{"created":"2023-06-20T13:20:02.559051+00:00","id":46,"links":{},"metadata":{"_buckets":{"deposit":"752801e9-887f-43a2-8201-d580380c8ffb"},"_deposit":{"created_by":1,"id":"46","owners":[1],"pid":{"revision_id":0,"type":"depid","value":"46"},"status":"published"},"_oai":{"id":"oai:ir.soken.ac.jp:00000046","sets":["2:426:4"]},"author_link":["7429","7428","7430"],"item_1_creator_2":{"attribute_name":"著者名","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"李, 善愛"}],"nameIdentifiers":[{}]}]},"item_1_creator_3":{"attribute_name":"フリガナ","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"リ, 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本研究の目的は大きく二つの点にある。第一に、済州島海女の移動と定着の歴史的過程を再構成。第二に、済州島海女の韓国本土および日本における適応の様子の記述にある。そこからえられた彼女たちの生活実態を生活ストラテジーという概念を用いて、分析を試みた。ベネットの問題提議をうけて人間が生態的環境にどのように適用し、また、社会的環境の中でどのような生活実践を行なうか、その際にとられる主体的な行動の総称をここで私は生活ストラテジーと位置づけている。構成は、序章と終章を除き、全部で7章からなる。まず序章では、これまで述べた研究目的と方法について記述した。\n 第1章では、潜水漁という漁法を定義し、東アジアの潜水漁は「女性が参加する、移動の激しい専門化した集団」があることに注目した。そこで、韓国の海女集団をとりあげ、アンケート調査や文献資料を用いて済州島海女の現在の分布状況を検討した結果、韓国海女の形成は、済州島海女が核となっており、その済州島海女は韓国本土のみならず日本・東アジア全域に分布していることを明らかにした。そしてこのような済州島海女の分布にいたる歴史的経緯を文献資料を用いて検証した。\n 第2章では、韓国における済州島海女の例として蔚山A洞での民族誌的資料を提示した。蔚山A洞は済州島海女の出稼ぎ先でもあり、その済州島海女を中心に100人近い海女の集団が形成されている、典型的な海女村ということができる。この蔚山A洞での漁業組織、漁具と捕獲採集物、生産暦、漁業活動を記録することで、海女集団の経済活動と社会関係について述べた。\n 第3章は、蔚山A洞における済州島海女と地元海女の詳細な生活史を記述した。済州島海女が蔚山A洞に定住する過程と、彼女たちの影響を受けて地元の女性が海女を職とすることを選ぶ過程に分けて記述した。さらに韓国内における他地域の海女の生活史を提示することで蔚山A洞での海女の形成過程を位置づけた。そこで明かとなる済州島海女の移動と定着の過程から、韓国海女の形成について3期にわけることを提示した。第1期書峠1895年から1920年代までで、済州島海女が賃金労働者として定着を開始した時期である。つまり、済州島海女の出稼ぎ期である。第2期は30年代から60年代までで、済州島海女に触発されて韓国本土の地元海女が出現した、本土地元海女の形成期である。第3期は70年代から現在に至るまでで、韓国全体の社会変化の中で済州島海女が、地元海女とともに漁業生産共同体の一員に加わり、ワカメ漁場の利用管理権を獲得した時期である。\n 第4章では、済州島海女の移動と定着にはワカメ漁場の管理と利用のあり方が大きく関わっている点に着目した。済州島海女は韓国の他地域にも移動・定着しており、それら地域のワカメ岩の管理と利用に関する事例から二つの類型が設定できる。第1の類型は、個人がワカメ岩の管理・利用権を占有する場合である。海女は管理・利用権をもたず、管理権をもつ個人との間に雇用関係を結んだ賃金労働者と位置づけられる。第2の類型は地元の漁村契や村が管理・利用権を共同占有する場合である。海女は賃金労働者である場合もあるが、漁村契員の一員に加わったり、漁業管理権をえてワカメ漁業に主体的に関わる可能性も残されている。そこで、蔚山A洞の事例を第2の類型に位置づけられた。\n 第5章では、日本において済州島海女がどのように入漁権を獲得し、社会環境に適応していったかを対馬の事例を中心に記述した。そして、済州島海女が異なる漁業制度や文化的背景をもつ日本へ移動し、そこで新たな技術導入、日本人地元漁民との競合、子供の就職問題などに適応し、多様な生活形態をとってきたことを明らかにした。\n さらに、その他地域に渡った済州島海女の生活史と生活形態の比較を行なった。房総半島では、地元漁民との協力関係を作りつつ定着しており、志摩半島では、大阪の済州島人のネットワークを背景として移動するということができる。また、大阪では済州島出身者が集住するという特性から日帰りの海女や海女以外への転職を行なっており、済州島人の社会的ネットワークの存在、済州島との緊密な関係の存在が明らかになる。\n 第6章では、第3、4章で記述した蔚山A洞の済州島海女と、第5章で記述した対馬の済州島海女の事例を比較した。そこから二つの地域の済州島海女たちが、生態的環境と社会的環境という制約に対し、どのような生活ストラテジーを選択しているかの対照性が明かとなる。すなわち、蔚山A洞では生産の場と生活の場を同じくする定着ストラテジーを選択しており、一方、対馬では生活の場と生産の場を別々にして生活する移動ストラテジーを選択している。\n 以上のように、移動や定着といったストラテジーの違いの裏には、彼女たちが移動先で生活していく過程で「差別」や「国境」という問題に関わらざるを得なかったという事実がある。そこで第7章では、済州島海女を取り巻いてきた社会的環境を差別と国境という問題から考察した。韓国社会では済州島海女に対し、多層的な構造をもつ差別がある。また、日本社会では済州島海女に対する職業的差別は比較的少ないものの、在日韓国人という差別の枠組みが存在している。次に国境という問題に眼を向けると、済州島海女は、常に東アジア全域を舞台として移動を続けてきた。また、現在の済州島海女の行動パターンを図式化してみると、済州島はアイデンティティの場、大阪は生活の場、対馬は生産の場としてこの三つの空間を国境を跨って往来していることがわかる。\n 以上、私は済州島海女の移動の問題、資源利用の問題を検討してきた。その中でもワカメ漁場の利用と所有問題については、広く環境システムと関連した資源利用の問題ととらえることができ、その視点にたって考察を深めて行くことが今後の課題と考えられる。さらに、世界各地には、海を生計手段の場とし、広い活動範囲をもつ人々が見いだせ、本研究でとりあげたように、そこには生態的環境と社会的環境や国家という枠組みに対する、実に多様な生活ストラテジーが見出せることでしよう。こうした人々の生活ストラテジーを比較検討していくこと、その手始めとして東アジアの他地域、とりわけ日本の海女に注目している。","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_description_7":{"attribute_name":"学位記番号","attribute_value_mlt":[{"subitem_description":"総研大甲第302号","subitem_description_type":"Other"}]},"item_1_select_14":{"attribute_name":"所蔵","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"有"}]},"item_1_select_8":{"attribute_name":"研究科","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"文化科学研究科"}]},"item_1_select_9":{"attribute_name":"専攻","attribute_value_mlt":[{"subitem_select_item":"02 比較文化学専攻"}]},"item_1_text_10":{"attribute_name":"学位授与年度","attribute_value_mlt":[{"subitem_text_value":"1997"}]},"item_creator":{"attribute_name":"著者","attribute_type":"creator","attribute_value_mlt":[{"creatorNames":[{"creatorName":"LEE, 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