@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00004075, author = {小久保, 亙 and コクボ, トオル and KOKUBO, Tohru}, month = {2016-02-26, 2016-02-17}, note = {目的 医薬品の体内における動態を把握することは安全で有効な医薬品開発において必須の過程 である。このために医薬品の物理化学的性質を実験室レベルで十分に調査し、さらに動物や 健常人、最後に対象疾患の患者において体内におけるADME(吸収、分布、代謝、排出)に ついて研究を重ねて把握していき、その結果として最適な医薬品が患者に届けられるように 適切な製剤化デザインが行なわれる。この過程において得られた様々なデータはコンピュー ターシミュレーションを用いて製剤開発に利用される。 経口投与により服用される医薬品は消化管内を移動しながら吸収され、その結果表れる薬 物の血中濃度は時間についての関数で表現されるため、消化管内物質通過速度はこうしたシ ミュレーションにおいて重要な因子である。しかしながら、消化管内物質通過速度は個人内 及び個人間の変動が大きいことからよいモデルが提案されていない。 本研究では様々な消化管内物質通過速度パラメーターのうちOCTT(口盲腸通過時間)に ついて統計モデルを提唱することを目的とした。 方法 過去に報告されたOCTT に関する論文192 報を調査し、メタアナリシスの手法により個人 レベルのデータを収集してOCTT を推定する統計モデルを構築した。解析する通過時間の測 定方法としてはヒトで吸収・消化されないニ糖類であるラクツロースを用いた水素呼気試験 法(LHBT 法)の論文に限定することによってモデルの精度を上げ、変量効果モデルを用い て解析を行なった。 まず絶食時の健常人においてラクツロースを用いたOCTTの測定データを解析するに際し て、ラクツロース量、LHBT 法においてラクツロースと同時に摂取する水の量、通過時間を 定義する呼気中の水素濃度の3 変数の通過時間への寄与を調べてモデルを構築した。次にこ のモデルを用いて病気や妊娠といった身体的変化を持つ被験者のデータを解析し、健常者と の比較を行なった。 さらに食事を同時摂取した際の通過時間について、健常人のデータに基づいて同様にモデ ルを検討した。絶食時に調べた3因子に加え、食事のカロリーについても検討を行なった。 食事摂取時のモデルについても病気を因子として加えたモデルを構築し、様々な疾患が OCTT へ与える影響について検討した。 結果 絶食時の健常人のOCTT モデルは、測定時の因子としてラクツロース量のみを有意な説明 因子とする線形モデルで表すことができた。また、このモデルに基づいて健常人と疾患や妊 娠等の身体的に変化がある被験者との間に統計学的な差があることを見出した。検討した疾 患の中では嚢胞性線維症やセリアック病において特に顕著な差が認められた。 一方、摂食時の健常人のOCTT モデルにおいては絶食時と異なりラクツロース量は有意な 寄与をせず、また、食事の内容もモデルの有意な因子とは判定されなかった。しかしながら、 モデルによりいくつかの疾患においては健常人との間に統計学的有意差が示された。最も顕 著な差が認められた疾患は糖尿病であった。 絶食時にはOCTT の試験間変動は試験内変動の約10 分の1、摂食時では逆に試験間変動 は試験内変動より大きい値となり、特に絶食時のOCTT の解析におけるメタアナリシスの有 効性を示すことができた。 結論 個人間の変動を含めた新しいOCTT のモデルを新しく構築した。特に絶食時のモデルは試 験間変動が試験内変動に比べて小さく、個々の臨床試験では難しい通過時間の推定をメタア ナリシスによってより精度よく推定できることを示すことができた。また、疾患や妊娠等の 身体的変化によって統計学的に有意なOCTT の変化が表れ得ることを提示し、今後の医薬品 開発の過程においてのOCTT の前向き臨床研究の有用性を提案した。, 総研大甲第1595号}, title = {メタアナリシスによる経口投与物質の消化管内通過時間の解析}, year = {} }