@misc{oai:ir.soken.ac.jp:00000565, author = {糸賀, 賢二 and イトガ, ケンジ and ITOGA, Kenji}, month = {2016-02-17, 2016-02-17}, note = {本編で述べる偏極電子源はJapan Linear Collider(JLC)の電子源の一つ
として開発されている。JLCとは全長25km,重心系のエネルギーは500GeV
(第1期計画)の電子開電子線形衝突型加速器である。
 偏極電子源を得る方法として光電子放出、電界放射、イオンの光電離等が
ある。電界放出やイオンの光電離は高い偏極度が得られるが電流値はせい
ぜい100nA程度しか得られない。それに対してGaAsを用いた光電子放出
による方法は電流値か20μAと大きいこと、偏極の反転が円偏光の左右の
反転で切り換えられること、電子ビームのエネルギー幅が0.1eV以下であ
ること、室温での動作が可能であること等電子銃への応用として利点が多
い。ただ欠点は偏極度が最大50%と低いことであるが、これは価電子帯の
縮退のためであり縮退を解くことにより100%の偏極度を得ることか期待さ
れる。
 縮退を解く方法として1970代から歪み結晶、超格子、カルコパイライト
の3種類の方法がが考えられるが、我々の場合AlGaAs-GaAs超格子を選
んだ。
 我々の目標はJLCの偏極電子源として用いることで、高偏極度ばかりでな
く量子効率も高くなければならない。現在の計画では電流は1Aで50nsの
パルスで取り出し、サブハーモニックバンチャーで短パルス化する。この時
のレーザーの波長を750nmとすると、量子効率が1×10-2であれば200W
のレーザーパワーで済む。我々の実験でもバルクのGaAsで2×10-1の量
子効率が得られているので量子効率1×10-2は到達できる範囲であろう。
 より高い偏極度と量子効率を得るために、まず超格子全体の厚さに対する
依存性について調べた。1次元拡散モデルを適用し、厚さ0での偏極度を
外挿すると75.5%という結果を得た。これは表面のバンドベンディング領域
で大きく減偏極しているか、光励起された時点ですでに100%になっていな
いことを意味している。
 そこで表面状態をいろいろ変えて、偏極度の測定を行った。しかし最大偏
極度は表面の状態にはほとんど影響されないことが分かった。残る可能性
はバンドミキシングにより光励起時に100%偏極していないことである。こ
れを調べるためには超格子の円偏光フォトルミネッセンスを測定するのが
直接観測なるが今回は円偏光フォトルミネッセンス実験の結果と良い一致
を示す計算方法を用いて 見積ることにした。
 不純物ドーピンクは本来電子を取り出し易くするため、表面のNEA処理
によるバンドベンディングを作り出すという目的に使われていた。しかし
1018cm-3というドープ量はキャリヤーの移動度を考えた場合多すぎる。そ
のため我々は表面のみ高ドープで中を低ドープにするという変調ドープを
試みた。その結果不純物準位からの遷移がなくなり、偏極度の短波長シフト
という現象が起こることが分かった。これは最大偏極度は変えないが量子
効率を大幅に良くするという効果がある。
 またカソードの質を比較するために、figure of merit F=(偏極度)2×(量
子効率)という量を定義した。そしてfigure of meritは超格子の厚さにはほ
とんど依存せず、内部のドーピング密度に大きく依存、低密度にするほど良
いことが分かった。このように半導体内部のドーピングを下げてfigure of
meritを良くする方法は我々のオリジナルのアイデアである。
 結果として一番よいfigure of meritを示したのは厚さ0.4μm,10-16ドー
プのサンプルで755-766 nmの波長に対し63.8%であった。この時の量子
効率は1.2×10-3で、目標値の約10分の1である。最大偏極度を与えたの
は厚さ0.1μm,10-17ドープのサンプルで765-800nmの波長に対し74.8%で
あった。, application/pdf, 総研大甲第40号}, title = {AlGaAs-GaAs超格子半導体を用いたフォトカソードによる偏極電子源の開発}, year = {} }