@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000409, author = {眞崎, 良光 and マサキ, ヨシミツ and MASAKI, Yoshimitsu}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {我々は、大きな軌道離心率を持つ天体が、内側を円軌道で回る天体から摂動を受けているとき、その解析運動理論を構築した。また我々は、数値積分結果との比較により、この解析理論が天体の運動を高い精度で記述していることを確認した。  惑星をはじめとする太陽系天体の運動は摂動論の発展とともに解析的に記述されてきた。一般に惑星や衛星は離心率や軌道傾斜角が小さいため、これらのパラメータが微小量となり得る。すなわち摂動関数をこれらの冪級数に展開し、必要とする精度より高次の微小量を無視することによって解くことになる。しかし、離心率・軌道傾斜角ともに大きい天体に対してはこの手法が適用できない。冪級数の収束が極めて遅くなるためである。  我々は、離心率の冪級数展開によらない解析運動理論を構築した。対象天体の近点離角を表す独立変数には真近点離角を採用した。当理論は小さな軌道離心率を持つ天体から大きな軌道離心率を持つ天体にまで適用することができる。なお、当理論は中心天体に対する内側天体の質量の比が小さいものとして構築されている。  理論の構築にはHoriの正準摂動論を用いた。当問題において基本となる摂動の周期は、短いものから順に内側天体の公転周期・外側天体の公転周期・外側天体の近点回転周期の3つである。この摂動論の特徴は各周期摂動成分の時間平均が0となるように正準変換を繰り返し、最終的には解析的に解ける正準方程式を作り出すことである。作用変数は永年項を含まない。数値積分では初期時刻からの時間経過に伴ない、丸め誤差の蓄積による計算位置精度の劣化が避けられないが、解析解では長期間にわたる精度の保持ができる。解析理論式を導出する際の繁雑な式変形には数式処理言語による計算機処理をした。  なお得られた運動理論の精度を評価するため、我々は外挿法(Bulirsch-toer法)による数値積分結果との比較を行った。  解析理論結果は数値積分結果と良い一致を示した。軌道要素などのパラメータを変えても、広範な条件下で高い精度が実現されることが確認された。理論の精度は対象天体と摂動天体との軌道配置などにより異なる。内側天体に対する外側天体の軌道長半径の比が大きいほど、離心率が大きくても高い精度を維持することができる。  その一方で、当理論の精度維持が困難となる事例についても解析した。対象天体の軌道長半径を固定した場合、離心率が大きくなると急激に精度が悪くなる。この原因の1つに、短周期摂動に関する正準変換の際、微小パラメータに関する収束が悪くなることが挙げられる。ここでは外側天体と内側天体の平均運動の比が微小パラメータになっているが、離心率が大きいときはこの微小パラメータの働きを弱めるため、解析解(特に短周期摂動)の精度が悪化する原因となる。  もう1つの原因として対象天体が近点を通過する際、軌道要素の時間変動に階段状の急変動(オフセット)が生じることが挙げられる。このオフセットについて、数値積分結果をもとに精査した。このオフセットは2天体の空間的な配置に依存して変化する。対象天体の受ける摂動の影響が近点通過の前後で非対称になるとき、オフセットが生じる。なおオフセットは制限三体問題の保存量(Jacobi積分ないしTisserand判定式)を満たしており、数値積分の誤差によるものではない。  オフセットは短周期摂動より長い周期性を持ちながら、その大きさは内側天体の経度にも依存した量となっている。なお木星摂動下で運動する離心率の大きな周期彗星についても、その軌道要素の時間変動にオフセットと類似した現象が報告されている。  そのほか、我々は解析理論における打ち切り誤差等についても評価した。  当理論は質量や軌道要素などのパラメータに値を代入することで、様々な天体に適用できる。解析運動理論の利点を活かした応用が期待される。例えば太陽系内の衛星で最も大きな軌道離心率(0.75)を有する海王星の衛星Nereidに対して、内側を円軌道で運動するTritonを摂動天体とした問題に利用できる。(なお我々は、主にこのNereidの問題をケーススタディとして取り上げ、本文における理論の計算適用例にはこの系のパラメータを使用した。)  また近年、太陽系外惑星の発見が相次いでいる。現在のところ惑星の存在が確認されている天体は、主星の視線速度観測で検出できるものに限られている。しかし発見された太陽系外惑星について、主星の近傍を回る惑星ほど軌道離心率は小さい傾向がある。このような軌道長半径の小さな円軌道を持つ木星質量程度の惑星(いわゆる“Hot Jupiter”)の外側に、地球質量程度の惑星が将来発見されることも十分に考えられる。幅広い離心率に対して適用可能な当理論の特色を活かして、その惑星の運動を求めることも可能である。, application/pdf, 総研大甲第588号}, title = {Orbital Theory of a Highly Eccentric Satellite Disturbed by a Massive Inner Satellite}, year = {} }