmのずれがあることがわかった。ファイバー径が113μmであると考えると、これが光量を低くしている決定的な要因と考えられた。この問題を解決するために、ファイバープローブを配置する際、その位置が許容範囲内にはいるまで置き直すという方法を採ることにした。この方法を実現するには、装置制御システムを完全に新しく作り直す必要があった。結果的に、配置精度は一桁向上し、σ=10μmを達成した。\n 第二の問題点は、装置の光学精度に関するもので、(1)位置測定光学系が、焦点面上のプローブを約140μmのずれを伴って測定していたこと、(2)同じく位置測定光学系の中で、天体とプローブの結像面が異なっていたこと、そして(3)観測用ファイバーの焦点位置が意図された位置より1.65mmずれていたこと、の三点である。これらは、(1)オフセット補正、(2)補正光学系の取り付け、そして(3)ファイバープローブの作り直し、により解決された。\n 三番目に、装置の制御システムを作り直した。その結果、操作性能が向上し、確実な天体観測が可能となった。\n\n散開星団の観測\n\n 本論文の後半部分では、このように、性能力く向上した岡山ファイバー多天体分光器による散開星団の観測について、述べられている。近年、銀河系の半径方向に対する金属量勾配について、多くの研究が行われている。最近では、Carraro(1998)が、散開星団の観演リデー夕を用いて、銀河系外縁部にむかって値が小さくなるΔ[Fe/H]/ Rgc = -0.09dex/kpcという結果を示している。一方で、これを局所的に見た場合、観測精度をこえる約0.17dexの分散があることがわかってきた(Friel and Janes 1993)。\n この分散が、実際に金属量が均質でないことを表しているとすれば、これは、銀河系進化の研究に対して重要な情報を与える。そこで、申請者はこの分散を確認するため、散開星団の均質なデータサンプルを集める観測を始めた。年齢による金属量の影響を考えて、年齢の対象範囲は1Gyrより若い天体に限定した。また、距離は決定精度が高いことが期待される太陽近傍1kpc以内のものを対象とした。星の[Fe/H]を決定するために、Friel(1987)の方法を参照した。我々が観測したスペクトルに最適化された金属量決定法は、個々の星についてσ=0.26dexの精度で[Fe/H]を決定した。散開星団を構成している星は、同じ分子雲からほぼ同時に生成したと考えること力く出来るので、等しい金属量を持っていると考えることが出来る。そのため、散開星団の金属量{ま、構成する星々の金属量を統計的に処理することによって、より高い精度で求めることが可能である。\n 観測は1999年4月から5月にかけて行った。観測天体は、散開星団NGC6709,NGC6866,IC4665,NGC6633と、金属量較正用の天体16個である。結果として得られた散開星団の金属量は、NGC6709: +0.15±0.18dex、IC4665: +0.08±0.09dex、NGC6866: -0.36±0.18dex、NGC6633:+0.07±0.09dexである。このうち、NGC6709、IC4665、NGC6866については、今回の観測で金属量が初めて測定された。NGC6633は、過去に測定例があり、-0.02dex(Piatti 1998)という値が得られている。今回演り定された値は、この値より若干高いものの、観測精度の範囲内で一致している。\n  以上のように、散開星団の観測から、装置の実用性を実証することが出来た。現在のところ、観測天体数が少ないために、太陽近傍空間での金属量の分散について確実な議論をすることは出来ないが、NGC6709、IC4665、NGC6633の3つの散開星団の[Fe/H]は、0.08dexの範囲内におさまっており、分散が小さい可能性を示している。今後観測数を増やすことで、より正確な研究を進めていく。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_18":{"attribute_name":"フォーマット","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"application/pdf","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大乙第75号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"数物科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"09 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