@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000411, author = {武田, 正典 and タケダ, マサノリ and TAKEDA, Masanori}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {超伝導トンネル接合(SIS接合)に電磁波を照射することにより、対電子が壊れて生じた準粒子がフォトンのエネルギーを吸収してトンネル電流が流れる。このような量子効果を利用したSISミクサの研究が、電波天文観測や地球環境計測などに応用するため、近年盛んに行われている。SISミクサは、従来の古典的な半導体ミクサと比較して最大でも数μWと非常に小さいLO電力で動作可能であり、ミリ波・サブミリ波帯で量子雑音限界を達成し得る最も低雑音かつ高感度検出器として主に電波天文観測及び地球環境計測に用いられている。特に広帯域特性を兼ね備えたSISミクサの開発は、観測システムの簡略化及びコストの削減に結びつくため、電波干渉計やマルチビーム受信機など複雑な観測システムに対して不可欠である。本論文では、Nb/AIOx/Nbトンネル接合を用いたミリ波帯における広帯域高感度SISミクサの設計・試作及び性能評価について論じ、本研究が広帯域受信機技術の確立に有用なことを示している。本論文は全7章から構成されている。  第1章「序論」では、一般的な電波望遠鏡受信機の仕組み、SISミクサの特徴及び現状を概説するとともに広帯域受信機の重要性を説き、本論文で取り扱う研究テーマの研究意義を明らかにしている。  第2章「SISミクサの基礎理論」では、本論文の基礎となる超伝導及びSISミクサの理論的背景を記述している。特にSISミクサの理論解析及び設計に必要な量子ミキシング理論及び超伝導マイクロストリップ線路の理論について詳しく述べている。  第3章「SISミクサの歴史的背景」では、現在までに報告されている幾つかの同調回路集積化SISミクサの特徴を述べた。広帯域SISミクサを開発するにあたり、従来の単一接合を用いたSISミクサでは接合の臨界電流密度を増加しなければならないことを示した。臨界電流密度の増加は接合の品質の劣化及び接合プロセス時における歩留りの劣化を導く恐れがあるため、帯域特性が従来の単一接合SISミクサよりも臨界電流密度に強く依存しない並列多接合アレイ型SISミクサを紹介し、そのミキシング性能の理論解析を行うために必要な大信号及び小信号モデルについて記述した。また並列多接合アレイ型SISミクサの雑音温度及び変換利得の理論計算を行い、その特徴及び問題点を明らかにした。  第4章「190-300GHz帯導波管型SISミクサの設計」では、導波管回路技術を用いた広帯域SISミクサの設計を重点に検討を行った。前章で明らかになった並列多接合アレイ型SISミクサの問題点を克服するため、各接合において異なる接合面積及び接合間隔を用いた不均一並列多接合アレイ型SISミクサを新しく提案し、その設計指標及びミキシング性能の理論解析について詳しく記述した。構築した理論解析を設計した不均一並列多接合アレイ型SISミクサに適用した結果、均一並列多接合アレイ型SISミクサで生ずる問題点は解消することができ、従来の単一接合SISミクサよりも十分低い臨界電流密度にも関らず、その受信機雑音温度は広帯域にわたり非常に平坦な周波数特性を示すことを予測した。また導波管プローブを用いた入力導波管回路、RFインピーダンストランスフォーマ及びRFチョークフィルタの設計及び理論特性について述べた。  第5章「Nb/AIOx/Nbトンネル接合の作製」では、本研究で使用するSISミクサ素子の作製プロセス及びその直流特性評価を示している。作製プロセスは接合周辺に陽極酸化を取り入れたSNEP(Selective Niobium Etching Process)に基づいており、作製したSIS接合の直流特性評価からほぼ設計値通りの臨界電流密度を持つ良好なI-V特性が得られていることを示した。  第6章「受信機性能の実験結果」では、不均一並列多接合アレイを用いた110-180GHz帯及び190-300GHz帯導波管型SISミクサの受信機性能測定について詳しく述べている。110-180GHz帯SISミクサのヘテロダイン測定では、IF回路基板と冷却HEMT増幅器間のインピーダンス不整合のためのlF出力パワーの低下による変換利得の劣化及び標準のものより大きい雑音を有する冷却HEMT増幅器を使用したため受信機雑音温度は比較的高いものとなったが、その帯域特性は従来のPCTJ(Parallel Connected Twin Junction)型SISミクサより十分広帯域特性になっていることを示した。また190-300GHz帯SISミクサにおいてはヘテロダイン測定及びフーリエ分光測定を行い、受信機雑音温度とFTS応答が矛盾無く良く対応していることを示した。従来の並列多接合アレイとの受信機性能の比較はフーリエ分光測定を用いて行い、理論解析で予測した問題点が不均一並列多接合アレイにおいて改善できることを明らかにした。この不均一並列多接合アレイ型SISミクサの受信機雑音温度は202-284GHzにわたり量子限界雑音の約5倍程度であり、その帯域性能は導波管等による入力回路によって制限されていることを示した。  第7章「総括」では、総括であり、本研究で得られた成果を要約し、本研究で提案したSISミクサの将来的な応用について述べている。, application/pdf, 総研大甲第633号}, title = {Study on Broadband SIS Receivers With Nb/AIOx/Nb Tunnel Junctions at Millimeter Wavelengths}, year = {} }