@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000423, author = {小山, 泰弘 and コヤマ, ヤスヒロ and KOYAMA, Yasuhiro}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {リアルタイムVLBIは、電波望遠鏡で受信した信号を磁気テープに記録せずに高速ネットワークなどを伝送し、直接相関処理する技術であり、本論文では、その手法を実現するシステムの開発を通じて、観測局位置、電波源強度、及び地球回転パラメタの変動を連続して克時間遅れなく計測することを可能としたことについて述べる。  磁気テープを用いる従来のVLBIでは、テープの交換や運搬のためにどうしても人によるオペレーションが必要であり、遠隔地の観測局を長期間自動的に運用して観測を行うことは不可能であった。また、特に国際VLBI観測実験などでは、テープの輸送に時間がかかり、観測を行ってから結果を得るまでにかなりの日数を要している。さらに、観測システムとしての感度は磁気テープに記録できるデータ量によって制限され、そのデータ量は最新のデータレコーダーを用いても1Gbps程度が現在の限界となっているなど、いくつかの問題点や限界があった。一方、リアルタイムVLBIでは、観測から解析までの処理を完全に自動化することによって、連続して自動的に長時間観測を行うことが可能となり、また観測後すぐに解析結果を得ることも可能となった。また、ネットワークによるデータ伝送の速度は現在では10Gbpsが実用化されており、波長多重化の技術を用いれば必要なだけ伝送容量を増やすことができるため、観測システムとしての感度を大幅に改善できる可能性を持っている。  本論文では、まずリアルタイムVLBIもしくは磁気ディスクなどの記録メディアを併用する順リアルタイムVLBI観測・処理を実現するシステムの開発について述べる。通信総合研究所が実施した首都圏広域地殼変動観測計画においては、2.4Gbpsの速度を持つ非同期伝送モード(ATM=Asynchronous Transfer Mode)方式のネットワークで4箇所の観測局を接続して、リアルタイムVLBIによる観測・処理を実用化した。また、この際、観測から解析までの処理を完全に自動化し、長期間にわたって無人での連続観測が可能となり、また、解析結果を自動的に公表できることを示した。さらに、その後、世界的に広く利用され、普及しているTCP/IPを用いた共用のネットワークによる準リアルタイムVLBI観測・処理を可能とすることを目標に開発を進めているK5観測・処理システムは,汎用のPCと新しく開発したA/Dボード,及びソフトウェアによる相関処理を行うソフトウェア相関器から構成され,観測データを一旦磁気ディスクに記録してからネットワークを経由してデータを送受信することができる。  次に、リアルタイムVLBI及び準リアルタイムVLBIによって可能となった、観測局位置、電波源強度、及び地球回転パラメタの変動の計測及びモニタリングについて述べる。観測局位置変動のモニタリングでは、首都圏広域地殻変動観測計画で、相対的な観測局位置推定結果の再現性として水平成分で2mm、鉛直成分で9mmを達成した。また、観測終了後ただちに観測データを解析して観測局位置を推定し、館山局と三浦局の位置が伊豆諸島近海の火山活動の影響を受けて変動したことをごく初期の段階から検出することに成功した。電波源強度変動のモニタリングでは、惑星間・恒星間シンチレーションの影響を大きく受けて電波源強度が短時間に激しく変動する様子を観測した。VLBIによって得られる電波源強度は、基線を長くすることによって対象となる電波減の中心核付近の寄与を大きく反映させることができるので、活動銀河核などの活動を監視して、大きな変動のあったときに多数の電波望遠鏡によるマッピング観測を行うといった研究にも展望を拓くものと言うことができる。最後に、地球回転パラメタの推定では、首都圏広域地殻変動計画で1日の観測後ただちに推定することが可能であることを技術的に示した上で、K5観測・処理システムによる日米基線VLBI観測実験により、1日以内にUT1-UTCを23.9μsecの精度で推定することに成功した。UT1-UTCは、地球の自転速度の変動を反映する地球回転パラメタの一つであるが、本質的に天球座標系に直接結びつく観測を行うVLBIのような観測方法でしか計測できない量である。しかしながら、現在定期的に行われている国際測地VLBI実験では、観測データをすべて処理して解析結果を得るまでに最低2週間の日数を要しており、UT1-UTCの速報値および予測値は、2週間以上過去のVLBI観測データを基準として予測結果が用いられ、大きな誤差を生じる原因となっている。本論文で示したように、準リアルタイムVLBI観測によって、即座に推定結果を得ることができるようになることは、UT1-UTCの速報値や予測値を大幅に改善することにつながるものである。以上のような観測は、いずれも、リアルタイムVLBIもしくは準リアルタイムVLBIによってはじめて可能となったものであり、今後の地球物理学及び天文学における研究、及び深宇宙探査機などの高精度リアルタイムナビゲーションなどの分野に大きく寄与することが期待される。, application/pdf, 総研大乙第126号}, title = {Real-time and Near-real-time Very Long Baseline Interferometry for Monitoring Motion of the Observing Sites, Flux Density Variation of Radio Sources, and Variation of Earth Orientation Parameters}, year = {} }