{"created":"2023-06-20T13:20:02.431947+00:00","id":44,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"e97b29fb-ae75-4c03-86ba-0f37a6edd4b4"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"44","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"44"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000044","sets":["2:426:4"]},"author_link":["7426","7425","7427"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"土佐, 桂子"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"トサ, 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第1章では、先行研究に対する本論文の研究意義を述べた。ウェイザーの先行研究としては、1961年にガインという集団(ある人物をウェイザーと認めて結成された集団)を中心に信仰の存在が報告された。しかしコミュニティ・スタディ中心の人類学的研究においては、ガインの師と考えられる治療師の活動が断片的に描かれるに留まってきた。一方、先行研究は「ウェイザー」とは錬金術、占星術、呪符、薬などのいずれかの術に習熟することで超能力を得、不老不死あるいは長寿を達成した存在であると説明してきたが、本論文では、ウェイザーが修行を積んで最終段階に至る過程、すなわち「この世を抜ける(ドゥエヤッパウ)」になる過程の説明に、多様な解釈が行われていることに注目する。\n 第2章では、ビルマ社会には、ウェイザーを信じる人々が、ガイン以外にも、一人で修行する者、ウェイザーとなったと考えられる人物の回りに緩やかに集まる信者、漠然とウェイザーに帰依する信者といった形で存在することを指摘した。またこれ以降の議論における信仰の鍵概念について簡単に説明し、実際に用いられる際の傾向などを示した。さらにビルマでよく知られる有名なウェイザーの物語を記述分析した。\n 第3章では、ガインや、ウェイザーとなったと理解される人物の回りに緩やかに集まる人々などの具体的事例を記述した。ここには全体を貫くいくつかの共通点があった。最も重要なのは、ウェイザーが絶えず超能力(ティディ)という力と関わっているという点である。またウェイザーは明らかに仏教における神格の位階のなかで、仏陀の下、精霊や悪霊の上に位置づけられていた。一方でウェイザーは、「ローキーピンニャー(世俗に関わる知識、具体的には錬金術などの話術)」を通じて現実世界を変革していける存在であると理解されている。しかし、仏教とローキーピンニャーのどこに重点を置くかによって、ウェイザーそのものの理解に、多様な解釈が生じている。つまり、ウェイザー信仰の動態的特徴をビルマ社会のなかで理解していくためには、この2つの領域といかに関わるかを見ることが有効であるという仮定を導きだした。\n 第4章では、その考察に先駆けてウェイザー信仰の信者が一般の人々と関わる最も重要な局面を見た。具体的にはパゴダ建立とその儀礼に着目した。建立は、ビルマ社会において最も重要な積徳行為と考えられ、成功すれば社会的威信を高めるものともなるが、事業の大きさゆえに失敗する例も多々ある。そのために、ウェイザーの加護と、ウェイザー信仰における師が必要とされていた。さらにウェイザー信仰の人々が建立したパゴダが特に祈願成就パゴダとして名をなし、現世利益を求める人々の信仰対象となる場合もあり、パゴダそのものに、仏教と同時に呪的な力が期待される側面があることを示した。\n 第5章では、ローキービンニャーとウェイザー信仰との関係を考察した。ローキーピンニャーに含まれる話術には、共通する基本原理が存在した。この話術はいわゆる呪術とも重なるが、ものを記号に置き換え記号間に存在する規則によって操作するという複雑な体系を持つ。この話術は、僧侶をはじめさまざまな人に担われ、歴史的にも王権と深く関わってきた。しかしサンガ浄化以降、この知識は僧侶が関わるべきではないとされる。現在では、在家信者のあいだで広く伝授されており、それが個々の術の専門家や、ガインをはじめとするウェイザー信仰の人々であった。\n 第6章では、ウェイザーと仏教の関わりを取り上げた。信者は、ウェイザー信仰の活動を通じて仏教活動に従事するが、それだけでなく、ウェイザーとなるための修行にも瞑想を取り込む派か増えてきた。瞑想によって「この世を抜ける(トゥエヤッパウ)」という理解は、ある局面では阿羅漢信仰と近接する。この現象を具体的事例をあげて説明した。現在、瞑想修行により超自然内力を得たと噂される高僧がいるが、こうした高僧は、仏陀につぐ聖なる存在である「阿羅漢」といわれる一方で、ドゥエヤッパウ僧正として帰依を受けることがある。ただしウェイザー信仰がいかに仏教に関わろうと、絶えず力と結びついている。また正統サンガから見れば、ウェイザーの関わるものは、力に結びつく集中瞑想であり、力を誇示する傾向があるため、正統的仏教ではないと判断することを示した。\n このような2つの領域との関わりを、第7章では歴史的に検討した。18世紀頃までウェイザーは、呪術的修行によって到達する存在と理解され、特に仏教と関わらなかったようだが、徐々に仏教を守るものとしての役割が強調され、ついには未来仏や阿羅漢といった概念と深く関わるようになっていった。さらに、ウェイザー像のなかに王権との結びつきが絶えず言及されていた。つまりウェイザーは単に呪術的なものと仏教という2つの領域と自由に関係を変えてきたのではなく、権力と正統サンガがこの2つの領域に対して取り結ぶ関係そのものに対応して変化してきたと仮定する。第8章では、この仮定に基づき、これまで導きだした個々のデータに、現在の状況における権力、正統サンガの動きに関する考察を加味して、ウェイザー信仰の動態のモデルを検討した。その結果、次の結論を導きだした。\n 上座部仏教社会においては、歴史的に権力が主体となり浄化を主導するというモデルが存在し、ビルマでは、18世紀末から19世紀半ばに浄化が行われた。この過程において、サンガないし「正統仏教」は、呪術的知識や神通力といった力から切り放された。その方向は、独立後の政権にも受け継がれた。また、この時期、権力か主導する形で民俗知識(民間医術)が整備され、体系化された知識だけを再評価し超自然的存在に関わる部分を取り除いたが、ウェイザー信仰は、それらを切りおとすことなく話術と関わっている。\n これらは、ビルマ社会のなかでここ200年ほどのあいだに、仏教の合理化、宗教的知識の近代化という流れか緩やかに進行してきたことを示していると理解できる。ウェイザ一信仰は、この流れのなかで、権力と正統サンガが「正統的仏教」から切り放してきた諸々のものと、しばしば結びついてきたのである。そのことにより、仏教から切り放された実践や力の概念をウェイザー信仰は自らを含むより広い宗教世界のなかに返すことができた。あるいは「正統的仏教」が純粋化することで対応できなくなる諸事---パゴダ建立により仏教を布教するといった社会的行為や政治的に仏教に関わること---に従事することが可能であった。それがウェイザー信仰の動態の特徴であったというものである。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第106号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"文化科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"02 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