@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000493, author = {Maluckov, Aleksandra A. and マルコフ, アレキサンドラ and MALUCKOV, Aleksandra A.}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {軸対称トーラスMHD平衡の動径方向に有限な領域に加えられた摂動磁場中でのクーロン衝突による電子の動径方向拡散の統計的性質を明らかにした。このような状況下では、速度空間に由来するクーロン衝突による総計性と、配位空間に由来する乱れた磁場による総計性とが共存している。
 摂動磁場強度とクーロン衝突周波数からなる2次元パラメータ空間において、電子の動径方向変位に関する4次までのキュムラント、2次のキュウムラントの時間微分で定義した拡散係数、及び、異なる二つの時刻の間の自己相関関数等を評価することにより、電子の動径方向拡散の統計的性質を明らかにし、その性質の両パラメータ依存性を粒子軌道の非局所性の観点から物理的に解釈した。
 摂動磁場が存在しない場合には、新古典理論で知られているように、粒子の動径方向拡散は、時間に依存しない拡散係数を持つウイナー過程(古典的ブラウン過程)として現れる。ウイナー過程は、時間に依存しない拡散係数を持つ正常拡散で、粒子分布は動径方向にガウス分布を示し、自己相関関数が二つの時刻に依存し、その時間差のべき状で減衰する統計的に非定常なマルコフ過程である。
 これに対し、クーロン衝突が存在しない状況下での粒子拡散は、磁場の乱れの増大と共に、相関時間の後に拡散係数が消失する一様混合過程に近づく。一様混合過程は、拡散係数が消失する非拡散的過程で、粒子分布は動径方向に一様分布を示し、自己相関関数が二つの時刻の時間差のみに依存し、指数関数的に減衰する統計的に定常なマルコフ過程である。この結果は、動径方向に有限な広がりを持つ磁場摂動を考慮することにより初めて得られるものである。
 両統計性が共存する場合には、磁場の乱れが強くて衝突周波数が小さい領域では、拡散過程は一様混合過程から拡散係数が時間と共に減少するサブ拡散過程へと移行し、磁場の乱れが弱くなり且つ衝突周波数が増大すると共に、サブ拡散過程はウイナー過程へと移行する。サブ拡散過程においては、時間と共に減少する拡散係数を持ち、粒子の動径方向分布はガウス分布でも一様分布でもなく、自己相関関数が二つの時刻に依存し、その時間差のべき状で減衰する統計的に非定常な過程である。このサブ拡散過程のマルコフ性は明らかてない。
 以上の摂動磁場強度とクーロン衝突周波数からなる2次元パラメータ空間内での統計的性質の変化は、物理的には以下のように理解できる。粒子のドリフト速度は、磁力線に沿った平行方向速度が、磁力線を横切る垂直方向速度と比べて十分に大きいため、衝突周波数が小さい場合には、磁場の統計性を反映した素早い磁力線に沿った非局所運動により拡散過程は一様混合過程を示すが、衝突周波数の増大と共に、磁力線方向の粒子の自由な運動は妨げられ、拡散係数が時間と共に減衰するサブ拡散過程へと移行する。更に衝突周波数が増大すると、磁場の乱れが弱いほど磁力線に沿った動径方向への移動より磁力線に垂直方向ドリフトのクーロン衝突散乱による移動の方が大きくなり、軌道の局所性から時間に依存しない拡散係数を持つウイナー過程へと移行する。即ち、粒子軌道が動径方向に局在化している場合にのみウイナー過程が得られ、軌道が大城的な場合には、サブ拡散過程や一様混合過程が得られる。このように、軌道の非局所性を反映する摂動磁場強度と軌道の散乱を反映するクーロン衝突からなる2次元パラメータ空間において、軌道の非局所性が通常とは異なる拡散過程を生み出すことを明確に示した。更に、乱れた磁場のリアプノフ数を評価することにより、本研究と従来の研究との関連も明らかにした。本研究で用いた現実的な状況を反映した動径方向に有限な領域に加えられた摂動磁場の場合、平衡磁場に垂直方向の特性長は平行方向の特性長より叢かに短く、従来用いられた準線形的な取り扱いが妥当でないことが明らかとなった。, application/pdf, 総研大甲第554号}, title = {The Statistical Properties of the ParticleRadial Diffusion in the Presence of the Magnetic Field Irregularities}, year = {} }